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メイフェア・シリーズの本を今後書く予定はありますか?

『魔女の刻』についてはテレビのミニ・シリーズにするべく交渉中ですが、劇場用の映画化のアイデアはまだなくなったではありません。また『魔女の刻』シリーズの続編については書く予定はありません。私としてはこの三部作『魔女の刻』『ラシャー』『タルトス』が、3冊の本によって完成された小説になっていると思っています。それでもメイフェア一族はヴァンパイア・クロニクルズに現れるでしょうし、ひょっとすると、他の小説にも登場するかもしれない。でもこれは誰にもわかりません。メイフェア一族は、私の心理的なニューオーリンズの景色の一部分なのです。

タラマスカについてはどうですか?

タラマスカについては1冊の本として書くつもりです。彼らの起源、そして多分、“ラシャー”と“タルトス”における彼等の退廃にまで触れると思います。この組織は私の心の中にあります。

“魔女の刻”では最初からラシャーをタルトスにするつもりだったのですか?

答えとしてはノーです。私は自分なりのやり方を模索していました。ラシャーは人間ではなく、人の霊でもないということはわかっていました。ラシャーが何か他のものの霊であることはわかっていましたが、書き進んでいく過程で、頭の中で神話学を発展させなければなりませんでした。私はたいてい本能に従って1歩づつ組み立てていく――というやり方でストーリーを読んだり書いたりしていきます。ですから“魔女の刻”を書きはじめた時点では、“タルトス”という言葉など知りませんでしたし、ましてやそれを使うつもりもありませんでした。

『魔女の刻』3部作はあなたの家の周辺に基づいているのですか? そこには鍵穴戸口(keyhole doorways)がありますか?

あります。それは私の家です。私たち家族がファースト・ストリート1239番に移った時には、『魔女の刻』の4章ほどをすでに書いていました。そして新しいその家が、『魔女の家』にしたいと思っていた理想の家であることに気がついたのです。その時点で文章中には驚くほど少ししか家の描写がなかったのですが、私の家のどの部屋からもインスピレーションを引き出すのはとても簡単でした。それに魔女たちはまだこの家に私と住んでいますよ。同居しているのです。彼らには彼らの世界があります。モナ、ローアン、マイケル。そう、今ではメイフェアとなったマイケル。私たちは知ってますね。3部作によって明らかになった事実――彼もジュリアンの血を引く者であることを。それにこの家には鍵穴戸口もあります。鍵穴戸口は本当にシンプルな戸口で、それは他と同じく長方形なのですが、フレームの底が広がっているのです。フレームはトップが狭くて、下がってくるとドアで鍵穴のように少し広がる。それで鍵穴戸口という名前が付いているのです。私の家にはまさにその戸口があるのです。3部作の中で語られている家の描写はどれも実際にあるもので、後で加えたものや架空のものではありません。しかし認めなければならないことがあります。『魔女の刻』でディルドレーが座っていた揺り椅子が置いてあったポーチにガラス板を入れました。私はディルドレーに対して罪を犯したように感じています。

メイフェアの魔女たちはまだ屋根裏に潜んでいるのでしょうか?

たくさんいますよ! 私はメイフェア家に戻りたくて仕方ありません! 特にモナには。モナが『タルトス』の結末をすんなり受け入れるとは信じられません。私は『タルトス』の終わりの部分でさっと過ぎ去ったキャラクターとモナとのつながりが非常に固いと信じていますし、また、ローアンとマイケルは途方もなく大きな義務感を感じてアシュラーとの接触を試み、アシュラーが実際に彼の身に起こったことにどう向き合っているのかを知ると思うのです。そして、私自身も他のメイフェアたちについて書いてみたい。彼らは壮大な一族であり、メイフェア家を書いていて得られる大きな喜びの1つは、勝利者であると同時に敗北者でもある人々が書けるということです。本の中を彷徨っている者たち――悲劇的な運命に苦しむ人々、勝利と成功の酬いに苦しめられている人々、その両方のメイフェアたちを書くのが大好きなのです。それにどうして私がモナとメアリー・ジェーンに戻りたいかというと、私には彼らがそれぞれの人生において多大な勝利を勝ち得る力がある、真のヒロインとして映るからです。2人とも“力のある魔女”ではありませんが、偉大なるメイフェアの力と成功をへ突き進んでいるのです。

私は峡谷に急いだ2人のタルトスの恋人たちが忘れられません。彼らは何世紀にもわたって切望した平穏が見つけられるのでしょうか?

『タルトス』の結末についての質問ですね。他の人たちのために結末のヒントをあげたくないので、ロマンチックな展開が続いていると言っておきましょうか。私は何が本当に起きたのかを自分自身で戻って突き止めなくてはなりません。メイフェアのストーリーを続けていかなくてはならないのですから。疑いもなく一族は私を呼んでいます。でも呼んでいるのはタルトスではないようですが、メイフェア一族の者ではあります。いずれにしても、私はタルトスがどうしているかを突き止めるでしょう。ですから、あなたの質問に対する答えはわかりません。タルトスが峡谷でどうしているかは本当にわからないのです。でもこれから突き止めてみます。

いつかアシュラーとモリガンに何が起こったのかを知ることができますか?

いつか私たちは『魔女の刻』3部作に登場した人物たちに何が起こったのかを知るはずです。私がメイフェアたちに戻らなくてはならないことは疑う余地がありません。どれだけ早く、いつ、それにとりかかることができるかはわかりませんが。私は今、アルマン、イエス・キリストの自叙伝、そして『パンドラ』という本にとりかかっていますが、メイフェアたちの関するちょっとした計画を考えているところです。

魔術や魔法に関する適切な情報を探すのは至難の技です。特に歴史にかかわる女性たちの情報がどうしても得たいのです。あなたはどこであなたの話のベースを探し出すのですか?

私が『魔女の刻』のためにリサーチして収穫があったのは、テレグラフ通りの書店や図書館です。図書館に行って、歴史における「魔法」を検索しました。それからその書物を書いた専門の学者たちに会い、助言を得ました。今日では、このテーマについて書いている多くの優れた学者たちがいます。まず数ある本の中でも模範と言え、あなたがまず読まれた方がいいと思うのは James Frazier 卿の『THE GOLDEN BOUGH』です。この本は、著作権が切れているのでどこででも手に入ります。特にカリフォルニアでは問題なく見つけられるでしょう。 Frazier 卿は死ぬ前にヨーロッパ各地を訪れ、小さな村でいまだに人々が行っていたことや、中世の魔法や異教徒の名残り、あるいはキリスト教の前身による儀式が残っていた田舎の話を集められ、私はただただ魅了されました。Frazier 卿以外にもたくさんの著者がいます。Geoffrey Burton Russell は、悪魔に関するシリーズの本で、悪魔の性格や、文学あるいは伝説における悪魔の進化を非常に雄弁に書き上げています。また、Carlo Ginsburg も魔法について書いた素晴らしい著者です。彼は数冊の本を書いていますが、『NIGHT BATTLES』というイタリアの魔女のグループに関して書いた本があり、近年の著作にも実に興味深いタイトルのものがあります。また、この分野には星の数ほどたくさんの学者が存在します。個々の国について取り組んでいる学者も少なくありません。またドイツやイングランド、スコットランド、アイルランドの魔女迫害の歴史についての優れた本も探し出せます。これまで話してきたのは歴史に関してのみです。魔術の知識、それ自体については話していません。私はマダム・ブラヴァスキーや他の魔術に関する著者の執筆を徹底的に調べたりしていませんし、私自身、魔術信仰者ではありません。私が興味を持っているのは私が語るストーリーや歴史的資料から導くことができるインスピレーションなのです。ですから、それを探し出すこと自体は決して難しいことではありません。専門書を扱う書店に行って「ヨーロッパの歴史のコーナーはどこですか」「魔術、魔女迫害に関する本はありますか」とたずねれば、たくさんの歴史的データが得られるはずです。さて、本当の魔女、あるい一族の中に魔術を実践する伝統があると断言する人々についてですが、これに関してはお手上げです。わたしはその分野に関してはまったくわかりません。以前、私は人生でもっとも不愉快な手紙を受け取ったことあります――その数通の手紙の中の1通はウィッカンの魔女からのもので「『魔女の刻』を書いてすべてを陽の下にさらした」と私を責めたのです。まるで、原理主義信仰グループ(カルト集団?)のメンバーから手紙をもらったようなもので、彼女は私が彼女の信条に沿って魔女を描写しなかったと言ってただ激怒していました。この経験には少しヒヤっとさせられましたし、とても異様でした。

メイフェア・シリーズで一時的に書いたグラミス城について書こうと思っていますか?

いいえ、グラミス城について書くつもりはありません。が、そこから多大なインスピレーションは受けています。私が今とりかかっている本、『ランプリング・ゲートの主人』のロング・ヴァージョンですが、“秘密を抱えている家”というテーマをその中で確かに使っています。私は理解を持って、興味を持っている人たちに繰り返し言わせてほしいのは「相続人が秘密を他言するとき、城は再び微笑むことはない」というグラミス城の伝説です。そして何人もその秘密を知りません。特にウェールズの王子(皇太子)がそこで成長し、彼は微笑まないことで有名ですから、私にはそれがとても美しく魅惑的なアイデアだと思えるのです。しかし、私は相続人だけが知り得る深い秘密を抱える家というアイデアが気に入っていますし、ぜひ『ランプリング・ゲートの主人』の中でそのアイデアを使いたいですね。『ランプリング・ゲートの主人』はもともと、弟と相続した古い英国の家を訪れるある女性の話を書いた短編小説で、私は今、それを中編小説にしているところです。短編小説には削減したすべての事柄を入れるつもりでいます。その短編小説は私のスタイルではありませんので。

タラマスカという言葉は実際に何かを意味するのですか? それともあなたの造語ですか?

タラマスカは実際には“動物の面”を意味します。それはとても古いもので、“動物の面”をつける魔術師やシャーマンに使われた言葉です。私はただその美しい名前がこの組織にぴったりだと思ったのです。私はタラマスカのその始まりからすべてをまだ語り尽くしていませんが、いつかそれに取り組むつもりです。

タルトスおよび野生のタルトスの歴史についてお聞きします。この種族(魔女)がまずどのように人間化したのかがはっきりしなかったのですが。

特定の部分に戻って、私がなんと語ったかを確かめる必要がありますが、私のアイデアとしては、一度タルトスの遺伝子が人の遺伝子に組み込まれると、タルトスとしての突然変異が起きうるということです。そしてその可能性は常にありました。そう、彼らの間には明らかにあるつながりがあったのです。それは確かです。そしてあなたもタルトスを繁殖させることができるし、ときにその繁殖は受け入れられます。本の中のラシャーやその他の者がしたようにうまくいくでしょう。けれどもそれは非常に危険なことです。

ラシャーにはリヴァーウォークでの難破でどのような役割があったのでしょうか?

ラシャーはほとんど関与していないと思います。私の知る限りではラシャーは私の家の裏庭に埋められていて、地下6フィートのところにまだいるはずです。しかし、何とも言えないけれど、吸血鬼がそれと何らかの関係を持っていたかもしれませんね。それはレスタトがエクササイズのために川を泳いでいた夜のことで、それが船を押し出したりしたかもしれませんよ! もちろん、レスタトは何の罪もない人を傷つけたりしませんけどね。

メイフェアの魔女たちやヴァンパイアたちの系図はあるんでしょうか?

私は作っていないけれど、キャサリン・ラムスランドさんの本にならあるかもしれませんよ。

注:キャサリン・サムズランド著の『The Witches Companion』にはメイフェア家の系図が掲載されています

聖アシュラーの伝説はベースになるようなものが実際に存在するのでしょうか? またこれと似たような聖人の伝説はありますか? 私は主にイングランド北部とスコットランドにある、古代の異教の地に建てられた教会の遺跡に興味があります。

聖アシュラーの伝説は全く架空のものです。しかし神様ならご存じのはずですが、アイルランドやイングランドには数えきれないほど多くの伝説、調査が必要な教会や聖人が山のように存在し、我々が知ることができるのはそのうちのほんの一握りです。探査が必要な教会、特に悪を寄せつけないためにキリスト教の図象に組み込まれた悪魔や異教のシンボルなどを含んだその建築などは探査する対象に事欠きません。私はそれが果てしなく魅惑的なテーマであると思っています。今、またイングランドとアイルランドについて書いているのですが、とてもわくわくさせられています。でも、アシュラーは全く架空です。多くの異なる聖人たち、また彼らが成し得たことなどを混合させたものがアシュラーの土台となっています。

『魔女の刻』では5月1日という日付けに何回か出てきます。特に考えがあってのことですか?

そうですね。5月1日はメイ・デー(5月祭―5月1日に行う春の祭り)であり、『魔女の刻』にとってはとても重要な意味があります。メイ・デーの騒ぎの最中、メリー・ビゴット(楽しみの子)と呼ばれた最初の魔女、デボラが宿ったのが5月1日です。メイ・デーはもちろん、古い異教の春、夏、そして豊作をつかさどる穀物の女神の祭りでした。祭りの最中の乱交によって生まれるメリー・ビゴットの父親は必然的に誰にもわかりません。しかしメリー・ビゴットたちはいつも特別に扱われていました。メイ・デーの乱痴気騒ぎよって彼らが生まれ、メリー・ビゴットを作ることは神聖なことであるという認識があったからです。ですから、5月1日はとても重要です。メイフェアという名前は、デボラが彼女の村、スコットランドのドネレースのメイ・フェア(5月祭)によって生まれたメリー・ビゴットであるという事実に由来しているのです。

このQ&Aはアン・ライスのオフィシャル・サイトに07-20-01に掲載された
You Asked, Anne Answered の“メイフェア”の項を和訳したものです。

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