The Lord of The
Rings: The Two Towers
出演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケレン、ヴィゴ・モーテンセン
監督:ピーター・ジャクソン
鑑賞日:12/18/02、12/25/02、12/30/02、02/16/03
ジャンル:ファンダジー/アドヴェンチャー
<ストーリー>
ガンダルフ、ボロミア……1人、そしてまた1人と仲間を失う“指輪の仲間”たち。メリーとピピンがオークにさらわれ、彼らを追うアラゴルン、レゴラス、ギムリ、そして1人で使命を果たそうと黙って旅立ったフロドとあくまでもフロドについて行くサム、と仲間はバラバラに分かれてしまう。ずっとフロドの指輪を狙って追って来たゴラムはとうとうフロドたちにつかまり、モルドールまでの道案内を命ぜられる。一方、アラゴルンたちはローハンのエオメルから、途中で見つけたオークたちは皆殺しにしたので、生き残った者はないと聞かされ絶望するが……
好きな映画なのに、3回も見たのに感想を書くのが難しかった。ファン、あるいは前作『旅の仲間』の続きが見たくてウズウズしていた観客が待ちに待った『2つの塔』だが、今回は個人的に良かったと思う点と悪かったと思う点に分けて書いてみようと思う。
まず悪かった点から。『旅の仲間』で見たようなショットが、前作の解説的なシーンでないところでもときどき出てきたのにはガッカリ。また原作の設定もいじり過ぎだ。特に目に付いたのはアラゴルンとファラミアの描き方。アラゴルンがローハンの姫、エオウィンに思わせぶりな言動や行動を取るのはなんなのだ。またアルウェンについても過度に触れ過ぎ。それでなくても指輪の仲間が3組に分かれてしまって、それぞれを十分に描く余裕がないのに、余計な、しかも原作にないシーンなどを入れてかんじんなことが描けないのでは意味がない。ファラミアは勇敢に戦って死んだボロミアの弟だが、彼の登場が興味深いのは「指輪をゴンドールに!」というボロミアと反対に、指輪への執着心をさほど見せることなく、またボロミアが死んだいきさつを知ってフロドの使命への理解を深めるというキャラクターだから。にもかかわらず、フロドたちをとらえてオスギリアスまで連れて行き、執政である父親に「強力な贈り物」として引き渡そうとさえする。戦闘シーンもあんなに時間を裂くべきだったか疑問。窮地に陥った人々が立ち上がるのはかなりドラマチックな展開だが、こまかくていねいに見せる必要はないと思う。戦闘シーンと比較して、フロド&サム組、メリー&ピピン組はそれほど丁寧には描かれていない。「これだけ見せておけばいいだろう」的な感じだ。彼らにしてもアラゴルンたちと同じくらい後のストーリーに重要な意味を持つ経験をしている。アクション・フィギュアの売上を意識したかのような映画作りにはトールキン氏も思わずパイプを落とすのでは? とにかく省略や設定変更がありながらも、前作『旅の仲間』では感じられたような“味わい”が、今回は感じられなかったのは本当に残念!
変わって、次に良かった点。これはなんといっても特種効果の素晴らしさと、特筆すべきは役者の演技によってコントロールされたCGのゴラム。あの表情の豊かさはタダものではない。映画の最後の最後に見せるズル賢い小悪魔の表情などはもう絶句もの。ゴラムの分身アンディ・サーキスを助演男優として評価してもらうように、現在、映画会社はプロモートに励んでいるようだが、まあそこまでやってくれとは言わなくても、特別賞くらいには十分値すると思う。実はゴラムは原作ではそんなに可愛い存在ではない。赤ん坊をさらっては喰ったりしているような化け物だ。それでも映画の中に出てくるゴラムをかわいいと思ってしまうことを止められない。それと『旅の仲間』ではあまりメインの出番がなかったギムリがけっこう活躍しているのがいい。レゴラスと兄弟のように結束する様子もよく伝わってくる。それからエルロンドがアルウェンにアラゴルンと結ばれることがどういう結末になるのかを語って聞かせるシーンがあるが、これは日本版では“追補遍”に収録されているストーリーで、原作ファンには嬉しいボーナスといったところだ。また、ヘルム峡谷にエルフの戦士たちを登場させるのは、原作にない設定だが効果的だったし、とてもよかった。
とだいたいおおまかなところとしてはこんなところだが、今回は特に1回見ただけでは映画を受け止めきれないと思う。1度目はどうしてもアッという間に終わってしまうので
2回以上は見る覚悟が必要。言うまでもないことだが、前作を見ていない人は必ず見ておくこと。『2つの塔』には始まりも終わりもないので、いきなりこれを見てもなにがなんだかわからない。ちなみにアメリカの映画館の中には『The
Lord of The Rings 2』という間抜けな表示をしているところがある。もしかしたら、テロの影響で『The Two
Towers』というタイトルを改めるように、署名運動にまでなったことが原因かもしれないが。(WTCの場合は“ツイン・タワー”と呼ばれていたのではなかったかと思うけど) この作品に関しては1つのストーリーを切りのいいところで分けている(もともとは出版の都合)だけなので、単なる続き物ではないことはぜひ知っておきましょう。
PS:このレビューを上げた後、テレビでアンディ・サーキスのミニ・インタビューを見た。撮影時の様子が少し紹介されたが、ゴラムが彼ではないという以外はすべて“生の演技”。声なども特種効果で変えているのかと思ったが、なんとあれもアンディ自身がしゃべっているのだそうだ。これなら助演男優候補になってもまったくおかしくないと思う。
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