子猫白書
| <51> [冬の海] |
<51>冬の海 萩原はなかなか会いたがらない子猫を一泊で海へ誘った。暮れも押し迫り、新しい年までわずかという忙しい時だったが、冬の海をずっと見たいと思っていた子猫は、萩原の誘いにのった。仕事が休みになって家にいた母親が買い物に出かけた午後、子猫はメモを残して家を抜け出した。 萩原は公園の近くで待っていてくれた。子猫は久しぶりに会う萩原に、はにかんだ笑みを見せて自分の荷物を手渡したが、視線をそらしてすぐに車に乗り込んで、萩原が荷物をトランクに入れるのを待っていた。萩原は子猫のそんな様子にフゥッと苦しげな吐息をついてトランクを閉めると、何気ない態度で車に乗り込み発進させた。 「高速が帰省ラッシュで混んでないといいな。」 「・・・うん。」 暖房が効いている車内の空気に慣れてきた子猫はコートを脱いで後ろの座席に置いた。この日子猫は白いモヘアのセーターとスカートがお揃いになっている可愛い服を着ていた。それをチラッと見た萩原は笑顔になり、 「その服着てきてくれたんだな。気に入って貰えた?」 と言った。萩原のクリスマスプレゼントのひとつがこの服だったのだ。 「・・・うん。ありがとぉ・・・」 子猫は頷いてちょっと笑った。 「君が買ってくれた僕へのプレゼントは持ってきてくれたのかい?」 「うん。大きいバッグの方に入ってる。」 「そうか!じゃぁ向こうに着いてから楽しみだな。ハハ。」 「・・・そんな・・・たいした物ぢゃないけど・・・」 「君が僕のことを思い、僕の為に選んでくれた物なんだ。素敵でないはずがないだろ?」 「・・・自信ないけどぉ・・・」 萩原は片方の手をハンドルから離して子猫の手を握った。 「君の心が最高の贈り物なんだよ。」 子猫は胸がキュンとなって、萩原の肩に軽くもたれると、顔をすりすりと擦りつけてきた。子猫が甘えたい時にする仕草に、まだ子猫が自分の手の中にいることを感じて、萩原は内心ホッとした。 車が信号で停止した時、萩原が子猫にキスをすると、子猫はもう疼きに耐えられないと言いたげな表情で、甘い息をもらした。 「良かった・・・」 萩原がため息のようにつぶやいた。 「え?」 「君に辛いクリスマスを過ごさせてしまったからね。僕に失望したかと不安だったんだ。」 「そんな・・・」 「実際あれから何度誘っても君は断ってばかりだっただろ?」 「・・・それは・・受験勉強と・・他に家の掃除とかしなきゃいけなかったし・・・」 「そうか。・・・お父さんが亡くなられて初めてのお正月になるんだね。クリスマスもきっと・・・どんなに寂しかっただろうかと思うと胸が痛くなるよ。」 子猫は言葉が返せなかった。萩原もしばらく黙っていたが、 「君の心を空洞のようにしてしまった悲しみを埋めてやりたい。君がまた幸せを感じて笑えるようにしてやりたい。・・そう・・思うのは僕だけじゃないだろうが・・・愛しているんだ。・・・君を幸せにするのが僕ではいけないと・・・僕には資格がないと・・・もし、神様がそう言うなら僕は魂を悪魔に渡す契約を結んでもいい。」 と、苦しそうに言った。 「・・・ヒロ・・・」 「君は僕を選んでくれた。・・そう信じていていいね?」 子猫はうつむいて肩を震わせていた。萩原を愛していると心は叫んでいる。萩原の子猫への思いが嬉しいと胸が熱くなる。でも、クリスマス以来萩原を裏切っていることも事実だった。子猫は自分の不安定な心を責めながらいつしか涙がこぼれていた。 「・・・あのね・・・翔と別れてないの。」 「・・・・・・・・・・うん。」 「翔・・・イブの夜サンタクロースだって言って会いに来てくれたの。」 「・・・・・・・・・・うん。そうだろうと思ってたよ。」 「・・・ごめんなさい。」 萩原はうつむいている子猫の手を握った。 「いいんだ。・・・ハハ・・・怒るべきかな?・・・いいんだ。急がないから。・・・僕だって君に辛い我慢をさせてしまっているんだからね。君を怒る資格などないさ。」 「・・・怒って欲しい・・・」 「怒らない。」 「・・・お仕置きしないの?」 「するような問題じゃないからね。・・・君が自暴自棄になって間違ったことをするならお仕置きだってするさ。けど、今度のことは君が悪いんじゃない。・・・僕が逆の立場だったら・・僕が翔君と同じことをしていただろう。・・・問題なのは・・・彼が僕と張り合うくらいに君を愛しているっていうことなんだから。」 「・・・怒ってよぉ・・・」 子猫はいっそう涙が止まらなくなった。ポトポト落ちる涙が子猫の手を握っている萩原の手を濡らす。萩原は一度手を離すとその涙にキスをするように舐め、また手を握った。 「この涙だけで充分すぎるくらい僕の心は救われているんだよ。・・君の心が僕を選んでくれている証だからね。・・そうだろう?」 子猫は小さく頷いた。 「良かった。ハハ・・さぁ、もう泣かないで旅行を楽しもう。どこも満杯なのをやっと開いている宿を見つけた時の僕の感激は少年の頃に感じた興奮を思い出させてくれたよ。」 「海辺なんでしょう?」 「ああ。すぐ前が海らしい。・・あ、後ろの席にその宿の載ってるガイドブックを置いといたんだ。見るかい?」 「うん。」 子猫は返事をすると涙を拭って、後ろの席を覗いた。シートを倒してガイドブックを取り、またシートを戻して前を向くと、折ってある場所を開いて見た。 「・・・ここ?」 「ああ。いいとこだろう?」 「うん。・・素敵。」 「今夜は潮騒を聞きながら・・・だね?」 「・・・うん。」 子猫がやっと笑みを浮かべて頷いたので、萩原は心から安心したように微笑み、アクセルを踏んで車を加速させた。 海鳴りが宿全体を覆っているようだった。古くもなく新しくもなく、寂れてもいないが人が溢れてもいない。元々離れ形式の部屋が多い宿で部屋数も少なかったが、たまたま萩原が電話した時キャンセルがあったばかりだったようで、ガイドブックにも”静かな時を満喫できる隠れ宿的人気スポット”と紹介されていた。 遊技場やショー的なものも一切なかったが、離れになっている部屋は各部屋ごとに小さな露天風呂が設置されていて、お湯につかりながら潮騒と潮風を楽しむことが出来た。仲居さんは食事を運んで隣りの寝所に布団の用意をすると、用がある時は呼んでください、と言って二人だけの時間を尊重してくれていた。 宿に着いたのが遅かった二人はすぐに食事をして、それからゆっくりとお風呂に入った。萩原は湯船の中で子猫を膝に乗せると足を上下させて、子供をあやすようにしてからかった。子猫も無邪気に喜んでしばらくじゃれ合うように遊んだ。 「ヒロ・・愛してる。」 子猫は体をぴったりとつけ、股間に萩原の固いモノを感じながら、自分からキスをし舌を絡めた。海から吹き付ける風には雪がまじっていて、のぼせそうな頭を冷やしてくれていた。 「あぁ・・・僕も愛してるよ。」 萩原は子猫の顔に張り付く髪を後ろに撫でつけてやりながら、噛みしめるように言った。 「ぁぁ・・ぁぁあん・・・あん・・あぁん・・・」 萩原に両足を抱えられて感じてよがっているその時、枕元に置いた携帯が鳴った。 「・・あ・・ぁぁ・・・ん・・・」 この宿に来る途中二度ほどあった電話は取引先の友達だと言っていた。が、夜のこの時間にかかる電話はきっと奥様からだろうと子猫は感じた。萩原は鳴り続ける間無視をしていた。 「あっ・・あっ・・ああぁぁっ・・・」 腰をつかまれてバックから激しく責められている時にまた電話が鳴ったが、やはり萩原は無視し続けた。 轟くような潮騒を萩原の胸で聞きながら、乱れた息を落ち着かせていた時、三度目の呼び出しにやっと萩原は電話に手を伸ばした。電話を耳にあてた萩原のため息で、やはり相手が奥様だと確信した。 「こっちにも都合があるんだ。まして接待なんだから電話に出られなくても仕方ないだろ。あまりしつこくかけないで欲しいな。」 萩原の声は子猫がいつも聞く声とは別人のように冷たく感じた。こんなに冷たく突き放す言い方をされたら、きっと子猫なら泣いているだろうと思いながら、なるべく息をひそめてじっと萩原の胸にしがみついていた。 「ああ、わかったから・・・大事な客を待たせてしまってるんだ。もう切るよ。」 萩原が電話を切る時、まだ何か声が聞こえていたようだったが、気にする様子もなくそのまま通話を切った萩原は電話を投げ出して、子猫を抱き締めた。 「・・・また・・嫌な思いをさせてしまったね。」 キスをしながらそう言う萩原の声はいつもの優しい声に戻っていた。 「電源を切ってしまうと可奈子が騒ぎ出した時に困るからな。ごめん。」 「・・・まだ途中じゃなかった?・・・いいの?」 「長く話せば納得するというもんでもないだろ。」 「・・・接待って言ってあるんだ。」 「泊まりの忘年会は暮れには数回あることだしね。」 「・・・ふぅ〜ん・・・」 「まぁ・・信じるか信じないかは可奈子の自由だ。・・・信じるなら僕も現状維持の努力はするさ。・・・が、信じないなら・・・可奈子自身が自分の首を絞めているようなものだろうね。」 「・・・え・・・?」 子猫には萩原の言っている意味がわからなかった。 「可奈子が問いつめるようなら、君とのことを話す時期が早まるだけ。僕としてはもう全て打ち明けて自由になりたい気持ちの方が強くなっているんだ。」 「あ・・・」 「君が自分を責めるようなことは感じなくていい。これは僕の問題だし・・・君は僕たちの将来のことを信じていて欲しい。・・ん?」 「・・・うん。」 子猫は目を閉じて込み上げそうになる涙を抑えた。萩原の心臓の音と海鳴りの音をじっと聞いていた。萩原は子猫を労るように背中を優しく撫でていた。 子猫には自分の犯している罪を恐れながらも、やはり萩原とのことが大事だった。例え引き裂かれる者の悲鳴が聞こえてこようと、もう生き方を変えることは出来ないと思えた。 |
| <52> [卒業] |
<52>卒業 子猫の家は喪中で正月飾りもなくひっそりと過ごしていたが、受験生を抱えた家庭はどこも大差なく、正月気分に浸れるものではなかっただろう。 三学期が始まると、もう私立の合格者が出たりして、中学三年生にとっては受験一色の毎日だった。子猫は母親も担任も薦めるのを拒否して滑り止めは受験しなかった。たいした自信だな、と担任は苦笑したが、むしろ合格するとは思っていなかった子猫は、落ちたらその時に他を考えようと思っていたのだ。勉強する意欲をなくしていたものの、テストだけはまだそれなりの成績だった為、どう言ってもレベルを下げることを納得して貰えないと思えたからだ。 父親の一周忌があわただしい中過ぎていった。法事の時、子猫は思い出に涙が込み上げてきたが、もう母親の前では泣くことが出来なかった。そのかわり、萩原に抱かれながら思い切り泣いた。塾と補習と模試とで忙しかったが、萩原と会う時間は作っていた。 翔は例の作戦を実行中のようで、それだけでも忙しいようだったが、会いたいと誘ってきた時、正直に今萩原が一番好きだという自分の気持ちを打ち明けた。 −「そんなことわかってるさ。それだってお前には俺の方がいいって思ってる。それだけのことだぜ。」 と言う電話の声は震えていた。 −「今は俺もこっちのことで忙しい。お前が俺に会いたくないならいいさ。・・・今・・・これ以上お前を追いつめたくねぇしよ。何言ったってわかんねぇだろうし・・・何より俺はお前が泣くのが嫌なんだ。・・・ま、辛くなったら電話して来い。いいな?絶対ぇ電話しろよ?・・・俺はまだお前を諦めちゃいねぇんだぜ。・・・愛してる。」 そう言って翔は電話を切った。 それ以後、翔からの電話はぷっつりと来なくなった。子猫は寂しさを感じながらも、ひとつの肩の重荷がとれたような安堵感も感じていた。そして、少し勉強してみようかな、と今更ながら遅すぎる意欲を持ってみたりする子猫だった。 まさか合格するとは。他の誰が納得しようと子猫だけはその結果が信じられなかった。むしろマズイことになったと内心不安が広がった。競争率も高く、皆が一生懸命勉強して入ったはずである。当然、その高校での勉強のレベルは高いだろうし、すっかり勉強がおっくうになっていた子猫にはついていけるとも思えず、先のことを思うと胃が痛くなった。 が、母親は取り敢えず安心したようだった。滑り止めを受けさせないのが夫を亡くして生活が苦しくなったせいだと噂されたくなかったらしい。実際には父親が残したものと相手方に責任の大半がある事故だったせいでそれなりの保証があったので、すぐに困る状況にはなかったが、人目を過剰に意識する母親は自分が後ろ指をさされるようなマネだけはするな、といつも子猫に言っていたのだ。 担任は責任を果たせたことと、それなりの高校に自分の受け持ちから合格者を出したことが嬉しそうだった。浮かない表情の子猫に手放しで喜んで見せる担任に、子猫は微かな失望を感じた。 山田信夫も志望校に合格して、子猫の合格を誉めるとともに自身嬉しそうだった。二人でお祝いをしようと誘う山田に、子猫はもうつき合えないと告白した。全てを正直に話すことは出来なかったが、それでも他に好きな人がいることと、すでに関係をもっていること、そして今の自分を一番支えてくれている人だということを話した。 山田はしばらく呆然としていた。そして怒りに体を震えさせると子猫をなじって罵倒した。が、すぐにしがみついて別れないと言い張った。それでも子猫の気持ちを変えようがないことを感じ取った山田はその場に泣き崩れて号泣した。 その日以来山田は学校に出なくなった。子猫が山田の姿を見たのは卒業式の時で、すっかりやつれて青白い顔をした彼を子猫には正視することが出来なかった。女子生徒がコソコソと陰口を言う中、友子だけはそばにきて、気にするな、と言ってくれた。 「もう充分努力したんだから、自分を許してやりなよ。」 と言ってくれた友子の言葉が嬉しかった。 こうして子猫は中学校を卒業した。 |
| <53> [ウィークリーマンション] |
<53>ウィークリーマンション 朝の微睡みの中、子猫はTVから流れる落ち着いた声の男性の言葉を意味をくみ取れないまま聞いていた。意識が次第に鮮明になっていくと、チリチリかジリジリか電気モーターの音と聞こえてくる。子猫が音の方に顔を向けると、萩原が小さめのソファーに座ってTVのニュースを見ながらヒゲをシェーバーで剃っているところだった。 さっきまで夢の世界にいた子猫はこれも夢の続きかとフッと思った。夢の中で子猫は父親と手を繋いで広い草原の花畑を歩いていたのだ。ずっと、そんな幸せな夢を見ることがなかった。父親がこの世を去ってから、いつも悪夢に悩まされていたのだ。眠りは子猫にとって安らぎの場ではなかった。朝はいつも息苦しいものだった。 それが今朝は夢の楽しさをひきずって気持ちいい微睡みから覚めきるのが惜しくさえあった。体の感覚がはっきりしてくると、昨日の激しく熱くたぎった時の記憶が疼きをともなって蘇ってくる。きつく吸われ何度も強く噛まれた乳首がまだ痛みを感じてる。長い間大きく開かれていた股の内側が少し筋肉痛になってるようだ。股間の熱さを感じている部分はもう自分の所有物とは思えない不思議な錯覚があった。この部分を萩原は何時間占有していただろう。初めは優しく舐め続け、溢れてくる蜜を貪るように吸い、太くて固い肉棒はこれでもかと言わんばかりに子猫の蜜壺の内側を抉り続けた。 一昨日からここに萩原と泊まっていた。ホテルではなくウィークリーマンションとか言うもので普通の家の感覚がどことなく漂っている。サービスよりも子猫と二人だけの時間をゆっくり持ちたいと、子猫が高校の入学式を待つ春休み中、借りてくれたのだった。だから、このまま何時まででもゆっくり眠っていられるし、一度家に戻っても、またいつでもここで萩原を待っていられるのだ。それでいつも以上に気持ちがリラックスしてるようだった。 「ん?・・・起きたのか?」 ひげ剃りを終えた萩原が子猫の視線に気が付いた。ベッドまで数歩もない狭い部屋だったがそれが一層二人だけの空間のように思わせてくれる。萩原はベッドの端に座ると、子猫に朝のキスをしてくれた。 「・・ぁ・・・コーヒーの香りがする・・」 「ああ、クスッ。さっきシャワーの後で飲んだからね。コーヒーメーカーまでついているとは思わなかったね。まだあるけど飲むかい?」 「う・・ん・・猫もシャワーの後で飲もうかなぁ・・・」 「それじゃぁ、コーヒーを注いだ後はスイッチを切っておくんだよ。僕はこれからすぐ会社に行かなければならないからね。」 「・・・うん。」 「寂しいかな・・?」 「大丈夫・・・」 「仕事は早めに切り上げて帰るから・・一緒に食事しよう。簡単な料理ならすぐに作れそうだな。器具まで揃っているんだから・・・はは、最近は便利になったものだ。」 「ヒロが作るのぉ?」 「ん?そのつもりだけど・・あ、そうか。子猫も料理は得意だったな。君が作っていてくれたら嬉しいなぁ。ははは。」 「いいよぉ。お買い物してぇ・・で、御馳走作って待ってるぅ。」 「そんなに頑張りすぎなくていいからね。慣れない場所だと勝手が違うと言うくらい思うようにはいかないものだよ。手を切ったり、ヤケドしないか心配で仕事がおろそかになりそうだ。」 「うん。・・大丈夫だけどぉ・・気をつけましゅ。」 子猫は布団の中から甘えて萩原を見つめた。 「んー・・・何よりもこっちの御馳走をゆっくり味わいたいしなぁ・・・ははは。」 萩原は子猫のつかんでいた布団の端を奪うようにして布団を跳ね上げた。 「あん・・・」 子猫は朝の光に昨日の愛撫が残る体を晒されて、恥ずかしさに足を曲げて体に押しつけた。 「ダメダメ。ちゃんと見せなさい。これは命令だよ。」 「・・・ぅー・・・」 子猫は拗ねたように小さく呻きながらも手足をまっすぐに伸ばして見せた。 「よしよし。いい子だ。・・・こんなに可愛いのに隠すなんてことをしてはいけない。はははは。」 萩原は満足そうに笑いながら、子猫の乳房を優しく揉み、柔らかさと弾力を楽しむように愛撫していた。子猫は感じて時々目を閉じ、瞼が光りを透かして赤く滲むのを夢心地で見ていた。 萩原は片手から両手で愛撫を始め、つかみ上げたとこを舌で舐めまわし吸い付いた。 「ぁぁぁ・・・んんん・・・」 子猫は軽く背中を反らして喘いだ。 「時間がないなぁ・・・」 と言いながら、萩原はベッドに上がると、子猫に猫ポーズをさせ、ズボンのベルトをはずした。ズボンは途中まで下げ、すでに天を仰いでいる肉棒を子猫の花弁を広げて差し込んだ。 「あぁぁぁ・・・たまらないなぁぁ・・・」 萩原は熱い息を吐きながらそう言って忙しそうに腰を動かし続けた。子猫はまだ覚めきってなかった体への侵入を乱れる息遣いの中味わっていた。この体の全てを萩原に支配されている。そう思うと余計嬉しさが込み上げてきた。嬉しさは肉襞にすぐに伝わり、うねりが大きくなって萩原を締め付け絡みつく。 「ぅぅぅ・・・目覚めがいい体だ。ふっふ。・・・すぅぅ・・ぅぅ・・・」 萩原が子猫にぶつかる度にベルトの金具がカチャカチャと騒がしく鳴った。時々子猫の股に当たってヒヤリとした冷たさを与えていた。萩原は時々大きく息をついては少しずつ位置をずらして、当たる感覚に変化を付けていた。そして自分の肉棒が受ける栄誉を余すことなく受けようと味わっているようだった。 「あぁ・・ああぁ・・・んんっ・・・あああっ・・・」 子猫は感じてよがり声をあげながら、今朝の萩原は子猫を喜ばせる以上に自分の喜びを貪ってるように感じ、それがまた嬉しかった。自分は萩原の奴隷なのだ。支配される喜びは自分に価値を与えてくれているようで、愛されることと同じくらい大切に思えた。一昨日から昨日は一日中、ほとんど繋がり合っていた体は喜びだけではない痛みもともなっていたが、それさえも嬉しく思えた。 「あぁぁぁぁ・・・ヒロの奴隷にしてぇ・・・猫はヒロの奴隷なのぉぉ・・・」 「可愛いことを・・・あぁー・・・朝から会議で遅れる訳にはいかないのに・・・歯止めがきかなくなる・・・ぅぅぅ・・・何て情熱的な体なんだ・・・」 「猫のぉ?・・・あん・・・ああんん・・・」 「この煮えたぎるような蜜壺・・・同じ花でも子猫のは食虫花だな。」 「しょくちゅうか?」 「虫がその中に飛び込んだら精気を全て奪いつくして自らの栄養にしてしまう花さ。」 「ぅぅ・・・そんなのぉ・・・いやぁ・・・」 「ふふ。それくらい虜になるって意味だよ。・・・あぁぁ・・・朝からこんなに気持ち良くていいのかと思ってしまうが・・・どうにも止まらない。・・ぅぅぅ・・・」 それでも萩原は時間が気になるようで、忙しく腰を動かした後、ひとしきり叫んで子猫の中を満たした。それからティッシュで自分のモノと子猫の股間を軽く拭いて、すぐにズボンを履いた。 「急いで悪かったね。愛してるよ、僕の子猫。」 まだうつ伏せになって枕に顔を押し当てている子猫の髪にキスをすると、萩原は出掛けて行った。 こんな風にまだ体に抱かれた火照りを残したままで残されても、また夜には会えると思うと、それもまた嬉しかった。子猫はそのまままた眠りそうになったが、もったいなくて起きることにした。残された感覚をじっくり味わいたかったのだ。もう、春の陽気になった外の風に当たりたくなった。それで子猫はシャワーを浴びようと起きあがった。お漏らしのように股間から流れ出した精液にはきっと昨日の分もあるのかと思うとおかしくて、股を伝わって足首まで濡れるのを聖水のように感じた。愛されることが最高の幸せなら、その愛をくれる男の精液こそが聖水なのだ、と思いながら浴室に向かった。 いきなり鏡の中の自分を見つけるといつも戸惑ってしまう。自分で感じているものと鏡に映し出される自分の印象がかみ合わないのだ。鏡の中の子猫は未だに泣き虫の甘えん坊で、どこか視線の定まらないような情緒不安定さがあって、上目遣いに見る癖と赤い唇がどうしても印象を幼くしている。もう大人の恋をしているんだ、と顎をちょっと上げて斜に見るようにしても、自慢している子供のようだった。 今まで年齢よりも上に見られることはほとんどなかった。ただ、胸の膨らみだけは同世代の子達よりも前に張り出していた。それで、春と秋の身体測定では胸を見る校医がほう、とばかりに観察するのが嫌でたまらなかった。体育の時間は見学が多かったが、それでも体育着を着てると男子の視線を集めてしまうのが辛かった。それで、愛撫される場所なのだと自覚するまではずっとコンプレックスで、服はいつもゆったりとした胸の目立たない物を選んでいた。 身体測定のことを思い出して子猫はハッとした。乳首に歯形がついてところどころ赤く擦れて血が滲んでるように見える。入学式後の身体測定に間に合うだろうか、と心配になって、今夜からはここは避けて貰わなきゃ、と呟いた。その声がまた駄々っ子のようで、子猫はため息をつきながらシャワーの蛇口をひねった。 目を閉じて体をなぞるように吹き出すシャワーをかけていると、気分はもうドラマで恋に悩む女優のようで、自分の幼さを忘れてしまっている。なのに、鏡に映る自分は人からはどう見えるのだろう? 買い物がてら外の空気に触れようと子猫が部屋を出て鍵を掛けていると、隣りのドアが開いて人が出てきた。仕事をしてる人に見えないということは大学生かな?と思って見ていた子猫と視線があったその男性は目を丸くして子猫を凝視していた。 「こんにちわぁ。」 子猫が鍵をポーチにしまいながら声をかけると、相手も慌てて、 「やぁ、どうも。初めまして。」 と返事を返して笑った。 「え・・君・・・その部屋借りてるの?」 「猫じゃないけどぉ・・・一緒に使ってるってことになるのかなぁ・・?」 「あぁ、そーゆー意味ね。そうか・・・それじゃ、あの声の主は君だったんだぁ。はは、まいったなぁ。まさか・・ねぇ・・・」 「なぁに?」 「いやぁ・・あっは。悪い悪い。・・・だってさぁ、相当激しかったからなぁ。一昨日、昨日と熟睡出来なかったよ。」 彼はそう言って笑いながら意味ありげにウィンクしてみせた。 「あ・・・ごめんなさぁーい・・・今夜は気をつけます。」 「え?!・・・タフだなぁ・・・今夜も頑張っちゃおうってのかい?」 「だってぇ・・なかなか一緒にいれる時間がないんだもん。」 「へぇ・・・相手の人って・・・もしかして?」 その先の言葉はなかったが、子猫には意味がわかったので、小さく頷いた。 「ふぅーん・・・そうかぁ・・・」 「でも、なるべく声出さないように気をつけますから。・・・ごめんなさい。」 「いやいや・・・むしろ聞きたい。」 「え・・・」 「あははははは。男なんて奴はこんなもんだよ。・・あ、ねぇ。良かったら昼飯一緒にしない?」 子猫は特に用を急ぐこともなかったし、彼の話をもっと聞きたいと思い頷いた。 それほど遠くないところにラーメン屋があった。子猫は彼と同じものを頼んで、待つ間彼がやはり大学生だということを知った。 「今まで寮にいたんだけどさ、時間に余裕が出来たし、いいバイトが見つかったから、アパート借りようと思ってたんだ。で、今年卒業する先輩の後に入る予定になってるんだけど、その先輩が出るのが遅れてて、寮は次の奴が入ってくるし・・で、一時的にあそこを借りてるって訳さ。」 「そうなんだぁ・・大変だね。」 「で?・・君は?」 「なに?」 「中学生だろ?」 「今度高校生になりますぅ。」 「へぇ・・・何か高校生ってイメージがつかないけど・・・ま、まだ入学式もしてないんだから仕方ないか。・・なるほど・・・」 大学生の彼は一人で納得しながら、それでも苦笑していた。 「なぁに?中学生が恋しちゃいけないの?」 「恋だって何だって好きにすればいいけどさ・・コップをあてて盗み聞きしてた者としての感想は・・・相当激しいセックスしてるようだったなぁ。」 「コップ?」 「壁につけてね・・よく聞こえるんだ。・・てゆーか、そこまでしなくても聞こえまくってるよ、君の声って高いから響くしね。」 そこに注文したラーメンが運ばれてきた。子猫は熱いのをすするのが苦手だったのでレンゲに取り分けて息を吹いて冷ましながら食べていた。大学生は半分ほど食べてからコップの水を飲むと、 「そうして食べる姿はまるで子供なんだけどなぁ。」 と呟くように言った。 「・・・猫って子供っぽいですか?」 「子供っぽいなぁ。・・でも一方では妙に色っぽい。何かドキドキするよ。」 色っぽいと言われたことが何だかとっても嬉しかった。知り合いならお世辞の可能性もあるが、今日会ったばかりの彼が子猫を気遣う必要はない訳で、その分彼の言葉は自然に受け取れる気がした。 「うふっ。・・ありがと。」 子猫が笑いかけると、彼は照れた顔をしてまたラーメンに取りかかった。子猫もまた熱さと戦いながら頑張って食べ始めた。 ラーメン屋を出た後、子猫が買い物をしたいと言ったので、大学生の彼が近くのスーパーまで案内してくれた。少し借りてる部屋から離れていたので、別れ際に帰り道を聞いておいた。子猫はかなりの方向音痴で来た道をそのまま帰るのが苦手だったのだ。彼は子猫が何度も確認するので、 「大丈夫かい?・・バイトの時間だからなぁ。そうでなければ付き合ってあげられたんだけど・・・」 と心配そうに言ってくれた。 「大丈夫です。」 と子猫が胸を張って言うので、 「そうか。じゃぁ頑張ってね。」 と言って走って行った。 買い物をした子猫が帰り道を間違えたのはいつものことで、何度か同じ道を行ったり来たりしてようやくマンションを見つけた時にはぐったりと疲れ果てていた。それでもひんやりとした微風が気持ち良かったので、子猫は満足感に満たされていた。 萩原が仕事を終えて戻ってきたのを迎えた子猫は、料理を並べながら昼間の事を報告した。萩原は料理を誉めながら、じっと話を聞いていたが、子猫が、 「って訳でした。」 と話を終えて笑うのを眇めた目で見て、 「まったく・・・どうして君はそう危なっかしいんだ。いきなり知らない男の誘いの乗って・・・」 と、大きくため息をついた。 「えぇー・・・食事しただけじゃん・・・」 「まぁ・・僕もそうやって食事に誘って今がある訳だが・・・だからこそ余計心配なんじゃないか。」 「違うよぉ・・・だってぇ・・・奢って貰ってないもん。」 「とにかく、だ。もう他の男の誘いには乗らないこと。いいね?」 「・・・うん。ごめんなさい。」 子猫がシュンとして項垂れたので萩原は膝に抱きかかえてキスをした。 「もう、子猫は僕だけのものだろう?」 「うん。」 「それなら嫉妬してもいいだろ?」 「うん。」 「つまりそうゆうことだ。ははは。」 「ヒロォ・・・」 子猫は萩原にギューッと抱きついた。萩原は子猫の髪にキスをして、 「さぁ、君の作ってくれた料理を戴こう。初めての手料理だね。感激だなぁ。ははは。」 と言った。子猫も嬉しいような恥ずかしいような気持ちでいた。味が好みに合わなかったらどうしよう、と心配だったが、萩原はどれも美味しいと誉めてくれた。誉められるのが嬉しくて子猫は萩原といられる幸せを噛みしめていた。 |
| <54> [魔性] |
<54>魔性 一週間も続けて外泊したのは初めてだった。途中、母親に会わないですむ昼間に家に戻ったのは二回。母親は怒る気力が失せてしまったのか、メモさえ置いてなかった。子猫は一応戻ってることがわかるように、着替えを取りにきたことと友達の家にいることをメモして置いてきた。こーゆー子を多分世間では不良と言うんだろう、と思いながらも、少しでも萩原と会ってる時間が欲しかった。 萩原も夜には二人の為に借りた部屋に戻ってきてくれた。それが七日目の夜にもなると子猫の方が不安になってきてしまった。 「奥様は・・・大丈夫?」 萩原の浮気に心を痛めて体調を崩した妻とその親族に厳しく責められた萩原は、子猫と別れたと言ってあったのだ。 「新入社員研修で寮に泊まってることになってるが・・・社長が何で泊まる必要があるのかって相当疑ってはいるようだったな。ハハハ。」 萩原は三月の段階で社長に就任していた。そのせいか最近、行動が大胆になっているようだった。 「そんな嘘・・・すぐバレちゃうじゃん。笑ってらんないんじゃないのぉ?」 「実際新入社員は二ヶ月寮で研修するのが我が社の義務だし、寮にも時々顔を出している。それに寮監にもよく言い含めてあることだから問題ないさ。」 「そう?・・ならいいけどぉ・・・」 子猫は何より萩原をこうして独占していられることが嬉しかった。体に火照りを残しながら一人の部屋に帰る必要もなく、朝まで肌を合わせて心臓の鼓動と寝息を聞いていられた。 「それに、いずれははっきりさせなければいけない事だしね。バレるならバレるでかまわないさ。むしろ言い出すきっかけが出来る。」 「いいよぉ・・・まだ先のことでぇ・・・猫はヒロのこと信じてるもん。いつかは絶対一緒になれるって。・・・だから・・・今は愛人のまま秘密の関係でいいのぉ。」 「僕の方が心配なんだよ。君はどんどん女性らしく綺麗になっていく。僕は・・・子猫が高校卒業する頃には大台に乗るからなぁ・・・」 「大台?」 「40すぎの中年になるってことさ。」 「40歳すぎると中年なのぉ?」 「昔は節目の歳だったからな。不惑の歳って言ってさ、その歳をすぎて迷ってるようじゃダメだって意味かな。もっと昔は人生40年って言ってたようだし・・・」 「そんなぁ・・・猫は100歳のヒロでも一緒にいたいー。」 「ハハ、そうだなぁ。子猫とはずぅーっと一緒にいたいよ。」 「ホント?」 子猫はうふん、と上目遣いに甘えた視線を投げた。 「ああ。・・・たまらないな・・・何て可愛いんだ。」 さっき子猫の中で力尽きたはずの萩原のモノが、また固くなって子猫のお腹あたりを押している。子猫は体を密着させてその固さを楽しんだ。しばらく言葉も途切れ、蛇の交尾のように熱い舌が絡まりあって、お互いの欲情を確かめ合った。 「・・・40すぎても・・・君にはずっと惑わされているだろうな。」 「ずっとずっと惑わしていたい・・・うふ。」 「ずっとずっと・・・子猫は僕のものだよ。」 「うん。猫はずっとヒロのもの。・・ヒロもずっと愛していてね?」 「もちろん、一生君だけを愛していくさ。」 子猫は胸が幸せでいっぱいになって、目を閉じて大きく息をついた。 そんな時、許されない関係への神様からの警告のように、水を差す何かが起こるものらしい。萩原の携帯電話がそれを語っていた。萩原は舌打ちして、呼び出し続ける携帯を少し起きあがってつかんだ。 「もしもし・・・あぁ・・・」 萩原の声の調子で相手が奥様だということがすぐわかった。電話で話す萩原の横顔を眺めていた子猫の頭の中を悪魔が高笑いしながら過ぎっていった。子猫はひとつの思いが浮かぶともう自分自身でも止めようがなくなってしまった。 子猫は起きあがると萩原にまたがって、萩原のモノを自分の熱く煮えたぎる蜜壺に押し込んだ。萩原は少し驚いたように言葉を詰まらせたが、すぐに子猫が動きやすいように腰の向きをずらして安定させた。子猫の体は萩原の肉棒をズブズブズブっと一気に根元まで飲み込んだ。 そうして子猫は挑むように萩原の目を見つめた。萩原はニヤリと口元に笑みを浮かべ、目を動かして子猫に動くように合図してきた。子猫は体をうねらせながらゆっくりと動き始めた。 「・・・ああ・・聞いてるよ。家のことだって気に掛けてはいるんだ。」 萩原は務めて声を低く保ち、普通を装って話をしていた。それでも時々たまらなそうに目を閉じて、顎を突き出すように背中を仰け反らせた。 「え?・・・あ、いや・・・何でもないさ。・・・それで何だって?・・・ああ、聞いてやるから・・・そうやって含みを持たせた言い方はやめて欲しいな。・・・ああ・・・」 萩原の電話での会話を聞きながら、子猫は次第に快感の渦に取り巻かれていった。声は出さないように注意している。だからあまり動きを早くは出来ない。それでも、徐々に体の上下運動が早くなっていく。 「・・・明日・・・は明日になってみないとわからないな。・・・ああ・・・」 萩原の表情が苦悶に歪み始めた。時々返事が滞りがちになって、口を開けて声にならない喘ぎを洩らした。 「・・・何してるって・・・君と話してるんだろ。・・・ちゃんと聞いてるよ。ちょっとTVが気になってるだけで・・・」 電話の向こうでも萩原の様子が普通でないことを感付き始めたようだった。 「わかってる。・・・ああ、それはちゃんと頭に入れてあるよ。・・・服?・・・二人で買いに行ってくれたらいいだろう?僕も忙しいんだ。・・・あっ・・・ちょっと・・・」 萩原の表情が変わった。子猫は動きを遅くして様子を伺った。 「ん・・・サァヤかい?・・・そう、パパだよ。・・・うん・・・」 子猫はドキッとして固まってしまった。サァヤとは萩原の娘の沙也香のことである。これまでも何度か萩原が子供と電話で話すそばにいたことはあった。が、こうした状況ではなかったし、小さな子供の前ですることじゃないと思うと急にいたたまれなくなった。 「ごめんね。パパもお仕事頑張っているんだよ。・・・もちろんサァヤのことは忘れてないよ。」 萩原の声は優しい父親そのものだった。子猫は切なくて動きをとめたまま萩原の男根をぎゅぅぅぅっと締め付けた。 「あっ・・ぅぅ・・・」 萩原は思わず電話口に熱い息を吹きかけてしまった。 「・・ハハ、パパも色々大変なんだよ。・・・サァヤはいい子だからわかってくれるね?・・・うん。お洋服は買ってあげるよ。・・・パパとがいいのかい?・・・わかった。パパが選んであげよう。・・・うん、約束するから・・・ママに代わって・・・」 子供はしばらく会ってない父親ともっと話していたいようで電話をすぐには交替しなかった。子猫はため息をつくと萩原から離れようと体を浮かせた。萩原は携帯を肩と顎で挟むと子猫の浮きかけた腰をつかんで、自分の腰を動かして突き上げ始めた。 「・・・ぁ・・・ぁぁ・・・」 思わず声が洩れて、子猫はあわてて両手で自分の口を塞いだ。それでも萩原は腰を動かして子猫を突き上げた。子猫は必死で声を堪えながら萩原を泣きそうな目で睨んだ。 「さっきのを続けて。」 電話を手で塞ぎ小声で子猫に指示してきた萩原は、子猫が仕方なくゆっくり動き始めると満足そうに笑って、また子供との会話を始めた。そうしながら、子猫の動きを促すように片手で子猫の揺れる胸を愛撫した。 「・・・そう・・・幼稚園に入ればお友達もいっぱい出来るよ。・・・うん、そうだよ。仲良くしないとね。・・・あぁぁ・・・パパも仲良くしたいお友達がいるよ。・・・そう、お友達は大切だね。」 意味ありげに言いながら子猫に不敵に笑いかけた。子猫は罪の意識と嫉妬による憎悪が入り乱れる中腰の動きを早めていった。両手を前について少し腰を浮かせ、萩原のモノが自分の中を上下して擦り上げるのを確認しながらその感触を楽しんだ。奥まで突かれる度に溢れ出す蜜でグチュグチュと淫靡な音がしている。時々洩れてしまう子猫の声を萩原はTVの音だと言って誤魔化しているようだった。 やっと子供が母親と電話を代わったようだった。萩原の表情と声のトーンでわかる。萩原は子供を電話に出したことを少し怒ったように言ったが、もう話す気がない、とすぐに電話をきった。 必死に押さえ込んでいたものがようやく開放されて一気に吹き出した。ズンズンズンと腰を激しく上下させて体を大きく仰け反らせ、子猫は叫びに近いよがり声をあげて絶頂に達した。萩原の胸に崩れ落ちて大きく息を弾ませていると涙が溢れてきた。子猫はまだ繋がったままの状態で萩原の胸で号泣した。萩原は、 「済まない。いつも辛い思いをさせてしまうね。」 と、子猫を抱き締めて体をさすって慰めてくれる。が、子猫は自分の醜さが悲しかったのだ。どんなに綺麗事を言い、心配してる風を装っても、いい子の仮面を剥がせばこんなにも残酷で自分勝手な女の性があるのだと思い知らされる。愛されていると思い上がった基盤に成り立っている暴挙。愛されているだけでは満足出来ずに、自分のものだと主張する愚挙。子供に自分の浮気を見せつけたい親はいないだろう。それでも子猫の方を大事にしてしまう残忍な父親にしてしまったのは子猫のくだらない嫉妬なのだ。なんとか気付かれずに済んだから、まだ自分の醜さを言い訳する逃げ場に隠れられるかもしれないが、気付かせたい衝動にかられていた自分をどう言い訳出来るだろう。自分自身には嘘はつけない。 「ごめんなさい・・・」 子猫はどうにか落ち着いてくると、まだ涙をこぼしながらも、そう言った。 「悪いのは僕なんだ。君の優しさに甘えて・・いつまでも自分の立場を守ることを優先させてきてしまったから・・君が辛くなるのはわかっていたのに・・・」 「そうじゃないの・・・猫だって・・・ヒロの立場守りたいよ。・・・なのに・・・なのに・・・あんなバカなことしちゃって・・・自分が怖いの。」 「どうして?嘆くことなんか何もないだろ?・・・さっきの子猫はとても挑戦的で綺麗だったよ。」 「・・・嘘・・・醜いよ・・・」 「本当さ。・・ハハ。あんまり綺麗だから思わずみとれてたんだ。狩りの名人月の女神アルテミスの少女時代があるとしたらこうだったんじゃないかってね。ハハハ。」 「セーラームーン?って・・あれは正義の味方だけど・・・猫は悪者の方だよ。」 「ハハハ。いや、アニメのじゃないさ。ハハハ。そうかそうか、子猫はまだまだアニメ世代だったな。ハハハハ。」 萩原があまりおかしがるので子猫は頬を膨らませた。萩原はクスッと苦笑を零して笑いを納めると宥めるようにキスをして、 「可愛いよ。どうしようもなく君に溺れてる。君になら魂を狩られてもいいと思ってしまう。」 と真剣な眼差しで言った。子猫はしばらく萩原と見つめ合っていたが、胸にもたれると目を閉じた。目眩のような睡魔が襲ってきて子猫は言葉も途切れがちに、 「眠・・い・・・」 と呟いた。 「お休み。僕の女神。愛しているよ。」 萩原の囁きを遠い夢の中で聞き、そのまま深い眠りに落ちていった。 |
| <55> [セーラー服] |
<55>セーラー服 高校の入学式。赤い二本線の入った紺地のセーラー服に身を包み、一生徒として講堂に並んだ子猫は女性ばかりの園に圧倒されていた。みんな大人びた顔に見える。中にはまだ幼さを残している生徒もいるが、すでに少女から女性へと変わりつつある姿がこの講堂にはあふれていた。中学で最高学年だったのがここでは最下級生なのだから、自分達が子供っぽく見えるのも仕方ないが、上級生の落ち着いた雰囲気をみるとますます自分が場違いに思えてしまう。これからの3年間を無事に過ごせるだろうかと不安な気持ちでいっぱいだった。 青い通学鞄に教科書を詰め込むと肩に痛いほど食い込んでくる。家に帰って背負っていた通学鞄を降ろすと、緊張がほぐれると同時に疲れがドッと出た。母親はさっさと着替えをすませると、仕事に出掛けていった。 子猫は制服を着替えるのも怠くて、そのままベッドに仰向けになっていた。と、萩原に持たされている携帯が鳴った。相手はもちろん萩原で、入学のお祝いをするからおいで、と言うものだった。子猫は急に元気が出てきて、すぐに承諾するとベッドから飛び起きた。 着替えようかとも思ったが、高校の制服を見せたくなって、そのまま出掛けることにした。中学のブレザーの制服から高校のセーラー服になっただけで、少し大人になったような気がしていた。すれ違う男性の視線がブレザーの頃より目の輝きが違うようにも感じて、少しくすぐったいようだった。子猫の行く高校ではルーズソックスは禁止になっていたが、むしろ子猫はピタッとした紺のハイソックスが気に入っていた。 駅で待っているといつものように萩原が迎えにきてくれた。車に乗り込んだセーラー服姿の子猫を萩原は目を見張って眺め、 「いやぁ・・・ハハハ。可愛いなぁ。」 と言った。 「制服で来てくれるとは思わなかったよ。」 「だってぇ、見せたかったんだもぉん。」 「光栄だねぇ。・・いや、本当にさ。車を近づけていきながらドキドキしてしまったよ。」 「そっかぁ・・中学の時は制服では会わなかったもんね。」 「それはそうだろう。いくらなんでも・・中学の制服はマズイよ。」 「高校の制服の人はけっこう町に出てるもんね。」 「まぁ・・あれは別の意味で問題ありそうだが・・・」 「え?」 「いや。そうだな。高校生になれば自分のことには責任を持つってゆう自覚も生まれるだろうし、周りもそうした目で見るだろうからね。」 「うん。制服着てると何だか視線まで違う気がしちゃう。ふふ。」 「んー?それはちょっと危険だなぁ。」 「何でぇ?」 「男性にはセーラー服マニアがけっこういるからなぁ。・・心配になるよ。」 「そうなのぉ?・・・うふ。でも、セーラー服って可愛いもんね。」 「魅惑的だよ。思わず犯したくなる。」 「うっそぉー?!・・・いやぁ・・・」 「ハハハハ。冗談、冗談。」 萩原は笑いながら煙草を取り出したが、火を付けようとしてちょっと躊躇った後、しまいなおした。 「制服に匂いが移るとマズイな。」 「え・・・大丈夫だよぉ・・・」 「いや、意外と敏感な人にはわかるらしいから。」 「そうなんだぁ・・・ごめんなさい。」 「謝ることはないよ。それよりも本当に嬉しいんだから。ハハハ。・・・でも、昼間から制服の子と食事出来る男は父親くらいだろうし・・僕は父親に見えるかなぁ?」 「そんなの無理に決まってるじゃん。」 「ハハハ。そうか。・・・それじゃぁ部屋に行って、着替えてから食事に出掛ける?」 「うん。」 春休みに借りていたウィークリーマンションはまだそのまま借りてあったし、何日か泊まりで行っていた時の服もまだ置いてあったのだ。 「あそこはいつまで借りられるの?」 「いつまでって決まってないさ。あそこがあると便利だから、このままずっと借りておこうかと思ってるんだけど、どうかな?」 「ホント?・・わぁーい。嬉しいなぁ。」 「ホテルのゆったりしたベッドで愛し合いたい時もあるけどね。」 「・・・うん・・・でも、一人でも待っていれる場所があるのって嬉しいんだもん。」 「ハハ、そうだな。だからずっと借りることにしたんだよ。」 「うん。ありがとう、ヒロ。だぁーい好き。」 子猫は萩原の横顔にキスをした。萩原はくすぐったいように目を細めて笑っていた。 部屋に入るなり萩原はセーラー服の子猫を抱き締めた。 「脱ぐ前に・・このまま犯したい。」 そう言って、立ったままスカートをたくし上げて手を入れてきた。子猫はバランスを崩しそうになってよろけながら萩原にしがみついた。萩原の目はいつもより妖しい光を放っていた。片方の腕で腰を支えられて、もう一方はスカートの中をまさぐっている。ショーツを履いたままその脇から指が直接膣に侵入してくると、何故かドキドキしてしまう。初めて出会った夜、いきなりそこに触れられた時のことを思い出した。あの時、子猫はもしかすると犯されていたのかもしれない。会ったばかりの男性に許していいことではなかったが、萩原に見つめられると逆らえなかった。そんなことに思いを巡らせていると切なさが込み上げてきて体が熱くなってくる。溢れ出した蜜がショーツをぐしょぐしょに濡らしていた。初めは一本だった指が二本になりグッと奥まで入れられると力強く掻き回される。 「あぁぁ・・・ヒロォ・・・」 子猫は立っているのが辛くなって萩原の肩につかまりながら仰け反った。 「このまましゃがんでしゃぶって。」 萩原は子猫の耳に熱い息をかけて言った。子猫は崩れるように跪くと、萩原がズボンの前を開けて掴みだした男根をくわえた。くわえながら上を見上げる子猫を萩原は満足そうに見下ろしていた。二人の視線が絡み合う。子猫はこの状況に陶酔していった。 夢中で頭を動かす子猫を一端引き剥がした萩原は、子猫をベッドに寝かせると、スカートをかぶるように股間に潜り込み、花弁を舐めまわして愛撫した。 「ふぅっ・・・制服の独特の匂いとオマンコの匂いが絡まってたまらないなぁ。」 とスカートから顔を出した萩原が笑って言った。子猫が困って言葉を返せないでいると、萩原は子猫のハイソックスの足を両肩にかつぐようにして、子猫の中に固くそそり立つ男根を挿入してきた。子猫の反応がいつもより戸惑っているようなのに気付いた萩原は、 「どうした?・・・怖い?」 と腰をゆっくり動かしながら聞いてきた。 「・・・少し・・・」 「制服だといけないことをしている気になるだろう?」 「・・・うん・・・」 「制服は本来勉強する時の姿だからね。」 「・・・うん。」 萩原は子猫の顔を見つめながらリズムをとって突き上げ、子猫が感じて声を漏らすのを観察して楽しんでいるようだった。 「この制服で明日から勉強をするんだなぁ・・・」 「あん・・あぁ・・・そうかな・・・あんん・・・」 「そう思うとぞくぞくするよ。・・・わかる?」 「・・・わかんない・・・ぁぁ・・・」 「制服は公共の場で規律を守っている時に着るものだろう?」 「・・・んー・・・」 子猫は萩原の言うことが何となくしかわからなかったが、それよりも体が汗ばんできて、制服がうっとおしくなっていた。 「ねぇ・・・もう脱ぎたい・・・」 「今日はこのまま・・・最後まで制服の君を見ていたいんだ。」 「あぁん・・・暑い・・・」 「拘束するものがあって・・・破壊するものがある。その醍醐味かもしれないな。」 「よくわかんないよぉ・・・」 「そうだな。・・・フフ、理屈はどうでもいい。ただ・・・ただ、可愛くてたまらない。そうゆうことだ。」 萩原は担いだ足の間から子猫にキスをした。子猫は圧迫される息苦しさに喘ぎながら感じている自分が愛おしかった。こんなにも萩原が好きなのだ。制服のままセックスをするなんて常識から考えればいけないことをしているのに、そのいけないことを萩原と一緒にしてることが罪悪感の共有のようで嬉しかった。 萩原は制服に刻み込むように、いろいろな姿勢を子猫にとらせてはその都度子猫をいかせた。ぐっしょりと汗をかいて制服は湿気で重さを増したようだった。 「それじゃ・・着替えて出掛けようか?」 ベッドにぐったりとはりついている子猫を愛おしそうに見つめて萩原が言った。 「・・・うん・・・制服・・・ぐしょぐしょになっちゃったじゃん・・・」 「かけて下げておけば大丈夫だよ。暖房つけたままで出れば帰る頃には乾いてるし、しわになったのも直るだろう。」 「ふーん・・・」 「フッフッフ、怒ってるのか?」 「・・・別に・・・」 子猫は怠そうに起きあがると、制服を着替え始めた。萩原は手慣れた様子で手伝ってくれた。そう。つまりその手慣れた様子が子猫には面白くなかったのだ。萩原が若い子を好む遊び人だったことはわかっている。それを知ってもなお付き合ってきたのだし、今は子猫だけを愛していると言ってくれている。子猫と頻繁に会っている状況では他の誰かと浮気する暇はないだろうし、家庭さえおそろかになっている現状では、子猫にそれを言う資格はないと思う。それでも、つい、これまでに制服で抱かれた子はどれくらいいるのだろうと考えてしまう。 「どうした?」 セーラー服をエアコンのそばに吊した萩原は不機嫌そうに私服を着る子猫を不審そうに見て言った。 「・・・ちょっと・・・まだ疲れてるだけ・・・」 「あんまり可愛かったから無理させすぎたかな?」 萩原は背中から子猫を抱き締めて、汗ばんだ首筋を唇でなぞった。 「ドラキュラがここを狙う気持ちがわかるなぁ。ハハハ。僕もかじりつきたい衝動にかられるよ。」 「あ・・ダメェ・・・痕をつけないでぇ。」 「わかってるって。身体検査が心配なんだろう?・・だから今日は大好きなおっぱいをしゃぶるのを我慢したんだぞ。」 「そうなの?」 「乳首をこれ以上赤くさせるわけにはいかないだろ?」 「うん・・・」 「どう?・・・赤みは引いたかな?・・・調べてみるか・・」 萩原が子猫の上着を押し上げようとするのを押さえて、 「大丈夫だからぁ・・・もぉ・・・」 と体を反転させた子猫が睨んだ。 「疲れてるなら無理に出掛けなくてもいいんだよ。このまま何か出前を取ってもいいし・・」 「ダメェ・・・出掛けるのぉ。」 「ハハハ。そうか、わかった。わかった。じゃぁ機嫌直して出掛けようね?」 「うん。」 子猫は苦笑して背伸びをすると萩原に自分からキスをした。やっぱり何があっても萩原が好きなのだ。それなら過ぎたことで怒っていても仕方がない。今、愛されているのは自分なのだから。と、子猫は舌を絡めながら思うのだった。 |
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