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子猫白書

<11>〜<15>

<11>
[塾]
<11>塾

 子猫の行っていた塾は町中に近いビルの中にあり、週3日6:30〜9:30までを時間割で5教科学習していた。バスも通っていたが本数が少なかったので子猫は自転車で20分ほどかけて通っていた。

 子猫の母親は子猫が中学にあがった時から働くようになっていたが、父親のいた時には昼間だけのパートだった。けれど、父親が亡くなり、収入が減ったこともあって正社員として働くようになっていた。その為子猫が家に帰る時間に母親のいることはめったになく、残業や大人の付き合いもあって帰宅が深夜になることもあった。それで子猫には毎月1ヶ月分の夕食代も含めたお小遣いが渡されていた。
「また倒れて恥をかかせないで頂戴ね!あなたに何かある度に母親の責任って言われるのよ!私だって精一杯頑張っているのに!これ以上どうしろって言うのよ!誰が私の代わりをしてくれるって言うの?誰が私をわかってくれるのよ!」
 退院した子猫にむけられた言葉がこれだった。疲れていたのだと思う。悲しくても泣いている暇もなかったのだと思う。倒れるまで悲しみに浸れるのは我が儘以外のなにものでもなかったのだろう。子猫も理解したかったし、協力出来ることは何でもしたかった。でも母親は手を出そうとすることをうるさがるか、全てをまかせてしまうかで、一緒にしようとはしなかった。朝も子猫は二人分のサラダを作り卵を焼きパンをトーストして、忙しそうな母親の背中に「行ってきます。」だけ言って出るのだった。家庭での会話は消えてしまっていた。

 塾のある日は学校から急いで帰るとシャワーを浴び、着替えて早めに家を出ると駅ビルの中にあるマクドナルドでセットメニューを頼んだ。選べる景品の密かなファンだった為である。それでも時には食券を買ってうどんを頼み、駅のベンチで食べることもあった。時間的にはまだ帰宅ラッシュにかかっていなかったが、大人や高校生の男子に混じって注文するのは勇気がいったし、通り過ぎる人達の前で食べるのもかなり恥ずかしいものがあった。
 その反動でか塾のない日には自分で料理を作るのが楽しかった。料理の本を買って、新しいメニューに挑戦し、自分なりに上手に出来たと思った日には母親の帰ってくるのを食べずに待っていた。でも、そんな日に限って帰宅が深夜だったり、残しておいた料理が次の日に学校から帰ると流しに捨ててあったりすると、悲しいよりも自分の居場所が見つからない迷子のような心境に陥り、呆然となり、・・心が寒かった。

 委員会会議が長引いて帰りが遅くなったその日、シャワーか食事かの選択でシャワーを取った子猫は駅ビルには寄らずに塾へ行った。塾はその日1、2講時だけで3講時目が休講になっていた。
 いつもならそのまま帰宅していた子猫だったが、その夜は町の方のネオンが気になっていた。お腹も空いていたこともあって、少しだけ町に行ってみよう。と思い立った。
 本通りとデパートの並ぶ通りしか知らなかったが、そこには飲食店はあまりなかったかな、とも思ったものの、ネオンを頼りに適当に行けばなんとかなるさぁ〜と思っていた。そしてそう思った時、フッと(翔は元気にしてるのかなぁ?)と長身でアイドル顔で不敵な笑いを浮かべる暴走族の少年があの高笑いとともに頭をよぎっていった。
<12>
[萩原]
<12>萩原

 目の前に男性がいる。子猫がスパゲティーを口へ運ぶのを飽きもせずに眺めている。自分の注文したピザも子猫に薦め、ワインをゆっくりと飲みながら眺めている。男は萩原浩之37歳と名乗った。
(パパより少し若いなぁ。)
それが子猫の第一印象だった。その彼が何故子猫の目の前で食事するのを眺めているかといえば、いわゆるナンパされたのだった。自転車を駐輪場にとめ、なかなか入れるお店が見つからずにぶらぶらと歩いているところを声をかけられたのだ。食事出来るとこを捜してるという子猫を男は美味しいイタ飯を御馳走しよう、とこの店に連れてきた。

「ご馳走様です。」
ピザを一切れとスパゲティーを半分ほど食べた子猫はそう言ってちょこんと頭を下げた。
「もう食べないのかい?まだこんなに残ってるじゃないか。・・ダイエット中かな?ハハ」
「ダイエットなんてしたらまた入院しちゃう。ここって量が多いですよぉ。そんなに食べれないですぅ。」
そう言って子猫が肩をすくめると、萩原は、
「入院?」
と訝しげに聞き返した。
「あ・・ちょこっとだけ体調不良で・・でももう全然平気なんですけど。」
「ホントに?大丈夫?」
「はい!だってぇ〜ここまで自転車で来てるんですからぁ〜♪」
子猫が大きくまばたきをしてにっこり笑うと萩原も安心したように笑った。そして、
「ハハハ、そんなに天使の微笑で誘惑しないでくれよ。」
と片目をつぶってワイングラスを乾杯するような仕草であげた。
「誘惑ぅ〜?してないですよぉ〜。」
「ほらほら、そのちょっと拗ねた顔も可愛いし・・おじさんはめろめろになりそうだよ。」
「おじさん・・なんて・・若いぢゃないですかぁ〜。」
(パパより・・・)
「アハハ、嬉しいなぁ。マジかい?」
子猫がにっこり笑ってうんうんと頷くと
「じゃぁ・・希望が持てそうかな?」
と言って身を乗り出すようにしてきた。
「・・希望?」
「そう。・・デートに誘いたいんだけどな。」
「デート・・?」
「うーん。そーだなぁー・・今度の休みにドライブに誘ったら・・嫌かい?」
萩原は胸から手帳を出して中を確認してそう言った。ドライブという言葉に子猫は父親と行った海とその海岸線の潮風を思い出していた。
「海!海がいいなぁ〜♪」
「ハハハ、それじゃぁ早起きしないと忙しいぞ。起きられるかな?」
「何時でも大丈夫だもん!わぁ〜い!」
子猫は嬉しくて手を叩いて喜んでいた。
「しぃー。・・レディーはそんなにはしゃぐもんじゃないよ。」
「ぷぷぷ〜!レディ〜レディ〜・・レディーぢゃなかったらぁ〜どぉ〜するぅ〜?」
子猫が悪戯っぽく横目がちににんまりすると萩原は吹き出しそうになるのを手で押さえて笑いをこらえ、それからクスクス笑いながら、
「小悪魔スマイルかな?それも魅力的だなぁ。・・レディーじゃなかったら・・お仕置き・・かな?ハハハ」
と言ってテーブル越しに子猫の手をつかむと、もう片方の指で軽く叩いてから優しく撫で、
「でも、可愛いから・・」
と言った後、子猫の手の甲にキスをした。ズキン!!と子猫の胸に切なく疼くような感覚が走った。頬が火照り視界がぼやけてくるようだった。萩原はクスッと笑って、もう一度子猫の指先にキスをした。キュン!!体の奥が疼いた。子猫は体の一部が熱くビクンビクンと反応している自分に気が付いて、真っ赤になってうつむいた。

 駐輪場まで子猫を送ってきた萩原は人気のないとこまで来ると、子猫を抱き寄せキスをした。押し包みながら強く吸う熱いキスで子猫は頭の芯がボォーッとしてくるようだった。そして、ノブとの何度かのデートの度に求められるものの拒んでいた行為をあっさりと許してしまった。  キスをしながら萩原の手がスカートをたくし上げ、太股に触れるのに気付いていたがそのままなすがままになっていた。むしろ熱く湿って疼くその部分はビクビクとその時を待っているかのようだった。そして萩原の指先が花弁に触れた時、子猫は彼の女になった気がした。

彼の指に翻弄されてのぼせたようになっている子猫が落ち着きを取り戻すまで優しく抱き締めていた萩原が、
「このまま帰したくないな。」
と言った後、
「でも、ちゃんとつき合いたいから、君のことを大事にするよ。今夜はこれで帰りなさい。」
と、子猫の額にキスをした。
「本当なら家まで送っていきたいとこだけど・・」
「ううん。大丈夫。・・これ、ないと困るし。」
心配そうに言う萩原に子猫ははにかみながら言った。萩原に初めて声をかけられた時より、食事をしながら会話していた時より、恥ずかしさでまともに顔を見ることが出来なかった。それでいて、今は萩原が誰よりも身近な人に思えていた。
 名残惜しいのは萩原も同じだったようで、もう一度長いキスをして、
「約束だよ。」
と確認した。子猫は何度も頷いて、
「海。」
と答えた。
<13>
[神社]
<13>神社

 塾のない日は家に帰って洗濯物を取り入れたり掃除をしてから、自転車で買い物に行く途中、神社に立ち寄るのが、ノブと付き合い始めてからの習慣になった。神社の近くにノブの家があるので部活の野球の練習が終わって帰宅するノブと待ち合わせる為だった。

 昨日萩原と知り合って、知り合ったばかりなのにキス以上の関係になってしまったことで、子猫はノブへの後ろめたさを感じていた。昼休みもノブの顔をあまり見ることが出来なくて、一方的に話すノブに相づちを返すのがやっとだった。
 うち明けるべきか、違う理由をつけて別れるべきか、昨日からずっと悩んでいたが答えが見つからなかった。いつもは人気のない境内で待つのが怖くて、待っているのを長く感じていたが、今日はもっと考える時間が欲しかった。ただ、いくら考えても結論は出なかったが。

「お待たせ」
いつもの白い歯がこぼれる笑顔で子猫の肩をポンっと軽く叩いた。子猫はビクッとして顔を見上げる。
「何ぼんやりしてたんだ?考え事?・・そう言やぁ昼休みの時も元気なかったし・・調子悪いのか?」
「ううん。何でもない。」
「ならいいけど。・・ごめんな。こんな遅い時間しか会えなくて。」
「全然遅くないって。塾帰りの時の方が遅いもん。」
「それに休みの日でも練習試合続きでゆっくり会う時間もないしさ、悪いと思ってるんだ。」
「学校で毎日会えるし、・・こうやって二人きりでも会えるんだもん。それで充分だよ。」
「俺は充分じゃないー。」
ノブはそう言って笑い、子猫の手を引いて社の横の木陰に連れて行く。そこには一人で座るには調度いい石があって、ノブはそこに座って自分の膝の上に子猫を座らせるのだった。
 いつものキス。そして胸への愛撫。この場所を見つけた時からノブは子猫のふっくらとした胸も愛撫するようになっていた。Tシャツを着てくると首までたくし上げて胸を露わにしようとするので、子猫はここへ来る時には前の開く服とフロントホックのブラジャーを着けることにしていた。
 乳首を吸われる時、子猫はノブの鍛えた逞しい腕に背をもたれてのけ反った。優しい感触、温もり、切ない感覚。
「あン。。。」
思わず声が漏れる。熱い吐息をはァ・・と空に吐いた。空にはもう星が瞬いていた。
 今日もノブは膝からそっと手をすべらせて子猫の太股の内側をわってその奥に進もうと挑戦した。いつもは股をしっかり閉じて拒んでいたが、昨日の出来事の後ろめたさがその先を許してしまった。
「ありがとう。もう最高。」
子猫の唇から耳元へ移ったノブの唇が囁いた。
「・・お願い。・・あまり奥は・・怖いの。」
「うん。・・中指だけならいい?」
「あ・・ぅ・・そんなに強くは嫌ぁ。。」
「痛い?」
「・・少し。。」
「ごめん。そっとするから。」
「・・ん。。。」

「女の子の・・がこんなに温かくて気持ちいい感触だって知らなかったなぁ。」
子猫が服の乱れを直してるそばで自分の指の匂いに浸っているノブが言った。ノブは途中2度も中断して木陰の石のある場所からもっと隅へ行くと自分のものを処理してきていた。それでもまだ子猫の体に手を伸ばした。買い物しなきゃ、と子猫が困ったように涙ぐむのでようやく離してくれたのだった。
「指が感じるなんてことがあるんだな。猫のアソコがピクピクしながら吸い付いてくるから・・うぅ・・思い出したらまた勃起してきた。」
「エッチ!」
ブラウスのボタンをかけながら上目使いに睨んで言うと、
「ごめん。俺って正直でさ。」
とかがみ込んで軽くキスをした。子猫は頬を膨らませた。そして何故か涙が零れてきた。ノブは焦った顔になり、子猫を抱き締めると髪を撫でたり背中をさすったりした。
「悪い。俺のぼせあがってて・・女の子の前で言うべきことじゃなかったな。マジごめん。」
子猫は涙が止まらなくなっていた。ヒック、ヒックと肩を震わせた。
「ごめん。・・だけど俺、本気なんだ。」
「・・・からかってる。」
「違う!真剣だって!マジ惚れてるし、猫が欲しいのも触れたいのも好きで好きでたまらないからなんだ。」
「もう・・ここ来ない。」
「何で?!・・初めてだったのに怖がらせちゃったなら謝るから・・来ないなんて言うなよ。時間も遅くならないように気をつける。帰りは家まで送っていく。・・なぁ・・怒るなよ。」
「・・・エッチなことばっかなんだもん。」
「それはだから・・・猫は嫌なのか?」
「・・・わかんない。」
「感じてるだろ?」
「・・・わかんない。」
ノブは困ったように唸ると子猫の頭に自分の頭をグリグリと擦りつけた。
「可愛くてたまんないんだよ。猫を見てると我慢出来なくなるんだ。儚げで消えそうで、それでいて・・悩ましくて。捕まえていたい、触れていたい、俺のものだって実感していたいんだ。」
「・・・ノブ・・・」
「早すぎるかもしれない。・・無理な要求だったのかな?・・だけど遊びとか・・そんないい加減な気持ちじゃないんだ。・・大事にする。絶対大事にするから・・な?」
ノブは子猫の顔を覗き込むようにして、子猫の涙にキスをした。頬にも目元にも額にも鼻にも。そして最後にゆっくり唇にキスをした。
「その顔がどんなにそそってるか・・知らないもんな。」
<14>
[娼婦]
<14>娼婦

「まだ眠いのかな?」
萩原は車を高速道に乗せるとそう言った。高速道はスキーシーズンも終わり海水浴にはまだ早く、スムーズに流れていた。
「いつもより1時間早いだけだもん。眠くないです。」
「へぇー、そんなにいつも早起きなんだ?」
「まぁ・・」
返事ともつかない言葉を返して子猫は左側の窓から外を眺めた。高い防音壁が続いている。
「高速はドライブには向かないかな?でも、少し行けば山が見えてくるよ。海に着くまで飽きないでいてくれるといいんだけどな。ハハ」
萩原はラジオをつけて高速道路情報を聞きながら、
「この調子なら2時間もしないで海にでられるな。」
と言ってカセットに切り替えた。サザンの軽快な曲が流れ始めた。萩原はボリュームを上げた。後ろからも脇からも音が響いてシートに振動が伝わるほど大音響にしたのだ。子猫がびっくりした顔をすると、
「ハハハハハハ、せっかくのドライブ、楽しまなきゃね。」
と言ってスピードを一段とあげたようだった。

 高速を降りる手前で萩原はサービスエリアに立ち寄った。萩原はおだんごと飲み物を買ってくれた。それぞれトイレをすませて車に戻ったが、萩原はエンジンをかけたまますぐには発進しなかった。
「後悔してる?・・ずっと塞いでるようだし、もし帰りたいならここを降りて、反対の高速にのるけど?」
あ・・っと子猫は萩原の顔を見た。萩原は少し苦笑したものの怒ってはいないようだった。
「・・海・・」
「ああ、この山の向こうはもう海だよ。海に出たらしばらく海岸沿いを走ろうと思ってる。・・どうする?」
「行きたい。・・けど・・」
「ん?」
うつむいた子猫の手を萩原は優しく握った。子猫の体温が上昇する。ドキドキと鼓動が耳に聞こえるようだった。
(どうしてこんなに好きなんだろう?・・だけど・・)
「猫ね・・彼氏がいるの。」
「ほぅ。」
隠しているのが嫌で軽蔑されることも覚悟で告白した子猫だったが、萩原はクスクスと笑い出した。
「そうかぁ、彼氏がちゃんといるのかぁ。クスクス、それは良かった。」
「・・え?」
「いやさぁ・・実は焦ってたんだ。夜のネオンの中で君を見た時は君の瞳に映ったネオンライトに誘われるままに声をかけたんだけど・・太陽の光の中で見る君はあまりにも・・その・・幼いからさ・・僕は誘拐犯か?!幼児虐待か?!と・・自己嫌悪に陥り始めてたとこだった。」
「幼児って・・これでももうすぐ15歳になりますぅ。」
「15かぁ・・」
萩原は子猫の顔を眺めた後、視線を胸に落とした。
「その胸なら高校生もありかな?って思ったけど、それは無理だったかぁ。・・でも彼氏がいるのなら発達も早いのかな?」
「関係ないですぅー!」
「アハハハ、そうかい?・・で、その彼氏は社会人?」
「同級生。」
「ほぅ。・・清い交際?」
「・・でもないかも。。」
「アッハハハハ!いいねぇ。」
「だけど!」
「ん?」
「・・最後まではいってないもん。」
萩原は笑うのをやめて真顔になった。
「そうか。・・なるほど。」
子猫の顎を軽くあげるように手を伸ばし、そのまま指先で顔のラインをなぞった。子猫の乳首がキュンと固く立ってくる。頬が火照り、目が熱っぽく潤んでくるのが子猫自身にもわかっていた。男の愛撫を知った花弁から蜜が溢れ出す感覚に子猫は思わず紅みを増した唇から吐息を洩らした。萩原は誘われるようにその唇に短いキスをした。
「幼い顔と娼婦以上に悩ましい表情・・もう魔性以外の言いようがないな。・・天使か悪魔か・・見極めてみようか・・溺れてしまうか・・今の僕には判断がつかないな。」
「・・・・??」
子猫には意味がわからなかった。ただ、娼婦と言われた言葉が頭に響いていた。ほとんど無意識に萩原のキスで濡れた唇を舌先でなぞっていた。
「おいおい、今からそんなに挑発しないでくれよ。運転が危うい!ハハハハ!」
そう言って萩原は車を発進させた。
「もう、嫌と言っても帰さない。いいね?」
子猫は黙ったまま、うん、と頷いた。
<15>
[初体験]
(非公開)

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