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mikado







§2§「性奴隷」


 4月10日、土曜日。
 御門鷹麿が満18歳になる日だ。


「御門様、お誕生日おめでとうございます!」
 校門で待ち構えていた女生徒が、校門を抜ける御門に、プレゼントを掲げて歩み寄る。
「あぁ。三橋君か、いつもありがとう。」
 御門はプレゼントを受け取りながら、余裕の笑みを浮かべ軽くウィンクをした。
 女生徒は少し首を傾げた上目遣いに御門を見つめ、頬を染めて瞬きをしている。
 御門はその場でプレゼントのリボンに挟んであったカードを開き、中の言葉を読んで謎めいた笑いを洩らし、一瞬艶っぽく流し目を女生徒に送ってから、
「そうか・・メアドが変わったんだね。今度、メールするよ。じゃ。」
 と、カードを戻して、昇降口に向かう。
 目を潤ませて御門の後ろ姿に頭を下げた彼女は、”お手つき”の女生徒だったのだろう。

 だが、御門に誕生日プレゼントを贈るのは”お手つき”の女性だけではない。
 昇降口までには点々と、綺麗に包装された包みを持った女生徒達が並び、皆一人ずつプレゼントを渡して声を掛けて貰うのを待っている。
 全校生徒の名前を全て覚えている御門は、同じように名前を呼んでは礼を言い、カードを確認する。
 山となっていくプレゼントは、気が付いた男子生徒が荷物持ちを買って出て、受け取っていく。
 カードを確認した御門は、メアドのない相手には、
「プレゼントを開いた後で、サンクスメールをしたいから、記入しておいて欲しいな。」
 と、その場でカードに記入して貰う。
 普段は1m以内女性侵入禁止令を出しているが、それでも生徒会長を二期務めるだけあり、対応はそれなりに心得ている。
 生徒会長になったからといって、支持者を軽んじると、生徒総会で会長側の意見に支持を貰えないことをちゃんと承知しているのだ。


 兎にも角にもこうして御門の誕生日の朝は、輝かしく迎えられた。
 土曜日でも午後2時まで授業があるのは、私学ならではだろう。
 部活動の時間を多く取る為に平日より授業数は少なくなっていても、公立では土曜日が休みの所もあるのだから、実に都合が良かった。

 御門が自分のクラスに辿り着くまでに、荷物持ちの男子生徒は10人になり、ズラリと御門の後ろに付き従っていた。
 御門はプレゼントを抱えてきてくれた男子生徒一人一人の名前を確認するように呼び、
「ありがとう。取り敢えず生徒会会長室に運んでおいてくれ。」
 と言って、クラスに入った。
 男子生徒達は嬉しそうに生徒会会長室へと方向転換して、荷物を運ぶ。
 何故嬉しいかと言えば、御門がプレゼントを開いてから、手伝った男子生徒に欲しい物を譲るからだ。
 いくら何でも100個以上のプレゼントを御門が持ち帰ることは出来ない。
 御門が1年生の時のクリスマスに、貰った贈り物をそうして譲って以来、バレンタインデーでも誕生日でもその他の色々なイベントでも、恒例となっている。
 また、譲りきれないプレゼントも、手作りクッションとかなら会長室のソファーに置かれ、クッキーやチョコの類は役員会などに出されたりする。
 生徒会室及び会長室で使用される美しいカップもプレゼントされた物で、香り高い紅茶もスペシャルブレンドのコーヒー豆もミルもドリップも全てプレゼントだった。
 贈る女生徒達もそれは承知していることで、彼女達は御門のサンクスメールが楽しみだった。
 懸賞に応募して当たりを祈る気持ちで待っているようなものだ。
 実際、こうしたイベントの後で、”お手つき”になる女生徒は確実にいた。

 そして、入学したばかりで事情を知らない一年生達は、先輩から朝の異様な光景の訳をこっそりと聞き出した生徒が流した噂に、驚きと感嘆の溜息を漏らし、特に女生徒達は”次のチャンスこそは”と自分も参加しようと心に決めるのだった。
 もちろん、そんな不謹慎なイベントを不快に思い、御門に反感を覚える女生徒もいるが、そうした生徒達でも御門の生徒会長としての有能ぶりは認めている。
 男子生徒達も似たようなもので、羨ましさから敵意を抱いても、容姿から頭脳、体力、行動力、などあらゆる才能で、御門を評価せざるをえなかった。
 それに、そう心の狭い男子ばかりでなく、心から御門を崇拝し、憧れる男子生徒達も多数いた。


「おぅおぅ・・・ご苦労様なことだ・・・」
 御門へのプレゼントを運んでいく男子生徒達の後ろ姿を、見送った東郷が呟いた。
 東郷は御門とクラスが違うので、御門から指定されていたカーナビを持って、教室まで届けにきたのだ。
「御門。ほら、ご指定の物を持ってきたぞ。」
 東郷が箱の入った紙袋を、御門の机の上に置いた。
「フム・・・最新のだろうな?」
「今一番人気のある商品らしいぞ。・・・最高級品とまではいかないが、それでもけっこう苦労したんだから、もそっと喜べ。」
「喜んでるさ。感謝の意を表して、初運転にはお前を乗せてやる。」
「・・・は・・初か・・・(…嬉しいような嬉しくないような…)・・それは光栄だな。」
「明日、お袋に報告に行くから、ついでに箱根のドライブコースを回って来よう。」
「・・・・・いきなりヘアピンカーブ連続の難所へかッ?!」
「心配するな。コースはすでに頭に入っている。」
「・・・・・初運転で無茶するなよ・・・・・ん?・・ってゆーか、お前、免許はまだだろう?」
「そう。だから今日は午前中で早退する。東郷は、会長室のプレゼントを開けて、リストアップしたら俺のPCに送っておいてくれ。」
 東郷は、免許を取る前に予定を組む御門に呆れながら、
「・・・わかったよ。」
 と、溜息を吐いて答えた。
 もう朝のHRが始まる時間になり、あまり話せないまま自分の教室に戻りかけた東郷が、ふと足を止め御門の所に戻ってくると、肩に腕をかけ顔を近付けて囁いた。
「なぁ、御門。生徒会には顔を出さないで帰るのか?・・京極君に顔くらい見せてやったらどうだ?」
 デートの邪魔をしてしまったことを気にしていた東郷の助言だったが、御門はクスッと謎めいた笑みを零し、
「今朝、一緒に日の出を見ながら、すでにプレゼントは貰ってるさ。」
 と、小声で言った。
 ”日の出”を一緒に見るということは、一夜を共に明かしたということだ。
 余計な心配をした東郷は、
「・・・そりゃそりゃ、どうも。ご馳走様。」
 と、御門の肩胛骨を軽く拳骨で叩くと、ドアの鴨居に額をぶつけそうになりながら、大股に教室を出ていった。

 そして、朝の言葉通り、御門は東郷からのプレゼントだけ持って、早退していった。
 帝高校では、資格取得の為の早退は公認だった。
 他にも色々と帝高校ならではの特別規約があり、三年生になると授業を受けずに校内図書館などでの自習も認可されている。
 ただし、そう出来る生徒はその授業科目でベスト10までの成績を取っている者に限られていたが、全教科トップの御門には何ら問題はなかった。



 御門が、しっかり免許を取得した夜、三橋羊子(みつはしようこ)が、御門のマンションを訪れた。
 御門からメールで――@「俺の部屋に招待しよう。」――と呼ばれたからだ。

 羊子は、去年の御門の誕生日にプレゼントを贈り、しばらくしてから誘いのメールが入って”お手つき”になった。
 クリスマスの後の冬休みには、初めてこの部屋に招待された。
 けれど、バレンタインでは何の誘いもなく、悲しみを胸に抱えて日々を過ごしていた。
 (もう、誘っては頂けないのだろうか?自分は何か失態をしてしまったのだろうか?)と、不安と寂しさを感じながらも、御門の彼女ではない立場は承知していたので、諦める気持ちも少しだけあった。
 だから、メアドも変えてみた。
 変えればもう何も期待しないで済む。
 ・・・そう思って変えてみたのに、やはりわずかな望みをかけて、また誕生日プレゼントを捧げていた。
 (まさか、その日の夜に、誘って頂けるなんて・・・)
 羊子は急いでシャワーを浴び、一番お気に入りの服を着て、家を飛び出した。


「やぁ。・・・待ってたよ。さぁ、入って。」
 羊子を招き入れた御門は、まだ濡れている羊子の髪を撫でて微笑み、優しく胸に抱き寄せると冷たくなっている髪にキスをした。
 暖かく広い胸、逞しく長い腕に包み込まれると、それだけで夢心地になる。
 しかも、御門からは、何とも言えない魅惑の香りがする。
 玄関から一歩上がった所で、すでに逆上せそうに顔を赤らめている羊子は、御門の腕の中で目を閉じて顎を上げた。
 柔らかく押し当てられる感触に、息が震える。
 キスをしている時の息の仕方は教えられたはずなのに、上手く出来ない。
 羊子が戸惑っていると、
「大丈夫・・・怖くない。」
 と、一度唇を離して、甘い息で囁いた御門が、再び唇を重ねる。
「、、、、、ン、、、、、」
 羊子は御門の着ているガウンにしがみつき、唇を割って侵入してきた御門の舌の愛撫に応えた。
 しばらくそうしてキスをしてから、御門は羊子から離れ、
「ここは寒いな。奥へ行こう。」
 と、リビングへのドアを開けた。
 羊子は膝がガクガク震え、力が抜けそうで、立っているのがやっとだったが、
「羊子は自分の意志で、俺の前まで歩いて来なければいけない。」
 と、御門に言われ、小さく頷いて御門の後に続いた。

「何か飲む?」
 ローテーブル、ローソファーが置かれたリビングは、必要な物しかない広い空間になっている。
 大画面の液晶TVとオーディオセット、分厚い本が並ぶ重厚な本棚。
 目立つ物といったらそれくらいだ。
 前に招かれた時とそう変わっていないのが嬉しい、と羊子は笑みを浮かべた。
「、、、ぃぇ、、、私は、、、」
 顎を引いた上目遣いに首を振る。
「・・・クスッ。そうだな。・・・俺も今は羊子が欲しい。ベッドルームへ行こうか?」
「、、はぃ、、、」
 羊子は耳からうなじまで朱に染めて、俯き加減に御門の後ろに従った。

 ベッドルームには一面鏡張りの壁があって、それに添って大きなWベッドが置かれてある。
 横になって初めて気が付くのだが、天井もまた鏡張りになっている。
 色々変えられる照明は、状況に応じて変化させられるらしい。
 ―――この部屋は、普段、御門が一人の時には使用されない。
 御門の書斎にシングルベッドも置かれていて、勉強の合間に仮眠をとったりするので、そちらを使用することが多かった。―――
 フローリングの床は少しヒンヤリする。
 羊子は鏡に自分の姿が映るのが恥ずかしく、足元の冷たさに鳥肌立ちながら入り口付近に佇んでいた。
「服を脱いだら、ここにおいで。」
 そう言って、御門はガウンを脱ぎ捨て、ベッドに横になった。
 ガウンを脱いだ御門は何も身に着けていない。
 羊子は声も出ず、頷くと背中を向け、服の前ボタンを外し始めた。
 脱いだ上着をどこに置こうか迷い、壁に並べてあった椅子に畳んで置いた。
 窓側には厚手のカーテンが下がり、その反対側の壁に、背もたれの高い椅子がいくつか並べられているが、一見壁に見えるそこはクローゼットになっていた。

 羊子がパンティを履いたままでベッドに上がろうとすると、
「チッチッチッ・・・ダメだ。ちゃんと脱いでおいで。」
 と、御門に言われてしまう。
「、、、スミマセン、、、」
 羊子は消え入りそうな声で謝り、(…えぃッ!)と気合いを入れてパンティを脱ぎ、御門の前に立った。
「フッ・・いいだろう。さぁ、・・・おいで。」
 御門の差し伸べた手に縋り付くようにベッドへ体を投げ出す。
 御門は羊子を抱き留め、覆い被さるようにして抱き包むと、熱いキスをした。
「、、、ン、、、ンフ、、、」
 御門の舌が羊子の舌に絡みつく。
 羊子も応えるように、御門の舌を吸う。
 キスをしながら胸を柔らかく揉まれていたが、いきなり乳首を強く摘まれて、羊子は背中を仰け反らせた。
「、、、ンン、、、、、ンァッ、、、アァンッ、、、」
 乳首の根元から先端へと捏ね回され、キスで塞がれた口から喘ぎ声を洩らした。
「・・まだ声は我慢して。・・いいね?」
「、、、ハィ、、、」
 喘ぎ声を禁じられて、出口を失った快感が全身を駆け巡る。
 どうにもたまらず、体が自然と波打つように動いてしまう。
「、、、ン、、、、、ンファ、、、、ンン、、、、、」
 御門は何度も激しいキスを繰り返し、交互に愛撫していた胸を両手で寄せるようにして、更に強く刺激する。
「、、ンンッ、、、、、ンーーーッ、、、、、」
 膝を立て、両足を踏ん張って背中を浮かせる。
 しようと思ってないのに、そう体が動いてしまうのだ。
 御門が唇を離して自由にしてやると、
「ハァハァ、、、ァァァ、、、アゥゥ、、、ンン、、、」
 と、しゃくり上げるように、涙まじりの荒い息遣いをする。
 去年の暮れから3ヶ月以上、愛される行為から遠離っていた羊子には、いきなり始まった激しい愛撫を受け止めきれない。
「それでいい。・・・とても可愛いよ。」
 御門は左右の乳首を吸って宥め、羊子の息が落ち着くまで、額や頬に優しいキスを繰り返した。


 羊子がどうにか落ち着いた時、
「今度は羊子にして貰おう。」
 と、御門が言った。
 羊子にはすぐに意味がわからず、首を傾げる。
「羊子・・・俺のペニスを握って。」
 言われて、羊子は目を丸め瞬きをしていたが、オズオズと手を伸ばして、そっと包むように握った。
 御門のペニスはすでにヘソに付きそうなほど固く反り上がり、熱を持って赤々と膨張している。
「手をどう動かせばいいか、もう教えてあるね?」
「、、、ハイ、、、」
 羊子はゆっくりと手首のスナップをきかせて扱き始めた。
「・・・俺のペニスを羊子の手は覚えていた?」
 肘枕をして羊子の顔を見つめながら、御門が質問する。
「、、、ハイ、、、いつも、、思い出しますぅ、、、」
「太さも、長さも、形も、色も?」
「、、、ハイ、、、全てが恋しくて、、、」
「・・・全て、とは言わないな。羊子はまだ、味も匂いも知らないだろ?」
「、、、、、味、、、、、?」
「羊子は、まだ、その口で頬張った経験がない。羊子の口は、まだ、俺を知らない。」
 羊子は御門の言う意味がやっとわかって、動揺する。
 動かしていた手が止まる。
「・・・羊子・・・俺を見ろ。」
 御門が羊子の顎をつかみ、顔を上げさせる。
 羊子の目の中に、脅えと迷いがある。
「・・・もし・・・今夜限りだったら、どうする?」
「、、、、、ぇ、、、、、」
 羊子の目に見る見る涙が浮かんでくる。
 御門は優しく微笑み、
「明日、俺がどうなるか、はっきり見えるか?予定は立てられるが、結果がある訳じゃない。突発的な出来事まで予見出来るほど、俺には透視能力はないからな。」
 と、冗談めかして言うと、涙の零れ落ちた羊子の頬を指先で撫でた。
「その時、どこまで俺を知っておきたいか、羊子が選べ。」
 羊子は、考えたくない、と首を振る。
「ならば、こう考えよう。・・・俺が試合に出る。皆が応援してくれる。本校生だけでなく、他校生の中にも応援してくれる子はいる。・・・その時、羊子は俺をどこで感じたい?全身か?一部分か?」
「、、、全身で、、、感じたいです、、、」
「フフッ。・・・俺も、羊子の口に俺の記憶を刻んでやりたいと思ってる。」
「、、ハィ、、、御門様の、、、全てを知りたいです、、、、、」
 そう答えた羊子は、自ら体を丸めるようにして、頭を御門の腰へと下げていった。

 躊躇いがちに始まった行為も、御門の指示で次第に要領を得ていき、羊子は取り憑かれたように赤黒く聳え立つペニスをしゃぶった。
 首を忙しく動かし、乱れた髪が顔に掛かるのも気にせず、一心不乱にしゃぶる。
 片手を添えて根元を扱き上げながら、くわえ込んだペニスを喉の奥深くまで吸い込むようにして、顔を上下させる。
 ヨダレと涙と鼻水で、グショグショになっても続けている。
 技術的には、あまりにも稚拙だが、御門は羊子の無心の表情に、Mとしての要素を確認して満足していた。
 《…グッシュッズッチュッヌチャッズルッ…ジュボッズルッグチュッゾボッ…》
「、、、ンッンッ、、、ンンーンッ、、、ゲホッ、、、ハァハァ、、、ングッ、、、ンン、、、」
 静かなベッドルームに、湿った淫靡な音と、呻くような息遣いが響く。
 羊子は息苦しさに耐えながら、恍惚とした表情でしゃぶり続けていた。
「・・・クククッ・・・いい子だ、可愛いよ。・・・さぁ、そのまま俺を見ろ。」
 羊子はグショグショの顔をどうにか御門に向け、上目遣いに見つめる。

「・・・羊子・・・俺の性奴隷になるか?」
 羊子は意味がわからないままに頷く。
「ちゃんと考えろ。いいか、性奴隷というのは、俺を主人として絶対的に服従する者のことだ。・・・例を挙げれば・・・京極沙也香は俺の愛奴(あいど)。性奴隷の中で最も可愛がってる者、という意味だが・・・羊子はまだ、そこまで俺に従順ではないし、何より調教も始めていない。・・・というより、まだ俺を主人とする契約を結んでいないしな。」
 羊子の虚ろだった目が輝いてくる。
 御門のペニスを口に大きく含んだまま、頬を染めて頷く。
「本当になれるか?簡単じゃないぞ?放っておかれても、文句を言うようでは失格だ。俺を信じて、俺の命令を守って、ついて来られるか?」
 羊子は、うんうんうん、と何度も頷く。
「・・・ククッ・・・そんなになりたいなら、テストしてやろう。テストを受けたいか?」
 羊子はまた、大きく頷く。
「テストは俺のスペルマをこぼさず全て飲み干すことだ。それが出来た時、お前は俺の性奴隷となれる。」
 御門はそう言うと、一度羊子の口からペニスを引き抜いてやり、答えを促した。
「、、、どうか、、ヨーコを、、御門様の性奴隷にしてくださいませ、、、」
 羊子はベッドに正座して頭をシーツに擦り付けて願う。
「テスト次第だ。」
 御門の声に、これまでとは違った冷たさが混じる。
「、、、ハィ、、、」
「返事ははっきりしろ。」
「、、はぃ。お願いします。」
 羊子はフローリングの冷たい床に下り、正座し直して頭を下げた。
 御門も床に降り立った。
 それから、両足を広げて、「では、始めよう。」と、羊子の腕を取った。

 床に跪く羊子は、仁王立ちになっている御門のペニスの亀頭を、ペロペロと犬のように舐める。
 まだ、羊子のフェラチオだけでは、御門が射精出来るだけの快感を与えられないので、御門自身が自分で扱いている。
 羊子は御門の玉袋を掌で包むようにやんわりと揉みながら、先端から溢れてくる透明な滴を舐めている。
「・・・ク・・・そろそろ、スペルマを放出する。・・・覚悟は出来ているか?」
「ペロッ、、、はぃ、、、ペロッペロッ、、、」
「いいだろう。・・・苦しくても耐えてみろ。そこに羊子の思いが現れる。」
「、、はぃ、、、」
 御門はあらためて羊子にペニスの先端をくわえさせた。
 意識を集中させ、引き金を絞る。
 眉を寄せた御門の眉間にシワが刻まれる。
 半眼に開いた瞳は強い銀色の光を放っていた。
「ぅ・・・・クゥ・・・・・ぅぅ・・・・・」
 微かな声が洩れると同時に、暖かくドロッとした液体が、羊子の口の中に溢れた。
 羊子は必死になって飲み込むが、途中で戻しそうになり、吐きそうになった胃液と共に飲み下して、御門が腰を引いてペニスを引き出すまで、苦みのある青臭いスペルマを飲み続けた。
 御門のペニスが口から出されても、羊子は自ら追い求めて、舐める。
「・・・フッ・・・もういい。テストは合格だ。」
「、、、、、アァァ、、、、、御門様ぁ、、、、、」
「いい子だ、羊子。たった今から、お前は俺の性奴隷だ。」
「、、嬉しい、、、ありがとぉございますぅ、、、」
 羊子は張り詰めていた糸が切れたように、床に踞った。


 御門は、羊子を優しく抱き上げてベッドに寝かせてやると、お湯で絞ったタオルと冷たいドリンクを持ってきて、羊子のグショグショの顔や手を拭ってやった。
 そして、肩を支えてドリンクを飲ませてやると、御門もベッドに横になり、腕枕をして羊子の汗で濡れた髪を撫でてやる。

「・・・苦しかったか?」
「、、ぃぃぇ、、、」
「無理することはない。こうゆう時は、本当のことを言うもんだぞ?」
「ぁ、、、はぃ、、、少し、、、」
 羊子は御門の顔が見られずに、肩に顔を押し付けている。
「・・・俺が怖いか?」
「ぃぃぇ、、、本当です、、、」
「なら、顔を見せろ。・・・可愛い俺の奴隷の顔を・・・ん?」
「、、、はぃ、、、」
 羊子が恥ずかしそうに顔を上げ、潤んだ目を御門に向ける。
 御門は学校では見せたことがないほど、優しい表情で微笑んだ。
「何も怖がることはない。・・・奴隷と言っても、重い鎖を付けて重労働をさせられていた奴隷とは違うんだ。隷従させているものは金でも暴力でもなく、愛なんだからな?」
「、、、はぃ。」
「調教だってそうだろ?可愛い愛犬を調教するのは、虐める為じゃない。主人と愛犬の関係をより良くする為のルールを学ばせるだけだ。・・・主人と性奴隷も同じこと。お互いの関係を理解し、絆を深める為に確かめ合うルールと思えばいい。」
「はぃ。」
 御門の腕の中で頷く羊子は、嬉しそうに頬を染めている。
「性奴隷は愛の奴隷。つまり、俺の手の中にある愛しい存在、という意味だ。」
「、、わかります、、、ぃぇ、、わかっていました、、、きっと、、、御門様が、性奴隷になるか、とお尋ねになられた時から、、、」
 羊子は涙を溢れさせ、大きく甘い息を吐いた。
 御門が羊子の涙を唇ですくい、
「いい子だ。・・俺の羊子・・・可愛い奴隷・・・」
 と、囁きながらキスを繰り返した。

「今夜はもう無理はさせない。怒ることもない。・・・御褒美に思い切り愛そう。」
 そう言うと、御門は、羊子と見つめ合いながら、羊子の中に体を埋めていった。
「、、あぁぁ、、、御門様ぁぁ、、、あぁん、、、嬉しいぃぃぃ、、、」
 羊子は御門の背中に腕を回して、天井を見上げた。
 そこには、羊子自身も知らなかった、別人のような顔をした自分がいた。
 御門が腰をゆっくり動かし始める。
 グッショリと濡れた膣が奥まで押し開かれ、膣襞を強く擦られる。
「あぁぁぁぁーーッ、、、気持ちぃぃぃ、、、あぁぁぁぁん、、、」
 感じて喘ぐように赤い口を開けているのは、紛れもなく自分だった。
 鏡に映る御門の背中が波打つように動くたび、体の中から快感が沸き上がり、甘く痺れる電流が体中を駆け巡っていく。
 大きく逞しい背中に回した自分の腕が、華奢で頼りなく見える。
 神々しいほどに美しい御門の一部になったかのようだ。
 羊子は鏡の中の自分を見つめながら、性奴隷として、御門の一部になれた喜びを噛み締めていた。



 翌日の日曜日の箱根ドライブは、東郷にとって最悪な日となった。
 御門に報告しておきたいことがあったのだが、半値に値切った車に乗り込んだ途端、いきなりの急発進に始まり、無理な割り込みや強引な車線変更、一度追い抜かれようものなら追い掛けて追い抜かすまで猛スピードで追跡していくという執念深さで、到底会話をしている余裕はなかった。

 御門の母親が営んでいる料亭宿『Mikado』に到着したものの、せっかく色々出してくれた料理を半分も食べられなかった。
 一方、
「小食のフリまでして遠慮してることはないぞ。」
 と言う御門は、無神経なほどよく食べていた。
「・・・遠慮じゃない。・・・あんなヒドイ運転をして、いつ事故るかと気が気じゃなかったぞ。気持ち悪くて、胃が受け付けないだけだ。」
「事故らないのは、俺のドライブテクニックが確かだからさ。もう少し、信用しろよ。フフン。」
「・・・あれをテクニックと言えるのかどうか・・・が、仮にそうだとしてもだ、運転マナーは最低だぞ?教習所で習わなかったのか?試験ではそうゆう問題は出ないのか?」
「適正テストや性格テストのようなものもあるが、俺はパーフェクトだったぞ。」
「・・・詐欺だ・・・それは絶対に間違っている。」
「まぁ、それだけ文句が言えれば大丈夫だな。」
 御門はカチャッ、とキーを手に取り、ニヤッ、と笑った。
「御門・・・安全運転をしないなら、俺にも考えがある。」
「ん?・・・どんな?」
「俺が運転してやる。」
「・・・・・え・・・・・それは遠慮する。」
「何でだ?運転ぐらい、俺だって出来るぞ。・・・免許はないが・・・」
「俺は鴨居に頭をぶつけたことはないが、お前はボヤッとしてぶるける時があるだろうが。事故だって似たようなものだ。」
「・・・・・それは・・・まぁ・・・・・」
「わかればいい。じゃぁ、行くぞ。」
 御門は一人納得して、昼食を済ませただけで母親の所を後にした。
 姿を見せるだけで報告の務めは済んだらしい。

 箱根のドライブコースを回って帰る帰路は、更に東郷を無口にした。
 ようやく命からがら山を下りて立ち寄ったドライブインでは、車から降りる東郷の姿を見た子供が泣き出すほどに、険しい形相になっていたようだ。
 まったくこの日は東郷にとって、仏滅よりも最悪な大安の一日だった。



 しかし、御門にとっては、楽しい週末だった。
 18歳の誕生日を迎え、車の免許も取れたし、新しい性奴隷も誕生したし、初運転のドライブも爽快だった。
 値切った車も思ったより快適な走りをしてくれたし、東郷のプレゼントしてくれたカーナビは外された物より最新式の優れものだった。
 全てが思い通りで、御門は10代の最も輝かしい時を満喫し、思い上がりという落とし穴に気付いていないようだ。

 ただ、週末を遊びすぎて、学校に来たものの、勉強に気分が乗らない月曜日だった。
 そんなことを他の生徒達の前では言えなかったが・・・。
 そうした時に便利なのが、帝高校の特別規約。
 成績優秀な生徒だけを集めたエリートクラスの授業は、かなり難易度の高いカリキュラムになっているが、御門レベルになるとそれでも内容が簡単すぎて、授業を受けている価値がないほどだった。
 その為、担任の許可さえあれば、自主勉強に切り替えることが許されている。
 ―――もっとも教える方にもプライドがあるので、生徒がそうした態度に出ると、わざとその生徒のいない時に「難しい問題をテストに出すから。」と、その場にいる生徒にだけ解き方を教えたりする。
 すると特別規約を利用出来ていた生徒も、テストの成績が落ちて利用圏外になってしまう、といったこともある。―――
 ただ、御門に限っては、そうしたことがなかったので、時々サボリたくなると、その特別規約を利用していた。


 そして、その御門が向かうのが、大抵保健室だった。
 帝高校保健室勤務の保険教諭は、石塚静江(いしづかしずえ)という、まだ20代半ばの若い女性だった。
「あらぁ・・・フフッ。月曜日からおサボリですか?・・・御門様・・・」
 机に向かって何かの書き込みをしていた静江は、音もなく忍び寄ってきた御門に、後ろからいきなり目隠しをされても、静かに微笑んでいる。
「どうにも萎えてしまってね。・・・昼までベッドで寝かせて貰うか・・・静江の甘く香る肌に顔を埋めて貪るか・・・」
 御門は、目隠ししていた手を離し、そのまま静江の胸に下げていきながら、耳からうなじへとキスをする。
「シー・・・いけません・・・御門様・・・」
「この俺に意見するつもりか?」
 静江の胸を指先で撫でていた御門は、突起してきた乳首をキュッときつくつまむ。
「ぁ、、、ぃぇ、、、そうでは、、、」
 御門は爪を立てて、更に強く乳首に食い込ませる。
「ぁぁッ、、、ん、、、シズは、、、あぁ、、、でも、、、」
 保険教諭であるはずの石塚静江が、苦悶の表情を浮かべて、イスの背もたれに体を預けるように仰け反る。
「お前は俺の何だ?・・言ってみろ。」
 御門は静江の乳首をキリキリとつまみ、耳を甘噛みする。
「、、ぁぁ、、、ハァァ、、、シズは、、、御門様の奴隷、、、あぁん、、、でも、、今は、、、」
「主人に”でも”という言葉は使うな、と言ってあるだろう?」
「、、ぁん、、、でも、、、ぁぁ、、、」
 御門は静江の顔を上向かせ、唇で口を塞ぎ、続く言葉を封じた。

 キスをしながら白衣のボタンを外し、中のブラウスのボタンも外して、手を直接肌に滑り込ませる。
 成熟した女性のふくよかな胸を掌の中に包み込み、ゆっくりと揉む。
 御門の魔力に引き込まれたように、静江は逆らえなくなっている。
 キスに応えて静江も御門の舌に舌を絡めていく。
 御門は少しずつ静江の胸をはだけていき、ポロンと剥き出しになると、乳首だけをつまんで、強く捏ね回し始めた。
「、、、ン、、、ンァァ、、、ハァハァ、、、あぁぁ、、、御門様、、、」
「イスを回転させて俺の方を向け。・・・静江ならそこまで言えばわかるな?」
「、、、はぃ、、、御門様、、、」
 静江はすっかり胸を晒した姿で、イスを回転させ、御門と向き合った。
 御門は腕組みをして立っている。
 静江は御門のズボンのチャックを下げ、すでに勃起しているペニスを握って出すと、頭を屈めてくわえた。
 静江も御門の愛奴だった。
 そのことを知っているのは、もう一人の愛奴である沙也香だけだ。
 静江と沙也香はほぼ完全な性奴隷として調教済みで、御門の命令には絶対的に服従する。
 特に静江はすでに社会人といこともあり、多少ハードな調教も受けていた。
 その静江が、躊躇ったのには理由があったが、御門はそれを聞かず、静江も御門の望む方を選んでしまった。
 それが、後々御門を悩ませる状況を作ることになろうとは・・・。
 思い上がった御門は気付きもしなかった。