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S





『S』番外編(2)



byへなそうる様


§ミツルのホワイトクリスマス§
「ミツル(有栖川美都琉)」 by へなそうる様

§ミツルのホワイトクリスマス§           by万里様

 12月25日。
 世間はクリスマスイブの余韻を引きずりつつ、もう年の瀬の気配を見せ始めていた。

 ミツルはイブにミルクから贈られたオフホワイトのマフラーを巻き、いつもの道場に向かう。
 受験生だからといって鍛錬を怠る事はミツルには出来ない。

 例年になく大雪が降った為、交通機関は麻痺している。ミツルは雪を踏みしめながら思いをはせる。


 もう天使は、この手の中にいない。
 純白の翼を広げ自ら闇の覇王の腕の中に落ちていった。
 何時もどんな時も、傍に寄り添いどんな事からも守ると決めた。
 自分の思いを隠すように、知らず知らずきつくあたった事もある。

 成長するに連れ、天使はますます輝きをましていった。
 闇が光を、日溜りの暖かさを求めたのも、焦がれるように見つめつづけ守りつづけた自分には分かりすぎるほどだ。
 家族というカテゴリーに捕らわれて、飛び立つのを見守る事しか出来なかった、自分。
 いつまでもこの手の中にと願い、いつかは傍らから飛び立つ事を知っていた。

 言い知れぬ寂寥感に捕らわれながら、いつまでも輝く笑顔を浮かべて欲しいと光を受け輝く雪に願いをかける。
 もう自分ではない黒き聖騎士が天使には、いる。
 自分の役目は終わったのだ。
 心の中に空いた穴を埋めるような、生きる糧がほしい。
 自分の居場所がほしい。
 居場所が・・・・・・・。
 俺には居場所なんてあるのか?

 朝日を受けひかりかがやく雪を踏みしめながら、マフラーからかすかに漂うミルクの香を求めるように鼻を埋めてつらつらと、答えを見いだせない問いを自分にむかって投げかけていた。

 もうすぐ道場につく、というその時、
「ミツル様!」
 語尾にハートマークがつきそうなほど弾んだ声が名前を呼ぶ。
 びっくりして振り返ると、リムジンからミルクのクラスメートの小百合が降りてきた。
 ミツルは眉をしかめながら、内心(厄介な奴に見つかったな)と思った。

「ミツル様、今ご自宅にうかがおうと思っていましたの。」
「・・・妹なら出かけていていませんが?」
「まぁ、ミルクさんに用ではなくて、ミツル様に御用がありましたのよ。」
「俺に?・・・・なにか?」
「クリスマスプレゼントを差し上げるのと、大雪になりましたので鍛錬場までお送りしようと思いまして・・・・でも、遅かったみたいですわね。」

 迷惑な奴だなぁ、うっとうしいなぁ、などと思いつつ・・

「それは御気遣いありがとうございます。しかし、もう着きましたので不要です。プレゼントは貰ういわれはありませんので、ご遠慮します。」
「まぁ、ミツル様に似合うように用意いたしたプレゼントですので、受け取って頂かないと捨ててしまうしかありませんわ。それに、使うとしても男性物ですので私には似合いませんもの。せっかく選んできましたのに捨てるしかないんですの?」

 上目遣いに見つめ、ミツルに小百合はつめよる。  思わずタジタジになりながら、助けを求めるように小百合のボディーガードらしき男を見やる。
 男はそ知らぬ顔で視線を外す。
 じりじりと体を寄せてくる小百合に根負けして叫ぶように言い放った。

「わっ、分かったから、ちょっと離れてくれ!」
嬉しいですわ! プレゼント受け取ってくださいますの!でしたら、練習が終わるのをお待ちいたしておりますわ。あっ、ちょうどいいですわ!ぜひ、ミツル様の鍛錬しているお姿を拝見したいですわ!見学してもよろしいかしら?終わりましたら、ご自宅までお送りして差し上げてよ。この雪ではお帰りになるのも大変でしょ? そうだわ、そういたしましょうね、ミツル様!

 口をはさむ暇もなく今日の予定を決められ、挙句には何事かと様子を見に来た先輩方にさっさと見学する事を頼み、意気揚揚と道場に入っていく小百合の後姿を見やりながら、どっと疲れが押し寄せるのをミツルは感じた。
 胴着に着替える為、更衣室に向かいながら今日1日小百合に付きまとわれるのかと思うと、眩暈を起こしそうだった。
 プレゼントは仕方ないから受け取るにしても、車で送られるのはどうにかして逃げようと考えをめぐらせた。

 道場に向かうミツルは気が付かなかったが、携帯に
メールが1件 入っていた。
 麗子 からである。

 道場で、小百合を意識から追い出し無心に素振りをするミツル。
 そこには、自分の思いに捕らわれていたミツルはどこにもなかった。
 ミツルをめぐる戦い(女の?) は始まったばかりのようだ。

§置いていかれた者達§
「海園麗(ドルフィン)」 by 菫様

§置いていかれた者達§           by万里様

「置いていかれた・・・・・」(若林)
「やってくれるぜ・・・・・」(ボム)

 おいていかれた事を知ったSSSメンバー。
 田代・福島を巻き込み郷へ、派手に凱旋しようと画作中。
 色々な案が出るが、どれも郷の一部を破壊しそうで却下される。
 さすがに郷を壊す事だけは出来ない。
 その時、田代と福島の会話が耳に入った。

「郷はもう真っ白だろうなぁ」(田代)
「ああ、でも館の方は花が咲いてるはずだから、アリス様も喜んでいるはずだ。」(福島)
「そうか・・・。真っ白い雪に色とりどりの花。昔さ雪に色つけて遊ばなかったか?」(田代)
「ああっ!遊んだ!遊んだ!チョーク削って色つけた雪球とか作った!」(福島)

「「「「それだっ!!!!!」」」」」SSSメンバー

 いつになったら、郷にいけるのか分からず、時間をもてあましていた2人が何気なく昔話をしていたら、突然4人に叫ばれて、思わず手を握り合ってびっくりした顔をメンバーに向ける。

「七色だ!虹を作ろう!」(スナイパー)
「白い雪だから映えるぞ!なにに色をつける?」(ボム)
「アリス様は甘い物が好きだから、砂糖とかは?食べられるよ?」(ドルフィン)
「どうやって撒くかだな・・・・」(若林)

 自分達の何気ない会話から恐ろしい事になりそうで思わず顔を見合わせる2人。
 もしかして・・・・・もしかしなくても・・・・手伝わされる?・・・・・・
 なにをするのか分からないが、巻き込まれた後のボスの怒りが自分達にこないことを祈るしかない2人であった。


「俺が準備してやる。」
 突然ドアが開き、景山が入ってくる。
 何となく黒いオーラが出ているのは気のせいだろうか・・・・

「何でいるんです?参謀?」(若林)
「ボスと一緒だったんじゃないですか?」(スナイパー)
「あっ、もしかして・・・」(ボム)
「置いていかれたの・・・?」(ドルフィン)
「・・・・・・(怒)」(景山)

「「「「あ〜〜〜、おいてかれたんだぁ〜〜」」」」(SSSメンバー)

 声をそろえて言うメンバーに、こめかみをピクピクさせた景山の拳骨が降ってくる。

「あっつ〜〜;;;;」
「いって〜〜;;;」
「「俺たちは言ってないですよ〜;;;」」(田代・福島)
「ついでだ(怒)」(景山)

 その場にいた全員を一発殴った後、椅子を引き寄せ話しに加わる。
 まだ、痛む頭をさすりながら、景山を
(本当の事じゃねーか!) という思いを込めてみるメンバー達。
  (声に出したら、また殴られるので・・・・眼で語る(笑))

「それで何が必要だ・・・・。何でも準備してやるぞ。アリス様が喜んだら、ボスもそんなに怒らないだろうからな。ヘリでも、砂糖でも。なんなら花火でも打ち上げるか?」(景山)
「あっ、それいいっ!花火上げましょう!俺やりますよ!」(スナイパー)
「それと・・・・・」

 景山が加わった事で、話はスムーズに進んでいく。
 嬉々としていろいろな案を出していくSSSメンバー達。
 それを、恐ろしげな眼で見つめる下っ端2人・・・・・。

((俺たち、無事に郷から帰ってこれるんだろうか・・・・・・))
 下っ端2人の受難はまだまだ続く・・・・・・

§白蛇様のある日§ §白蛇様のある日§           by万里様

ここは、覇羅蛇の郷・蛇神山。
 冬場は神とあがめられていても蛇なのだから冬眠する物なのだが、それはここ温泉地。
 しかも覇羅蛇の郷。
 冬でも色とりどりの花が咲く魔境の郷。普通じゃないのだ。

 蛇神様の一日は御山の見回りで始まる。
 大きな巨体を揺らしながら、ゆっくりとテリトリーを見て廻る。
  (テリトリーといっても山全体なのだが・・・)
 御山には、霊魂がうようよしているが悪さをする物はいない。
 気が済むまでウロウロして成仏していく。
 たまに悪さをする物もいるが、そういう奴は白蛇様の覇気(霊力?)に霧散してしまう。
 まぁ、取り込んで自分の力でねじ伏せ力の一部にするといえば分かりやすいか・・・。

 朝靄の中を御山の霊力に身を浸しながら見回るのが一日の中で一番好きだったりする。
 最近、息子も何匹か一緒に見回っている。
 いつかは来る代替わりのために・・・・

 さてさて、白蛇様の一家が住んでいる洞窟には今ある変化がおきている。
 お客が1人(一匹?)マサトから預けられている。
  ――皆さんは覚えているだろうか?
  ――ミルクのペットの「ミルミル」である。
 ミルクがしばらくマサトから離れていた時期、「ミルミル」を見ると、どうしてもミルクに会いたくなってしまうと預けられたのだ。
 ミルクが戻ってきても、「今さら冬眠させるのもなんだし、春まで預かってくれ。」とマサトに言われてそのままである。

 まだ子供のミルミルは白蛇様の子供達とすぐ仲良くなっていた。
 白と赤(ピンク?)の縞模様は可愛さ爆発で、ミルミルの見ていないところでの争奪戦は凄い物がある。
 見かねて何度か「シャァー!」と、怒ってみても、
 やはりそれはそれ・・・・
 相棒のつがいのペットの蛇だ、自分の息子といえど強いオスでなければ、傍にいる資格などないと思っている。

 奥さんはニコニコと眺めているだけだし、息子達はミルミルに近づくのをそれぞれけん制しあっている。
 どうも蛇神の息子だけに皆、覇気が強く普通の蛇ではつがいになりにくい。
 飼い主に似てほんわかな雰囲気のミルミルは息子達の気を引いたようだ。
 白蛇様はミルミルを軽く咥え頭に乗せると、見回りのついでに散歩に出ようと洞窟から連れ出した。

 冬とは思えない御山の中をゆっくりと頭の上の蛇を落とさないように進む。
 時折尻尾の先でいろいろ示しては説明するように舌先をチロチロさせる。
 相棒が迎えに来るまでは、傷ひとつつけづに預からなければと思いつつ、
 ”息子達の誰かの嫁に貰えないか”
 と聞いてみようと思う白蛇様であった・・・・。


≪後日談≫
 暖かくなり、マサトが「ミルミル」を引き取りに来た。
 ミルミルを頭に乗せた蛇神は、とぼけた顔でなかなかミルミルをマサトに渡さず、何か言いにくそうにモジモジとしていた。
「・・・あ?・・・何をテレている?」
 マサトが怪訝に目を眇める。
 蛇神は実は・・・・・と、息子がミルミルに惚れていることを打ち明けた。
 マサトは、はぁ?、と蛇神の顔をマジマジと見つめた。
 ・・・行く末は大蛇になるかも知れない蛇神の息子だぜぇ?
    (最も大半は普通の蛇並みで大蛇にはなれないのだが・・・)
 ・・・相手は大人になっても赤ん坊みてぇなミルクスネーク。
 ・・・神様だけに結婚も不可能ではないだろうが、何て取り合わせだ?
 マサトは次第に可笑しさが込み上げてきて、吹き出して笑い出した。
「クックックッ。お前も変だが、息子もなかなか大した大物じゃねぇか。コイツはちっこいがミルク並みの根性があるぜ。・・言ってみれば、ちょいと我が侭だが・・可愛い奴だ。」
 マサトが小さなミルミルの前で指先を回すと、チロチロと小さな赤い舌で舐めてくる。
「ま、一応ミルクに許可を取ってからだが、・・・いいだろう。盛大な結婚祝いをしようじゃねぇか。」
 マサトの言葉を聞いた蛇神は、ホォ〜ッ、と安堵の息を吐き、感謝をするようにマサトの頬に鼻先を擦り付けた。
 ヒンヤリと白い肌が心地良く、マサトは蛇神との懐かしい日々が走馬燈のように脳裏を過ぎった。

 ……ミルミルが花嫁に?
 もちろんミルクも歓迎してミルミルのお嫁入りを喜んだ。

 蛇神神社において、壮絶バトルに勝ち抜いた蛇神の息子と、ミルミルの結婚式が行われた。
 黄金色の光をわずかにだが放ち始めた若き白蛇は、花嫁を得て凛々しく見える。
 新郎の頭に乗ったミルミルは白い顔を、ポッ、と染めているかのように愛らしい新婦だった。

 目出度く夫婦となった新郎新婦は、その後、蛇窟島の蛇神として守護する役目を仰せつかり、仲良く旅立って行った。(・・・そうな。)


     (万里様に感謝を込めて、その後をイメージしてみました☆)

§それぞれの休日(4)§「それいけ 星野君!!」
「星野優」 by へなそうる様

§それぞれの休日§ 「それいけ 星野君!!」
                          by万里様

 星野 優  SS隊員 現在 アリス様付きガードの責任者である。


 星野は蛇窟島にいるSS隊員の中から選ばれてこの任を言い渡された時、体が震えるような感動を覚えた。
 日本支部はマサトが一番時間を過ごす場所である。
 という事は、マサトに、ボスの近い場所にいけるという事である。
 しかも、アリス様付である。
  (彼もやはりファンクラブ会員である)
 蛇窟島にミルクが訪れた時に、ラジオでその人柄に触れファンになっていた。

 星野の両親もSS隊員であったため、幼き頃より遊びと称して色々な訓練をしてきた。
 その甲斐あってか、21歳という若さでSS隊員という地位についたのだが、いつかは2つ名を持つSSS隊員になりたいと思っている。
 生まれ育ち、訓練と実践以外ででた事のない蛇窟島から出るのは、少し寂しい気もしたが誇らしい気持ちの方が勝っていた。


 さてさて、ここは日本支部。
 地下アジトの中の一室を住居として貸し与えられている、星野の一日は早朝マラソンから始まる。
 10キロのマラソンをパワーアンクル・パワーリスト(ともに10キロ)をつけ、30分以内に走り終えると、アジト内にあるジムで体を動かす。
 この時運がよければ、若松や景山に相手をしてもらえる。
 本当は近寄る事さえ出来ないような、幹部の方々だ。
 嬉しいことこの上ない。

「いや〜〜!今日もいい天気だっ!」

 本日は、日本に来てから初めてのお休みである。
 ミルクがマサトと温泉に行っているからだ。
 本当は付いていきたかったのだが、景山に止められてしまった。
 まぁ、マサトがいないときのガードなのだから、しょうがないといえばそうなのだが・・・・。
 朝の日課のトレーニングを終え、街に遊びに行こうとしたその時!

「ほ〜〜しの!みっけっ!」

 気配を感じなかった後ろから、突然ヘッドロックを掛けられる。
 ほとんど後ろを取られたことのなかった星野は、頭が真っ白になるも、体は臨戦体制に入る。
 それをも後ろをとった人物は軽々と交し、星野を床に押さえつけた。

「星野くぅ〜〜ん、さすがだねぇ〜〜♪ でも、背後には気をつけようね♪」

 星野を床に押さえつけた人物。
 それは、帰ったはずの
若林 であった。

「なっ?!コウメイ副隊長?!帰られたんじゃないんですか?」
「だって、久しぶりだから、女の子達が離してくれなくて〜♪
 でも、そろそろ帰らないとやばいから明日帰るんだけど、向こうの女の子達に、お土産でも買っていこうと思ってさ。荷物持ち・・・あっちがった、一緒に行ってくれる人を探していたんだよ。
 星野今日オフだろ?
付き合え。
「えっ?あっ、でも俺、あんまり分かんないですっ・・・・て、聞いてますかっ・・・? 副隊長ぅ〜〜

 有無を言わせず、引きずっていく若林。
 それに星野がかなうはずなくついていく。


 日本伝統のお土産がいいという事で、2人は浅草にきていた。
 仲見世通りをあっちの店、こっちの店とはしごして行くうちに、星野の両手は荷物でいっぱいになっていく。
 裏通りでうなぎをご馳走になる頃には、訓練以上に疲れ果てていた。

「だらしねぇ〜なぁ?」
「うぅ〜〜〜・・・すいません。こんな人ごみ、あまり歩かない物で・・・・。なれないといけないですね。でもさすがですね。コウメイ副隊長はあんなに人が密集していても、ぶつからずに進んでいくんですから。俺は、訓練不足ですね・・・」
「まぁ、ここは異常なほど人が多いからな。気にするな。・・・・・・ 星野。外にいるときは俺をコウメイと呼ぶな。何処で誰が聞いているかわからねぇからな。組織内での呼び名は外では使わないように注意しろ。」
「あっ!・・・・すいませんっ!」

 若林に、小さな声で注意されて、初めて気が付いた。
 分かっていた筈なのに、気をぬいてしまった自分を恥じた。

「これから気をつければいいさ。さぁ、食べようぜ?」
「・・・はい・・・。」

 呼び名の事はともかく、人ごみの中荷物を抱えていない若林が、速く歩けるのは当たり前の事なのだ。
 両手に抱えきれないほどの荷物を持っていた星野がぶつからずに、細い道に溢れんばかりの人がいる仲見世通りを歩く方が無理ってものだ。
 それを分かっていて、言わないあたり若林もあくどいのだが・・・・。


 うなぎ屋を出た後、また数件よって本宅の若林が泊まっている部屋についた時には、星野の体力は限界に近かった。

「ありがとうな。今日はつきあってくれて。助かったよ。」
「いえ・・・。お役に立てて嬉しいです。じゃあ、俺はこれで失礼します。」

 荷物を部屋に置き、部屋を出ようと扉に手をかけた星野を若林が呼び止める。

「あっ、星野。これやるよ。今日のお礼だ。」
「えっ?俺にですか?」
「そうだ。浴衣と手ぬぐいなんだが、お前に似合いそうだったんでな。今年の夏にでも着てくれ。」
「良いんですかっ!ありがとうございますっ!」

 星野は、感激して瞳を潤ませて若林に頭を下げた。
 その星野になにを思ったか、若林は腰に手をやり引き寄せる。
 密着した体にびっくりして顔をあげれば、若林の端正な顔が息がかかるほど近くにあった。
 星野の頬を指で軽く撫でると、腰が砕けそうなほどの低音ボイスが囁く。

「星野。今日はオフをつぶして悪かったな。1日一緒に入れて楽しかったぜ?また日本にきたときは、遊ぼうな?」
「・・・コ・・ウメイ・・・副・・隊長・・・。」

 若い星野に若林の、悩殺フェルモンに逆らうすべもなく、異常だと思う前にうっとりしてしまった。
 軽く星野の唇にキスをして、にやりと笑うともう一度頬をなで、体を離す。

「じゃぁな。」

 目の前で、ドアを閉められて正気に戻った星野は、顔を真っ赤にして早足に本宅を出て行く。

  (なっ、何だったんだっ?!今のは?俺・・・・キスされた?
   うおぉ〜〜〜〜俺はノーマルなはずがぁ〜〜;;;;;)


 貰った包みを抱えながら、頭を振り振り帰る星野を、窓から見下ろす若林がいたことを誰も知らない。

「お〜おぉ〜。パニクってる、パニクってる。若いねぇ〜♪良いおもちゃめっけ♪今度日本にきたときが楽しみだ♪」


   いけいけ!星野!がんばれ!星野!
        君の明日はどっちだっ!!