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−外伝




◇南の島風聞伝説◇§琉国記§




シフォンレーヌ姫肖像画  byへなそうる様



 『お祭りを数日後に控えたある一日』


――ここは、南の島々を統治する王国、琉国。
 海と大地と空に愛された島国。

 海流に乗って様々な魚が集まり、美しい珊瑚礁に囲まれ、特産品の真珠は遙か西洋の王国でも珍重される。
 島々には各島々特有の果物がたわわに実り、風は甘い香りを運ぶ。
 男達は勇猛果敢な強者ぞろいで、腕っ節の強い分喧嘩好きだったが、喧嘩の後ではお互いを認め合い肩を組んで酒を酌み交わす。
 女達も働き者で、色鮮やかな織物もこの国の特産品になっている。

 ”王家は国民の為にあり”という理念の元、島々の平和と平等の為に統治する国民の代表である、という考えの王家を、人々は感謝と敬愛と誇りを持って熱狂的に慕っている。
 国家に軍隊はなく、狩りや漁の為の道具はあっても、戦う為の武器は持たずに平和を維持出来るのも、こうした人々の支えがあるからだった。
 国王は交易で得た富も全て国民に分け与え、けっして傲り高ぶることはなく、大祭でもない限りは島民と変わらない生活をしている。

 貿易で訪れる西洋の人々は皆一様に驚くが、しばらく王国に留まるうちに、王家の人々の人柄に感銘し、王国の人々の明るさや頼もしさに心を打たれた。
 西洋の文献には、
 『遙か東のはずれの南洋に琉国ありき。武器・軍隊を持たずに島々を統治する王国なる。王家の人々は神と見まごう美しく白き姿なり。愛と叡智と平等精神を持って国を治め、国民も信頼と尊敬を持って献身的に仕えるなり。王国の人々は皆明るく勇敢で大らかであり、皆穏やかに平和に暮らすものなり。げに、最も神々に近い楽園といえる。』
と、記されている。


――華美ではないが美しい王宮。
 国民達は暇があれば王宮に彫刻を施したり、時間を見つけては織り上げた絨毯や織物を献上する。
 王国あっての平和で豊かな暮らし、と感謝を込めて、そうせずにはいられないのだ。
 王家の人々もその気持ちを大事にし、国民の為に日々を送っている。
 故に、外観のみならず、内からの光が滲むような美しい宮殿となっていた。


――国王の部屋では・・というより部屋の前の中庭で、執務のかたわら新しい品種の芋を研究中の国王:パパロンが、栽培中の芋の葉を土まみれになって調べている。

「陛下。献上された織物で作りました礼服を合わせてみてくださいませ。お祭りまで、後わずかなのです。お直しにも時間が必要ですのに・・・」
 国王付き侍女:レモーンは困った顔でパパロン王に付いて回る。
「体型は変わってないだろう?去年のでいいじゃないか。ん?」
 パパロン王は去年と同じ礼装用衣装を着るつもりでいる。
「そんなことを仰らないでくださいませ。せっかく献上された物なのですから。」
 レモーンは国王の威厳の為だからと新しい服を薦める。
「ハハッ。豪華な礼服は、遠い島々から遙々都を訪れ初めて私に会う人々が、遠くから見ても私とわかる為の物にすぎないだろう?」
「ですが、陛下。去年もお祭りに参加した人々は、5年も同じ礼服だと呆れるかも知れませんわ。」
「私を知る人々なら、私が敢えて目立つ必要もない。初めての人々にとっては5年目の衣装でも、初めて知る煌びやかさだろう。・・・それでいいではないか。気に掛ける問題ではない。ハハハッ。」
 パパロン王は大らかな笑顔でそう言って笑うと、再び芋の葉を触って成長の様子を観察し始めてしまった。

「まぁ、ほつれない内は威厳は保たれるでしょう。フッフッフ。」
 国王の腹心:ウィングは、毎年繰り返される問答を、可笑しさを噛み殺しながら見守っている。


――王妃ママレーヌのサロンからは妙なる調べが聞こえてくる。
 お祭りで披露する竪琴の練習を横笛の皇太子マロンと練習している。
 曲はマロン皇太子がほとんど作曲している。

「実に素晴らしいですな。・・・王妃様の竪琴は、風のごとく、水のごとく、自然の美しさを現し・・・皇太子様の横笛の旋律は、天空を統べる真理のように淀みない。」
 皇太子の教育係:ペテロンが長椅子にゆったりと腰掛けて聞き入りながら満足そうに言う。
「本当に皇太子様の曲はいつも素敵で感動してしまいますわぁ。・・・お祭りに集まる人々もさぞかし喜ぶことでしょう。」
 静かに微笑んで見守っている皇太子付き侍女:スーミレは、ほぅ、と吐息をもらす。
「王妃様の美しい歌声も、生きる希望と勇気を心に沸き上がらせてくださいますわ。ミルフィーユ姫様も御一緒に歌ってくださればいいのに・・・」
 王妃付き侍女:ラーンは胸の前で手を握り、夢見るような眼差しで王妃を見つめる。

「ホホッ。ミルは恥ずかしがり屋さんだから、まだ人々の前では怖いのでしょう。でも、いつかきっと、人々の前でだからこそ歌う意味をわかってくれると思うのよ。」
 ママレーヌ王妃は竪琴の手をちょっと休めて、優しく微笑む。
「そうですね、母上。音楽は奏でる者達だけのものではなく、聞く人々のものでもあるのだと・・・聴衆の魂の共鳴があってこそ、分かち合う喜びを得られるのだと・・・教えて参りましょう。」
 マロン皇太子も母王妃を愛おしく見つめて頷く。
「そうですとも、皇太子様。分かち合い、共に生きるからこそ、・・・人生は素晴らしい。」
 ペテロンも目を細めて頷いた。


――第一王女:シフォンレーヌの部屋では、白く引き締まった太腿も露わな出で立ちの姉姫シフォンレーヌが、これから海の漁に出掛けようと長い髪を後ろで一つに束ねている。

「シフォンレーヌ姫様。今年こそ姫君らしい礼装をお召しになってくださいませね?」
 シフォンレーヌ姫付きの侍女:ミーカンが縋り付くような視線を向けて訴える。
「こんなにお美しいのに、いつも男装ばかりなされて、狩りのお供達とお酒を酌み交わされるなんて・・・」
「仲間を大事にするのは当然でしょ?・・狩りには危険も付き物。森には獰猛な獣達、海には嵐もあればサメもいる。苦難を共に乗り越えた仲間内に男女の区別はないわ。」
「ええ、それはわかっておりますとも。・・・ですけど、お祭りくらいはその美貌を人々にお見せ下さいませ。」
「人々への威厳と信頼は父上に、慈愛と共鳴は母君とマロンにお任せするわ。私は人々の空腹を満たす方が楽しいのよ。…あ、そうだわ。観賞美はミルがいるじゃないの。ふふふ。」

「ラブ。ミュウ。…いらっしゃい。」
「ワンッ!」
 栗色と白の綺麗な毛並みの子犬のラブが嬉しそうにフサフサのシッポを振って駆け寄る。
 ラブは、ピョンピョンとジャンプしてみせた後、後ろ足二本で立って抱っこをねだる。
 シフォンレーヌ姫はラブを抱き上げ、頭からシッポまでを数回撫でてから肩に乗せる。
「…ミュゥ〜ン。」
 ゆっくりと歩いてきたタヌキ顔の毛足の長い仔猫ミュウが、シフォンレーヌ姫の足に首を擦り付けてから伸び上がって膝に両手を乗せる。
 シフォンレーヌ姫が膝に抱き上げると、ミュウは更に伸び上がって胸に細い爪を立ててしがみつく。
「今日はラブもミュウもお留守番していてね?風が強くて少し海が荒れてるから、連れて行けないの。ごめんね。」
「クゥ〜ン……ワン…」
 ラブが頬をペロペロ舐め、ミュウは更に手を広げてしがみつく。
「ミュウの好きなカワハギもちゃんと取ってきてあげるから、ね?」
 シフォンレーヌ姫はそっと爪を立てた手を握って微笑む。
 爪の刺さった小さな赤い点から血が滲んでいるが、シフォンレーヌ姫は気にせず、ラブとミュウの頭を撫でてやり、床に下ろしてやると立ち上がった。


――第二王子:ミロンの部屋。
 末姫のミルフィーユ姫が侍女;キリエと遊びに来ていた。
 ミロン王子は出掛ける支度をしながら、妹のミルフィーユ姫の相手をしている。

「ねぇねぇ、ミロン兄様ぁ。今年のお祭りには蘭国のサーカスの皆さんが芸を披露してくださるんですって。大きな動物を自由自在に操るんですってよぉ〜。それって本当なのかなぁ?本当だったらすごーく興味あるぅ〜。ふふっ。楽しみねぇ?」
 第二王女のミルフィーユ姫は、さっきからずっと忙しそうなミロン王子に一方的に話し掛けている。
「けど、ミル。あんまり何にでも興味持つのは危険だよ?いっつも余計なことに首を突っ込んではヒヤヒヤさせるんだから、困っちゃうゾ。」
 ミルフィーユ姫の侍女兼ボディーガードを務めるキリエが、ついいつもの友達同士の話し方をしてミロン王子に睨まれる。
 キリエが(しまった!)とばかりに首を竦めると、ミルフィーユ姫も一緒に首を竦め、キリエと顔を見合わせて声を出さずに笑い合う。
 ミルフィーユ姫とキリエは歳が同じなので、普段は友達として話すことが多いのだ。

「文献によれば、ゾウやトラといった動物も芸をするらしいな。ただし、船の長旅に連れてこられるかどうかが問題だろう。そんなに期待するようなことでもないさ。」
 腰のベルトを、キュッ、と締めたミロン王子が冷めた口調で言った。
「じゃぁ、犬とか猫とか?」
 ミルフィーユ姫は拗ねた上目遣いをミロン王子に向け、口を尖らせて聞く。
「猫ほど気紛れな動物はいないだろう。猫の芸なんてどんな文献にも載っていないな。」
「えー…ミロン兄様っていっつも文献で判断するのぉ?……でも、シフォンレーヌ姉様のミュウはお手をするよねぇ?」
「うん。するする。」
 キリエはクスクス笑って頷く。
「・・まぁ・・・全てを鵜呑みにするつもりはないが、・・・文献は遠い異国のことでも様々な情報を得ることが出来る一番の手段だと思っている。」
 ミロン王子は窓辺に座るミルフィーユ姫の近くに立ち、背筋を伸ばして蘊蓄を語りだした。
「口伝えの噂というものは伝えられる内に初めの話から大きく内容が変わってしまうものだ。だが、文献は書いた本人の言葉がそのまま伝わる。読まないより読んでおいた方がいいと思うな。」

「ええ!そうですとも、ミロン王子様。」
 ミロン王子付きの侍女:ミーサが、目を輝かせ頬を赤らめながら懸命に頷く。
「私もミロン王子様に教えて頂いて書物を読むようになってから、心が豊かになったように思いますわ。」
 ミーサはミロン王子の勤勉で努力家で真っ直ぐな性格を尊敬し、自分にも学問を薦めてくれる優しさに感謝していた。

「…だってぇ…書物ってぇ…眠くなっちゃうぅ。」
 ミルフィーユ姫はキリエの肩に持たれかかり、溜息を吐く。
 キリエは、よしよし、とミルフィーユ姫の髪を撫でてやる。
 そんな妹姫の様子を愛おしそうに見ながら、ミロン王子は、
「クスッ。だが、祭りには珍しい物が集まるのは確かだな。普段は何もない道が露店で溢れ賑わうしね。・・・また、渦巻きのアメがあったら買ってやろうな?」
と、落ち込みかけた妹姫を宥めるように言う。
「うんッ!」
 パッ、と明るい目をクルンと輝かせたミルフィーユ姫は嬉しそうな笑顔で頷いた。


――シフォンレーヌ姫がミロン王子が遅いので迎えに来た。
「ミロン!用意は出来ていて?でかけるわよ!」
 シフォンレーヌ姫が颯爽とドアを開けて入ってくる。
 太腿も露わな短パンをかろうじて覆うように襞スカートを巻いている姿は、神々しささえ漂っている。

「いつでも出掛けられます。」
 そう答えたミロン王子も神々に名を連ねそうに凛々しく美しい青年だった。

「シフォンレーヌ姫様。どうかミロン王子様が無理をなさらないようにお願いします。昨夜も遅くまで読書に耽られておいででしたので・・・」
 ミーサが心配そうに言う。
「心配ないよ、ミーサ。私はそんな弱い男ではないさ。」
「そーゆーことね。学問もよし。されど肉体も鍛えてこそ、王子たらん。…さぁ、早く行きましょう。風が強くなるわ。」
「はい!」

「お姉様もお兄様も気をつけてね。」
 ミルフィーユ姫が立ち上がって見送りながら、少し寂しそうに言う。
 シフォンレーヌ姫は優美に微笑んで近付くと、
「可愛い妹、ミル。あなたには真珠を見つけてきましょうね。」
と、軽く抱き締め、額にキスをした。
「母上の所で歌の練習をしてるといい。すぐに山ほどの獲物を持って、帰ってくるよ。」
 ミロン王子も清潔感溢れる笑顔で妹の髪を撫でた。
「はーぃ。…いってらっしゃい。」
「いってらっしゃいませ。」
 キリエがちょっと自分も付いて行きたそうな顔で見送る。
「ミロン王子様。どうか無茶はなさらないでくださいませね。・・行ってらっしゃいませ。」
 ミーサはまだ心配そうな顔で見送る。
 シフォンレーヌ姫とミロン王子が並んで廊下を歩いていく途中、シフォンレーヌ姫の豪快な笑い声が聞こえた。
 おそらく、ミーサのことでミロン王子をからかい、ミロン王子の慌てた様子が可笑しかったのだろう。


――島でもっとも賑わう港町。
 まばゆく降り注ぐ太陽の光を浴びた美しい姉弟が、部下を引き連れ現れると、人々はそれだけで嬉しそうな顔になり歓声を上げて迎え入れる。

 シフォンレーヌ姫は早速、船長と今日の漁場と進路の打ち合わせをし、ミロン王子は準備に滞りがないかを確認して回る。
 打ち合わせも終わり、準備も整った。

 シフォンレーヌ姫は先頭を行く船に乗り込むと、澄んで良く通る美しい声で叫んだ。
「いかりを上げーい!櫂を漕げーッ!」
≪「「「「「おおおぉぉぉーーーッッ!!!」」」」」≫

 シフォンレーヌ姫は舳先に立ち、片足を縁に掛けて真っ直ぐに海を見つめる。
 凛とした白い横顔、ほつれ毛が頬をくすぐっている。
 海へと乗り出した十数隻の船を引き連れ、魚影を追う。
「…いい風だ。」
 そう呟いたシフォンレーヌ姫は、高らかに声を上げて、
「風に乗れーッ!獲物は近いぞぉーッ!波を越えて前方を目指せーッ!」
と、志気を奮い立たせた。


――遙か沖合。
 十数隻の船団の力を合わせた漁の様子を、遠眼鏡で眺めている男がいた。

「キャプテン。・・・狙いますか?」
 側の男が風に目を細めながら尋ねる。
 男は遠眼鏡を下ろし、
「いや。あれは琉国の漁船団。琉国の王は富の全てを国民と分け合うと聞く。人々を潤す獲物を奪う訳にはいかないだろうぜ。」
と、片頬で笑い、
「俺達が狙うのは、富を独占し、人々を飢えさせる奴等だけでいい。」
と、不敵な笑みを浮かべて言った。
「さようでございますね。」
 腹心らしき男も首領の言葉に敬意を込めて頷いた。
 このキャプテン・ジャックは、海蛇族の長で、世界の海を股に海賊として暗躍する一団の首領でもあった。

「シルバー!」
 ジャックが波に向かって叫ぶと、海面が銀色の光を発した。
 ザバッ!
 飛沫を上げて顔を出したのは、丸太ほどの太さがある大海蛇だった。
 全身真っ白で、不思議な銀色の光を放っている。
 白い大海蛇は首を伸ばしてジャックの間近に顔を寄せた。
「例え悪に手を染めても、お前に恥じる男にはならないぜ。なぁ、シルバー?」
 ジャックが白い大海蛇の鼻先を撫でると、大海蛇が、フォフォフォ、と声なく笑う。
「さぁ!新しい獲物を探すぜッ!帆を張れーーッ!!」

 遠離る帆船に銀の細い光が随行する。
 ジャックが琉国と関わるのは、まだまだ先のことである。


――その頃、宮殿では、恋するにはまだ幼い王女ミルフィーユ姫が、お祭りで着る可愛いドレスを試着して嬉しそうにクルクルと回っていた。

「ねぇねぇ、キリエぇ。キリエも同じドレスを着たらいいのにぃ。」
「・・・あのね、ミル。そーゆードレスは大人しくしてる用に出来てるんだよ。そんな恰好してガードの役目は果たせないでしょ。・・・それに、ヘタに勘違いされて民衆に傅かれたら、緊張で鳥肌立っちゃうよ。」
「えー……ならぁ、ミルもシフォンレーヌ姉様みたいな服を着るぅ。」
「まぁまぁ、何をおっしゃいますの?」
 手伝いに来ていたミーカンがしかめ顔で首を振る。
 元々は二人の姉妹姫達の乳母だったミーカンだけに、しつけには厳しいはずだった。
「シフォンレーヌ姫様だけでなく、ミルフィーユ姫様までそんなことを仰られては、私パパロン陛下に顔向け出来なくなってしまいますわ。」
「ふふっ。冗談よぉ〜、ミーカン。」
 ミルフィーユ姫はミーカンに付いてきた子犬のラブを抱き上げて、一緒にクルクルと回り出した。
「本当にやんちゃな姫様達で、目が離せませんわ。」
「大丈夫!ミルの目付は私がいるから。」
 キリエは仔猫のミュウを膝に抱き、背中を撫でながら笑った。


 南の島、琉国のお祭りまで後少し。
 王宮も国民も、穏やかで優しい日々の中で、ちょっぴりワクワクとしている時だった。


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◆楽屋裏話◆その1

(by Simon様)

メガホンを取る景山参謀
 「私のことは……『監督』と呼べ!」(おおっ 燃えている!)

何故か走り回らされる田代&福島
 「……何でこうなったんだろう?」
 「……さあ?」

衣装合わせ――無邪気に喜んでいるミルクとマサト(物陰にもう一人(笑))
 「見て見て♪ この衣装、すっごいカワイー♪」(クルッと回ってみせる)
 「ククッ ああ、よく似合って――ちょっと待て、背中が丸見えじゃねえか!(しかもシースルー!)」
 「え〜 せっかく若林さんが選んでくれたんだよー それにちゃんとこの上にローブを羽織るから」
 「…………(若林の野郎〜!)」
 「それに……この格好は、マサトにだけしか見せないもん(ポッ)」
 「…………♪」(まんざらでもないらしい)
謎の○林(笑)
 「(ふう、やれやれ)」(こらこらっ その手のカメラはなんだー!)

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◆楽屋裏話◆その2

(by airi)

「どーーなってんだぁぁーーーッ!ミルクとのツーショットがねぇじゃねぇかッ!!」
 マサトが脚本を手掛けたSSSメンバーのワード(毛利葉)に詰め寄る。
「ど・・どう、と言われましても・・・一応・・・童話設定ですのでぇ・・・」
 古代文字で書かれた文献を参考にどうにか書き上げたワードは、今更文句を言われても、と渋い顔で景山に救いを求める視線を投げた。

 景山は肩を竦めて、
「・・あ、コーヒーでも入れてこよう。」
と、その場を立ち去ってしまう。

「・・・さ・・参謀・・・」
「ワードッ!俺が童話向きじゃねぇってゆーのかッ!」
「・・い・・いえ。そう申しますより、・・・ツーショットシーンでの行き過ぎのラブラブが暴走されますと・・・御覧になられますお子様方が、面食らってしまわれるでしょうから。」

「プゥーーッッ!」
 手鏡で髪型を直していたドルフィンが、ワードの言い様に、鏡で顔を隠し声を殺して笑い出す。
 ドルフィンは準主役のマロン皇太子役だったので、割と機嫌がいい。
  (最も初めはシフォンレーヌ姫の役をやりたがっていたので、多少の不満はあるらしい。)

「・・・チェッ。・・・ボスなんて出番があっただけいいよなぁ?」
 ボムが灯油缶のストーブに当たりながら、焼酎を煽って愚痴をこぼす。
「ボムは図体デカイから背中くれぇはわかるぜ。・・・俺なんて・・・お前の影で姿も見えてねぇ。」
 スナイパーは暗くうつむき、ブツブツと言っている。

 そこにパパロンの衣装を着たメンテ(八木守)とウィング役のハッカー(水瀬伸)が、楽しそうに談笑しながら現れたから堪らない。
 ボムとスナイパーにマサトまで荷担して睨み付ける。
[マサト]「メンテぇーーッ!お前がなんでミルクのパパなんだぁーッ!!」
[メンテ]「え・・あ・・ハハッ・・・人柄ッスよ。」
[ボム]「ハッカ〜〜〜・・・随分いい根性してるなぁ〜〜〜??」
[ハッカー]「フン。これくらい図太くなきゃ、ハッキングなんて出来ないぜ。」
[スナイパー]「・・・いつか狙ってやる・・・」

 と、更にそこに助監督の若林がやってきて、被害にあったワードやハッカーも加わって一斉に文句を言い始める。
「まぁまぁ、そう怒りなさんな。・・・今、女性達の楽屋にお礼に言ってきたんだが・・・結構みんないい女達だぜ。」
 と、目を光らせて低音で囁く。

 マサトは、またか、と溜息を吐き、ミルクの楽屋に行くことにした。

 他のSSSメンバーは、もう役柄のことより、若林から女性達の情報を聞く方に興味が行ってしまったようで、顔を近付け耳をそばだてている。
「でな・・・」
 若林が更に低い声でヒソヒソと話し、コンパの約束を取ってきたことを言うと、皆の顔がにやけ出す。
[コウメイ]「俺はシフォンレーヌ姫役の彼女を落とすぜ。」
[ボム]「俺はぁ、あのミーカンがいいなぁ。」
[スナイパー]「俺はスーミレが・・・フフッ・・・」
[メンテ]「私は・・・撮影中に親しくなったレモーンと・・・」
[ハッカー]「じゃぁ、俺はキリエ・・・」
 と、皆がハッカーに視線を向け、無言のうちに”無理、無理”と首を振る。

 ダダダダダダーーー!!
 バタンッ!!
 楽屋に飛び込んできた田代が、SSSの怪しい雰囲気に一瞬固まる。
「おぅ。どうした?」
 若林が何でもない顔付きで普通に用件を聞くと、田代がハッと我に返り、
「今・・・向こうで景山参謀がラーン役の方と親しげにお茶しに行ったッス!」
と報告する。
 立て続けに福島も飛び込んできて、
「若松さんが・・・キリエと・・・食事に行っちゃったッス!」
と驚き顔で言う。
「「「「「なにぃーーーーーッッ??!!」」」」」

 ドルフィンの笑いは止まらない。
 まったく、危険な男達をレディーに無闇に近付けるものではなかった。

                             −−−END−−−




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