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<56>〜<60>









<56>
「神無月」
<56>「神無月」

 彩香は東京駅の新幹線改札口にいた。
 二日前、シアトルから大阪に帰っていた大河が、今日東京に戻ると連絡が入ったのだ。
 東京に着いたらまた連絡するというのを待てずに、迎えにきてしまった。
「大河!」
 改札を抜ける前に大河に気付いた彩香は、思わず声を出して名前を呼んでいた。
 騒がしく大勢の人達が流れていく中で、声も掻き消されていくが、身長の高い大河の耳には届いたようだった。
 大河が彩香を見つけて笑顔になると、彩香も嬉しそうに顔を輝かせて手を振ってみせた。
「彩香。」
 改札を出た大河が彩香の前に立つ。
 彩香は胸がキューンと鳴って、涙が込み上げてきてしまった。
「お帰り・・なさい・・・大河。」
 言葉が震えてしまう。
「ただいま。」
 大河は彩香の髪を軽く撫で、その手を背中に回して彩香を胸に抱き締めた。
 大河の広くて逞しい胸にすっぽりと包まれて、彩香は懐かしい匂いを胸に吸い込んだ。
 が、そこには彩香の知らない、ムスクと消毒液の匂いがあった。
「・・・消毒液・・・?」
 彩香が大河の腕の中から大河の顔を見上げた。
「やっぱり、まだ臭う?・・ムスクのトワレで誤魔化したつもりだったんだけどな。シアトルじゃ、毎日手術漬けだったから、普通の医者より強烈に臭うらしいな。」
 そう言って大河は苦笑した。
「あ・・そっか。」
 彩香は馴染みのない匂いだったが、大河の変わらない笑顔にほっとして、また大河の胸に顔を埋めた。
 3ヶ月近く会えなかった恋人。
 大河の筋肉が張った固い体もその温もりも懐かしい。
「会いたかったぜ、彩香。」
「大河ぁ・・・」
 見つめ合った恋人同士は引き合うように唇を重ね合わせた。
 人の流れはまだあったが、彩香には気にならなかった。
 非難めいた顔で通り過ぎていく大人達に、待ち遠しく恋い焦がれた自分の気持ちがわかるはずもない。
 どれほど辛く切ない日々だったか。
 キスをしながら思い出して涙が溢れてきてしまった。
 大河は彩香の涙にもキスをして、
「・・ごめんな。・・・待たせちまったな。」
と、優しく囁いた。
 禁欲していた訳ではないが、3ヶ月近く貯まっていた彩香への想いが股間に集中してくる。
「・・彩香が欲しい。」
 そう囁かれ、ギュッと抱き締められると、大河の固くなったモノがお腹に当たる。
「・・・ぁ・・・」
 彩香はそれだけで足に力が入らなくなるほど感じてしまった。
 彩香は大河の服をギュゥッと握り、赤くなった顔を胸に押しつけた。
「・・彩香も欲しい?」
 髪を撫でられて聞かれるのに、頷いて答えるのがやっとだった。
 股間の疼き、溢れ出す蜜。
 大河が欲しくて欲しくて、花唇がヒクヒクと痙攣する。
 乳首が痛いほど固く窄んでいるのがわかる。
 声を出したら、喘ぎ声になってしまいそうなほど感じてしまっているのだ。
 大河はもう一度彩香にキスをすると、
「取り敢えずマンションに戻らないとな。・・・閉めっきりだからカビ臭くねぇといいけどなぁ。」
と言って、荷物を肩にかけ、彩香の手を握って歩き出した。
 彩香は大河に遅れないように歩を早めて歩きながら、これから愛し合う所へと向かうのだと思うと、舞い上がって赤くなるのを押さえることが出来なかった。

 乗り継いだ電車の中、ドア近くの手摺りにつかまって立った大河と彩香は、向き合って体を密着させていた。
 彩香は大河の胸に寄りかかって、目を閉じている。
 荷物を足元に置いた大河は、彩香の髪を撫でながら、時々髪に唇を押し当てていた。
 大河の鼓動と温もりを、電車の揺れとゴトンゴトンという音と供に聞いていた彩香は、胸に触れる手を感じドキッとした。
 薄目を開けて手の主を確認すると、また目を閉じて顔を大河の胸に隠すように埋めた。
 大河の大きな掌に包まれた胸が優しく撫でられる感触にうっとりしてしまう。
「・・ん、、、」
 乳首をつままれて、声が洩れそうになり大河の胸にしがみついた。
 その片方の手を握られて下へと誘導される。
 大河のズボンの上から固くなっている部分へと押しつけられ、さするようにと誘導される。
 彩香は指示されるままに、形を指でなぞりながら男根を撫でる。
 大河の片腕が彩香の背中を支えて手摺りをつかみ、空いた方の手は胸への愛撫を続けている。
 彩香は感じて大河の胸に顔をスリスリと擦りつけてしまう。
 電車が大きく揺れる度に下半身に力が入り、膣から蜜が溢れ出してくる。
 ショーツをグッショリと濡らし、太腿までじっとりと湿らせてしまっている。
 まだ彩香の蜜の匂いは薄かったが、それでも周囲が気になってしまう。
 薄目を開けて、それとなく周囲を見回したが、ぴったり寄り添った恋人同士にやっかみを抱いている冷たい横顔が数人。
 後は無視を決め込んでいるようで、彩香のジャケットに隠れた内側での行為は気付かれていないようだ。
 彩香は気付かれたら恥ずかしいと思いながらも、大河が自分を欲しがってくれることが嬉しかった。
 長く離れている間に、自分のことを嫌いになっていたらどうしよう、という不安があった。
 毎日、ネットのメールで心を通わせていたとはいえ、直接会って触れ合えない寂しさは、彼氏がいない時の寂しさより辛かった。
 会えないだけに、メールではいい子でいようと努めていたが、それでも時々我が侭になって寂しさをぶつけてしまうこともあった。
 嫌な子だと思われていないか、と不安だった。
 でも、こうして抱き締めてくれた。
 やっと辛い日々が終わったのだと、優しい手の感触が教えてくれる。
 誰に何と思われても、もう大河から体を離すことが出来なかった。
「・・ぁ、、ぁん、、、」
 大河の手が下へ移動し、彩香の湿った股をなぞり上げてショーツに宛われる。
 どうしよう、こんなに濡れてて恥ずかしい。
 彩香の体温が上昇し、顔が真っ赤になってしまう。
 ショーツの脇から指が滑り込み、花弁やクリトリスを確認するように、クチュクチュ、と動き回る。
 クリトリスを指先で押され、グリグリと回されると、背中が反ってきてしまう。
 声を我慢していても、口は喘ぐように開かれて、熱い息が漏れ出す。
 ヌルヌルの蜜に誘われて、スルッ、、ジュプッ、と膣に指が侵入する。
「・・ぁぁ、、、ん、、、んぁ、、、」
 電車のガタンゴトンという音に隠れて、喘ぎ声をそっと洩らす。
 ずっと我慢して飢えていた膣口がヨダレを垂らしながら指に吸い付く。
 溢れ出す蜜が大河の指を伝って手の甲まで濡らしていく。
 クチュクチュクチュクチュッ、と音が聞こえそうに指が動かされる。
 たまらなく感じて腰が微妙に動いてしまう。
「・・ん、、んん、、、ぁぁ、、、」
 大河の胸に顔を押し当てて、声を消す彩香の視界の端に、電車のシートにもたれた男の横顔が映った。
 手摺り脇の座席に座っている中年の男が、新聞を顔の前に立てて読んでいるのだが、目線が彩香の股間にチラチラと動くのだ。
 気付かれている。
 男の耳には、彩香の股間の、グチュグチュ、という湿った淫靡な音が聞こえているのだろうか。
 嫌らしい汁の匂いも、中年男の大きく開いた鼻の穴から吸い込まれていそうだ。
 どうしよう。
 彩香は大河を見上げて、感じて潤んだ目を向けた。
 大河は彩香が感じているのが可愛くて、人目も気にせずキスをすると、指の動きを早めた。
「・・ん、、、ぅぅ、、、ぁふっ、、、」
 彩香の喘ぎ声が大河の口に吸われていく。
 だが、数人の視線が向けられていることに気付いた大河が、
「続きは後でたっぷりとしてあげるからね。」
と言って、彩香の額にキスをすると指をそっと抜いた。
 彩香はほっとする反面、疼きが残る膣が、もっと欲しい、と切なくヒクつくのを感じていた。
「彩香・・拭いて。」
 大河がグッショリと濡れた指を彩香の顔近くまで上げて見せた。
 彩香は急いで、大河の濡れて光る指を、バッグから出したハンカチで覆った。
 掌や甲まで濡らしてしまっている汁を拭き取る。
 中年男の鼻がヒクヒク動いている。
 その奥隣りのまだ若い男は、素知らぬ顔を装いながら耳を真っ赤にしている。
 彩香は羞恥心が爆発しそうなほどドキドキしていたが、それでも、丁寧にゆっくりと大河の手や指を拭う自分が、どこか誇らしく思えた。
 人前でおまんこを愛撫され、嫌らしい音や匂いを知らない人に感付かれても、あきらかに濡れて光る指を大事そうに拭き取る様も、愛する人へ奉仕する行為として喜びを感じてしまう。
 大河の手を拭き終わった彩香は、大河にもたれて手を繋いだ。
 さっきまで蜜壺を掻き回していた指と指を絡め合わせて、大河の女である実感に浸った。
 寂しくても辛くても、じっと待っていた、御褒美を貰った気分だった。
 もっと電車が混んでいて、人目が気にならない状態だったら、もっと大胆に愛撫されたかったかも、などと思ってしまう。
 幸せな気分に満たされて大河を見上げると、大河は満足そうな笑みを浮かべて、もう一度軽いキスをしてくれた。
 彩香は甘えて大河の口を吸いながら、早く彩香を大河の男根でいっぱいにして、と心の中で叫んでいた。

 大河と唯のマンションは彩香の家と同じ街にある。
 歩いても30分くらいの距離だったが、彩香はまだ一度もマンションの部屋に入ったことはなかった。
 唯だけでなく親代わりの教育係が一緒に住んでいるので、呼び辛いのだと大河は言っていた。
 唯はシアトルで体調を崩し、まだ実家で静養中なので、大河だけが戻ってきたと言う。
 留守中にお邪魔するのは後ろめたい気もしたが、街で評判の超高級マンションの内側が見られることに、彩香はワクワクしてしまった。
 玄関は二重のガラス扉になっていて、中の扉を操作中は外の扉は開かないようになっていた。
 玄関の扉が開いた時、便乗して人が入り込まないようになっているらしい。
 玄関から入った所は広めのホールになっていて、シャンデリアが輝く豪華な内装とゆったりとしたソファーが置かれていて、迎えや待ち合わせの人が部屋までいかなくてもいいようなくつろぎの空間になっている。
 その前は管理室になっていて、警備員が交替で24時間窓口に控えている。
「ただいま。」
 大河が警備員に声をかけると、
「お帰りなさい。お久しぶりですね。」
と、笑顔で返事を返した。
「予定より遅くなって参ったよ。」
「私にはそんなに長く海外へ滞在出来る方が羨ましいですよ。ハハハッ。」
「じゃぁ、今度は交替してくれ。」
 大河は肩をすくめて冗談まじりに苦笑した。
「唯様は御一緒ではないのですか?」
「ちょっと体調崩してね。本人はこっちに戻りたがってたけど、少し遅れそうだな。」
「・・そうですか。・・・ファンが待っています、とお伝えください。」
「ああ。管理室へも土産持って来いって言っとくよ。はは。」
 警備員は大河につられて笑いながら、彩香に軽く会釈したので、彩香も緊張気味に頭を下げた。

 エレベーターにカードキーを差し込んで部屋の階まで行くと、小さなホールになっている。
 このエレベーターは各階一部屋ずつ専用になっていて、降りてすぐの所が玄関スペースだった。
 だから、同じ階の人と顔を合わせることはなく、違う部屋の人はこのエレベーターを動かせなかった。
 それで出前を届けに来る場合、警備員からその部屋だけに停まるエレベーターキーを借りなければならないので、いつ、どの部屋で、どんな出前を取ったかが記録されてしまうこともあり、出前は取りにくい状況ではあったが、それだけセキュリティーが万全とも言えた。

 部屋の玄関は重厚な広いドアで、中に入ると自動で照明が灯る。
「あれ・・・あ、そっか。フローリングにしたって言ってたな。」
 玄関から上がりながら大河が呟いたので、
「え?」
と、彩香が聞くと、
「犬を連れてくるようになったから、長期に留守にする間、内装を替えるって言ってたんだ。前は絨毯張りだったけど、毛とか色々つきやすかったからな。」
と大河が説明した。
「あー、そうなんだぁ。」
「空調は作動してたらしいが、やっぱ籠もってるよな。」
 大河はズンズンと部屋を進んでいき、それぞれの部屋のカーテンと窓を開け始めた。
 眩しい光がいっせいに降り注ぎ、明るい光に照らされた部屋は、簡素ながらも重厚な高級感が漂っていた。
「うわぁ・・・広い・・・豪華ぁ・・・」
「あっは、まさか?・・・これで豪華だったら、唯の実家は迎賓館並みだな。」
「一般庶民の感覚から言えば、豪華なのぉ。」
 彩香は少し唇を尖らせた。
「俺も一般庶民の出だから、言いたいことはわかるけどね。けど、一々驚いてると唯が気を使うから、どんなに豪華でもただの場所だと思うようにしているのさ。洞窟でも宮殿でも場所は場所。そこが居心地がいいか、どうかが問題なんだ。何もなくても、浜辺が落ち着くようにね。」
 大河はそう言って笑うと、彩香の唇に軽くキスをした。
 彩香は胸がキュンとなりながら、そんな大河が大好き、と思う。
 彩香が甘えるように大河を見上げると、
「んー・・・彩香をすぐに抱いてやりたいけど、先に掃除していいか?・・・冬馬さんが一度、改装の確認と掃除に来たらしいけど、それから1ヶ月は経ってるし、やっぱ掃除しないと気分悪いからなぁ。」
と、困ったような笑みを浮かべた。
「うん。それじゃ、お手伝いするね。」
「サンキュ。」
 彩香が笑顔で答えたので、大河は頷き、彩香の髪を撫で額にキスをした。

 1時間ほどかけて掃除が終わり、大河は窓を閉めた。
 10月に入った風はひんやりと冷たい。
 それでも掃除の間、日にあてていた布団は暖かかった。
「床暖房だから、部屋が暖まるまでは少し時間がかかるけど、その前に俺が暖めてやるぜ。」
 大河はベッドの中で鳥肌立った彩香の肩にキスをした。
「・・うん。」
 彩香は大河の肩に腕を回し、久しぶりの肌の感触にうっとりしながら頷いた。
「浮気はしなかっただろうな?」
 大河は彩香のふっくらとした胸を愛撫しながら聞く。
「・・ぁぁっ、、、する訳ないじゃん・・・ぁん、、、」
「それじゃ、確認してみよう。」
 大河はクスッと笑って、彩香の股を広げさせ、おまんこをじっくり観察し始めた。
 花唇を押し広げ、花弁に舌を這わせる。
「んぁ、、、ぁふっ、、、」
 彩香は羞恥心とビリビリと伝わってくる快感に目を潤ませ、指を噛んで耐えている。
「こんなに熱くなってるぞ。・・花弁も柔らかく綻んでる。」
「あん、、、だって、大河が・・・したから・・・」
「クスッ。そうだったな。」
 大河はチュゥーッと音を立てて、膣口にキスをした。
「あぁぁぁ、、、んん、、、」
 大河は花弁をレロレロとくすぐり、膣の内側を舌で舐めながら、指でクリトリスをつまんでグリグリと責め立てた。
「あぁぁ、、、ぁふん、、、んぁぁぁぁ、、、」
 彩香は体を捩ってよがっている。
「あぁん、、、大河ぁ、、、」
 彩香が切なそうに大河に腕を伸ばすので、大河は顔をあげて体を上に戻した。
 彩香の顔をじっと見つめながら、指で蜜壺を、グチュグチュ、と掻き回す。
「んん、、、ぁぁぁん、、、」
「彩香・・・待っているのは辛かった?」
 彩香は涙を滲ませた目で頷く。
「俺も・・寂しかったぜ。」
「ホント?」
「ああ。彩香が抱きたくてたまらなかった。」
 大河は熱いキスをしながら、指を一本から二本にして強く膣壁を擦る。
「ん、、、ふぁぅ、、、ぅぅ、、、」
 彩香は大河の舌を吸いながら喘ぎ声を洩らす。
 腰が浮いてきて背中が反り上がる。
「ん、、、ぁぁぁ、、、入れてぇ、、、」
 彩香がたまらずに大河のそそり立つ男根を握って扱く。
「ぁぁ、、、欲しいのぉ、、、大河が欲しいぃ、、、」
 熱に浮かされたように喘ぎながら訴える。
「俺も今日は早く彩香の中に入りたい。」
 大河は彩香がつかんだまま、腰を彩香の股の間に移動させる。
 彩香は自分で亀頭を膣口に合わせ、グッと中に押し込んだ。
「いい子だ。」
 大河が腰を少しずつ前に押していく。
「ああぁぁぁ、、、んんー、、、はぁぁぁ、、、彩香がいっぱいになるぅぅ、、、」
 彩香は大きく股を広げて、めり込む男根を手で誘導する。
 久しぶりの大きさに痛みを感じて眉を寄せる彩香の苦悶の表情を、大河は愛おしく見つめている。
「んあぁぁぁ、、、ぁぁぁぁ、、、おまんこが熱くなるぅぅ、、、」
 彩香は根元近くまで男根が自分の中に入ったのを確認してから、手を大河の腰に回した。
「彩香がめちゃめちゃ締め付けてるよ。・・・あぁ・・・可愛い・・・」
「はぁはぁ、、、大河のぉ、、、コチコチで、、、あぁぁぁ、、、熱いよぉ、、、」
「彩香への想いがいっぱい詰まってるからな。」
 大河は腰に力を入れ、ググッと根元まで押し込んだ。
「ぁっ、、ひっ、、、」
 彩香が大きく背中を反らせる。
 子宮が強く押し上げられ痛みと快感が走る。
「はぁはぁ、、、あぁぁぁぁぁ、、、んんー、、、いっぱいの大河で壊れそぉぉ、、、」
「あぁ・・・彩香がぴったり吸い付いてくるぜ。・・襞がヒクヒクしてる・・・」
「大河のおちんちんもぉ、、、ドクンドクンってしてる、、、」
 まだ根元まで入れた状態で動かさず、お互いの感触を味わっていた。
 大河が彩香を見つめ、
「戻ってきたなぁって実感が湧くよ。・・ただいま、彩香。」
と言うと、彩香も大河を見つめて、
「うん。・・お帰りなさい、大河。」
と言って、ギュゥゥゥッと大河のコチコチの肉棒を締め付けた。
「うぅぅ・・・マジ・・・彩香はキツくていいなぁ。」
 大河も熱い息を吐くと、
「今日は気絶するまで離さないよ。」
と、腰を動かし始めた。
「・・うん・・・」
 彩香は大河の”彩香は”と言った言葉が少し気になったが、膣襞を擦られて快感が押し寄せてきたので、思考が止まり、たまらない悦楽に引き込まれていった。

<57>
「外泊」
<57>「外泊」

「あんっ、、、はぁぁ、、、あぁっ、、、んんっ、、、」
 後ろから突き上げられる度に、体が大きく仰け反ってしまう。
 子宮を強く押し上げられ、腸も胃も一緒に押し上げられる気がする。
 あまり激しく突かれるので、口から胃が飛び出しそうな錯覚さえ感じる。
「はぁはぁ・・・可愛いよ、彩香。・・・俺の彩香。」
 大河は彩香の丸い尻を撫でて腰を前後に振り続けている。
 彩香の膣口はもうギリギリ限界まで押し広げられている。
 ズブッ、、ズブッ、、ズブッ、と容赦なく侵入を繰り返し、花弁が擦れて赤く染まっている。
「あぁん、、、はぅぅっ、、、くっふぁ、、、あぅぅぅ、、、」
 彩香のよがり声は啜り泣く声が混じる。
 痛みさえ気持ちがいい。
 でも、壊れそうなほど突かれ続けて、溶鉱炉のような熱さに膣襞が焦げそうな気がする。
 それでも目眩く快感に意識は朦朧とし、目の前に虹色の光がスパークしている。
 もう何度も絶頂を繰り返し、自分がどうなっているのかさえ良くわからない。
 体中が性器の塊になったように感じる。
 叫びすぎた喉がヒリついてかすれてくるが、それでも喘ぎ声が突かれる度に押し出される。
「どうだ?・・・はぁはぁ・・・俺を思い出したか?」
「ぅぅ、、、こんなに、、、激しいのぉ、、、あぁっ、、、知らないぃぃ、、、ぐふっ、、、ぅぅ、、、」
「まだまだ・・・こんなもんじゃないぜ。」
 大河は彩香の片腕をつかんで、体を引き寄せるようにすると、早さを増して腰を激しく打ち付けた。
「、、、ひぁっ、、、ぅぁぁぁ、、、あぅぅぅ、、、あぁぁぁぁぁ、、、」
 彩香は片手で体を支えながら、深く激しく突かれる子宮の熱さに悶え喘いだ。
 胸が大きく揺れている。
 時々、乳首の先がシーツに擦れて刺激され、ブルンブルンと振り回されながら汗を滴らせている。
 元々胸は大きい方だったかも知れないが、大河に愛撫されるようになってから大きさを増したように思える。
 特に乳首はテープを張らないとTシャツが着れないほどに熟している。
 乳首がこんなに感じるものだと知ってからは、寝る前にクリクリと愛撫するのが癖になってしまった。
 会えなかった期間、乳首とクリトリスを擦っては寂しい夜を慰めていた。
 また大河に抱いて貰えるなんて夢のように思えるが、この苦しいほどに激しいセックスは夢でないことを強烈に自覚させる。
「あぁぁぁぁぁ、、、イクッ、、、はぁぁ、、、イク、、イクゥ、、、イクゥゥ、、、もうダメェ、、、」
 彩香は大きく喘いで頭を反らせると、
「はぁぁぁ、、、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ、、、、、」
と、叫んで、硬直したように体を痙攣させた。
「はぁはぁはぁはぁ、、、、、、」
 グッタリとシーツに力の抜けた体が崩れてしまう。
 恍惚と焦点の定まらない目が揺れる。
「まだ、気絶させないぜ。」
 大河はすでに二回、彩香の中に熱いミルクを放出していたので、今回は彩香と一緒にいかなかったようだ。
 まだ、ビンビンに固い肉棒が刺さったまま、彩香の体を横倒しにすると、片足を高く上げて肩にかけた。
 卍固め、とか、松葉崩し、とか言われる体位である。
 ぼんやりと視線が宙を彷徨う彩香を、その状態で突き始める。
「ぁひっ、、、ぅぅぁぁ、、、あぅぅ、、、」
 当たる場所が変わって、また新たな快感が沸き上がってくるようだった。
 もう、愛を確かめ合うセックスを越えていた。
 快楽を貪り合う淫乱な魂の絡み合い、ぶつかり合いだった。
「あぁぁぁぁぁ、、、ぅぅぅぅ、、、んんん、、、んぁぁぁ、、、」
 太腿をつかまれ、グチュグチュグチュッ、と奥へ奥へと突き上げられる。
 体中が痛いような、麻痺しているような、力の入らない状態なのに、大河の男根の太さや固さははっきり感じる。
 熱く脈打つのさえ伝わってくる。
 膣口がヨダレを溢れさせ吸い付いていく。
 自分の意志なのか、無意識なのかもわからない。
 ただ、ただ、体中を駆け巡る熱い快感に痺れている。
 きっと、もう、他の男は愛せないだろうと、ふと、そんな思いがよぎってしまう。
 別れるなんて考えたくもないのに、こんなに愛されることが、自分に相応しくないように思えてしまうことがあるのだ。
「あぁぁ、、、ぁぁん、、、大河ぁ、、、愛してるぅ、、、」
「俺も・・彩香を愛しているよ。」
 大河は彩香の足を更に上げてのし掛かると、彩香の涙に濡れた頬を撫でた。
 それから、彩香の揺れる胸を強くつかみ、指の痕がつくまで握った。
「きゃぁぁぁぁ、、、あぁぁん、、、痛いぃぃ、、、」
 彩香が痛さに体を硬直させると、大河の男根を千切れそうなほど締め付けてくる。
 大河は今度は思い切り乳首をつまんで捻り上げた。
「ひゃぁぁぁ、、、くぅぅぅ、、ん、、、あぅぅぅ、、、」
 彩香の喘ぎ声は獣染みてきていた。
「あぅぅぅ、、、ぐふん、、、ぅぅぁぁぁ、、、」
 彩香は噎び泣きながら、大河をギュウギュウギュウッ、と締め付け続けた。
「いい子だ・・・可愛い彩香。」
 大河は、原型を留めないほどに苦痛に歪ませた彩香の顔を、愛しげに見つめた。
 体中を震わせて痛みを訴える一方で、感じてたまらない腰を振って、大河の男根に吸い付いてくる彩香が、可愛くてたまらない様子だった。
 大河は彩香の足を降ろしてやり、普通の体位に戻ると、
「愛してるよ、・・・彩香・・・はぅぅぅ・・・うぅぅ・・・」
と言って、熱いキスをしながら、彩香の中にミルクを迸らせた。
「、、、大河ぁぁ、、、」
 ようやく開放された彩香は大河とともに絶頂に達し、意識を手放した。

 ひんやりとした感覚に、彩香は目を開けた。
「少し無理をさせすぎたかな?」
 大河が彩香の額と股間に絞ったタオルを宛って言った。
 それからペットボトルの水を、ゴクゴクゴク、と喉仏を大きく上下させて飲むと、彩香の体を支えながら彩香にも飲ませてやった。
 叫びすぎた喉に冷たい水が流れていき、心地良さに深く息を吐いた彩香は、何かを言いかけたが言葉にならず、額のタオルを裏返して目に当てた。
 いっぱい泣いた気がする。
 熱っぽい目がタオルに冷やされてジワーンとする。
 ギッ、とベッドが沈んで、大河が彩香の体に覆い被さるように鼻の頭にキスをした。
「・・ごめんな・・・」
 彩香は涙がまた込み上げてきてしまって返事が出来ず、代わりに小さく首を振った。
 大河の手が優しく髪を撫でるのを感じる。
「彩香は俺のもんだ、って感じたくて・・・いっぱい泣かせたくなったんだ。」
「・・・いいの。」
 彩香はタオルを今度は頬に当てて、泣き顔のまま小さく微笑んだ。
「・・ずっと・・・寂しかったけど・・・泣かないようにって・・・頑張ってたの。・・・だから、その貯めてた分を・・・思い切り搾り出しちゃった気分・・・」
 潤んだ目を瞬かせて、彩香は大河の鼻にキスを返した。
「彩香・・・いい子だ。」
 大河は腕を彩香の背中に回して、そっと労るように抱き締めた。
「夜はもっとソフトに抱いてやるからな。」
 そう言って、彩香の額にキスをした大河は、起きあがるとまた水を飲んだ。
「・・・夜?」
 彩香はすぐには意味がわからず、首を傾げた。
「せっかく俺だけなんだし、泊まっていけよ。」
「え?・・・えぇ?!・・・外泊・・・?」
 彩香はビックリして体を起こした。
 高校時代に数回外泊をしたことはあるが、クラブの友達で親も知っている相手の家だった。
 大学ではそこまで親しい友達も出来なかったので、しばらく外泊はしてなかった。
「大学生なんだし、友達の所に泊まるぐらい出来るだろ?」
「・・・でも・・・」
「今日は彩香とずっと一緒にいたい。」
「・・・うん・・・」
 迷いはあったが、大河に肩を抱かれると、彩香自身も、今夜は離れたくない、と押さえきれない思いが込み上げてくる。
「良かった。」
 大河はにっこり笑って、彩香の髪にキスをした。
 そして、ベッドから立ち上がると、
「じゃぁ、汗を流したら買い物してこよう。」
と、彩香にウィンクした。
「留守だったから、水しか冷蔵庫に入ってなかったぜ。」
「・・ホント?」
 彩香は大河のガッカリしたような顔に、いつもの大河らしさを感じてほっとしたせいか、何だか可笑しくなって、クスクス笑った。
「外でゆっくり食事してきてもいいしな。」
「うん。」
「俺の手料理も御馳走したいけど・・・ま、それは明日の夜にしよう。」
「・・・うん。」
 明日の夜って、明日も外泊するってことだろうか、と不安を感じながらも、大河とずっと離れたくない、という気持ちは彩香も同じだったので、笑みを浮かべて頷いた。
 大河の差し出した手につかまってベッドから立ち上がろうとして、彩香は足元がフラついてよろけてしまった。
 大河は苦笑して彩香を抱き上げると、
「今夜は控え目にした方が良さそうだな。」
と、軽くキスをした。
 そして、浴室まで連れていくと、抱っこしたままの状態で、彩香の体を優しく洗い流してやった。

 10月に入ったばかりの爽やかな気候は、シアトルの夏に似ている。
 今年の日本の夏は猛暑だったというが、長い留学生活で涼しい夏に慣れていたせいで、猛暑の感覚を大河は忘れてしまっていることに気付いた。
 それを彩香に言うと、
「いきなり路上のバイクが燃えだしたり、車中に置いていかれた幼児が亡くなったり、色んな被害があったのよ。」
と、眉を曇らせて言ってから、
「シアトルっていい環境なのねぇ。一度行ってみたいなぁ。」
と、羨ましそうな顔をした。
「けど、冬は寒くてジメジメ湿度が高くて、霧がいつも撒くらしいよ。」
「あ、そうなんだぁ。・・・じゃぁ、冬は嫌。」
「だろ?」
 顔を見合わせてクスクスと笑い合う。
 こんな何気ない会話も、お互いの顔を見て話せることが嬉しかった。
 落ち着いた和風レストラン。
 静かに流れる琴の音色が、むしろ異国情緒を感じさせる。
 普通に街を歩いていて、純和風な空間はもう存在しないのかも知れない。
「俺は京都に行ってみたいな。」
「え・・・大河は京都に行ったことがないの?」
「10歳でイギリスに渡ったからな、修学旅行の類は知らないし、唯の実家が大阪だからって、実家に戻ってわざわざ観光はしないだろ?」
「あぁ・・・そっかぁ。」
「彩香は行ったことがあるんだろ?・・なら、彩香に案内して貰うかな。」
「無理よぉ・・・案内出来るほどは知らないもの。小学生の時の修学旅行と、高校になってから家族旅行で行ったくらいだもん。」
「へぇ・・・家族旅行かぁ。・・・庶民って愚痴ってみても、そんな普通に平穏な生活が出来る方が幸せなのかもな。」
「・・・大河は?」
「俺か?・・ははっ。・・・俺がいるとみんな気を使いすぎるらしい。」
「そんなぁ・・・何年離れ離れになっていたって、肉親の情は薄れないと思うけど・・・」
「ちょっと特殊な事情があるんだ。」
 そう言って苦笑いを洩らした大河は、それ以上家族の話題はしたくないようだった。
 彩香は話題を変えようと、
「お医者様のバイトは大変だった?」
と聞いた。
「え・・あ・・・そりゃ、厳しかったぜ。毎日数回の手術をこなしてたんだからな。」
 何故か大河が一瞬動揺したように見えた。
 メールでも忙しさをこぼしていたし、浮気を疑いたくはなかったが、急に”彩香はキツくていい”と言った大河の言葉が頭に浮かんできてしまった。
 ”彩香は”というのは、誰と比較して言ったのだろう。
「・・・じゃぁ・・・女性と付き合う暇もなく?」
「あ・・・もちろん。」
 大河は唯から”絶対隠せよ”と言われていたので、内心ギクリとしたが、きっぱりと断言した。
 隠すことが本当にいいのかどうかは、わからなかったが、気付いてないことまで進んで話すのは、やはり残酷なのかも知れない。
 それよりも、唯との関係はいつかは彩香にも気付かれる時がくるかも、と思う。
 だが唯は彩香に知られないようにするだろう。
 第一、唯は関係を持っても、恋人のようには甘えてきてくれないのだ。
 自分でも理解出来ない不思議な関係だった。
 大河は彩香の質問を逸らすように、唯の初恋の話をしてやった。
 目が回るほど忙しい日々の中、束の間の安らぎが恋に変わり、見守り続けた愛。
 自分だけのラジオから聞こえる声に、笑ったり頷いたり、声を抱き締めるようにして聞き入っていた。
 まるで、唯の方が見えない相手に恋してるよだった。
 唯が狙われたことは伏せたが、親しくなった友人を助けられず、その友人の遺言で移植しなければならなかった経緯は、彩香も涙を浮かべて聞いていた。
「それで、唯は心身ともに衰弱しきってしまったんだ。」
「・・・そうだったの・・・」
 口元を押さえて震える息を吐いた彩香は、もう大河の浮気を探ろうという気持ちが消えているようだった。
「彩香も知ってる唯の紫の発光体は、唯の悲しみに反応して、唯の精気を燃やしてしまうんだ。」
 そう聞いた時、彩香はハッとした。
 唯は以前、自分の為にも紫の炎を燃やしてくれたことがあった。
 彩香は今更ながら、唯の本当の優しさに気付いて心が震えてしまった。
 手の届かない憧れだと思って、唯を遠い存在のように感じていたことが、失礼だったのかも知れない、と思えてきた。
 全ての人へ向けられる愛情だとしても、命を燃やすほどに人を想う心の尊さを、彩香は感じていた。
「・・彩香?」
 大河に呼ばれて我に返った彩香は、
「あ・・ん・・・唯君、早く元気になるといいわね。」
と、呟くように答えた。
「まぁ、見た目よりは体力がある奴だから、すぐに回復するさ。大学の試験も近いからな、そうそう休めないし、拓磨さんが止めなきゃ、俺と一緒にこっちに戻る気だったらしい。」
 大河は苦笑して言った。
「それならいいけど・・・無理はしない方がいいわ。」
「うん。・・ずっと紫の炎が目から消えないんだ。・・・それだけ悲しみが深いんだろうが、今の状態が続いたら新しい恋も出来ないだろうな。」
「・・・澪さんって人とはもう会えない?」
「緑の目を見れないだろう?・・・見たらまたぶっ倒れちまうぜ。もう、彼女との恋はあり得ないね。・・・なにしろ・・・」
「・・・なぁに?」
「あの発光体が消えないと、男のモノが役に立たない。」
 大河が声を潜めてボソリと言った。
 彩香は目を丸くして、開いた口を手で押さえた。
 それから大きく溜息を吐くと、
「・・・唯君・・・可哀想・・・」
と、涙ぐんで言った。
「なぁに。唯には俺がついてる。親友の俺がな。」
 大河がそう言ってウィンクするので、
「そうね。親友の大河が支えてあげなきゃね。」
と、彩香も頷いた。
「だから、唯が戻ったら側で気遣ってやらなきゃならないし、・・彩香には少し不満かも知れないけど、理解して欲しい。」
「ええ。もちろんよ。不満なんかないわ。」
「良かった。」
 大河は心の中でも、別の意味で”良かった”と洩らした。
 これで、唯につい気を取られすぎても、彩香が不審がることはないだろう。
 大河は満足して食事を終え、和食も堪能して、彩香と店を後にした。

 マンションに帰る途中、スーパーで買い物をした。
 カートを押す大河とあれこれ相談しながら食材を選ぶ彩香は、何だか同棲してるような気分になって嬉しかった。
 唯が戻ってくるまでの数日間だけでも、本当にずっと一緒にいようか、と真剣に考えてしまう。
 けれど、そこまで許してくれる両親ではなかった。
 今夜は大学の友達と試験対策の相談とノート合わせを言い訳にした。
 まともに男の所に泊まるなどと言ったら、父親の雷が落ちるだろう。
 怒ってくれるほど愛されているのだと理解していても、大河と一緒にいたい、と叫ぶ心が親を鬱陶しく感じてしまう。
 親に貰った体と命。
 大切に育てられたと思っても、愛された感覚が残っている今の彩香の体は、大河のものだと思ってしまう。
 心も体も大河に支配されている。
 ヨーグルトの銘柄にこだわって笑う大河が、今の彩香には全てだった。
 そんな思いに耽りながら、大河の横顔を見つめていたので、
「ん?・・・このヨーグルトは嫌?」
と、大河が聞いた。
「ううん。・・あ・・朝が和食党でない男性って珍しいかも。」
「そうか?」
「だって父なんて、朝はお米のご飯を食べないと力が出ない、って言うもの。」
「それじゃ、アジア系以外の男は力が出ないな。はははっ。」
「それも変よね。ふふっ。」
 笑いをこぼしながら、彩香は大河の腕に腕を絡めて、顔を押しつけた。
「クスッ。何だ?・・もう、甘えたいのか?」
 大河が彩香の髪にキスをする。
 甘い二人の会話に、買い物をする年輩の女性が眉をひそめる。
 どうして愛し合う姿に反感を抱くのだろう。
 彩香は反発するように、一層大河に寄り添って歩いた。
「そんなに可愛く甘えると、今夜寝かせないぞ。」
 大河に耳元で囁かれ、彩香は、
「いやぁ〜ん・・・体がもたない〜・・・」
と言ってしまい、周囲の視線を集めてしまって、さすがに赤面してうつむいた。
 大河は笑いをこらえながら、もう一度彩香の髪にキスをした。

<58>
「幸せな朝」
<58>「幸せな朝」

 白いゆで卵がペコペコとお辞儀している。
 ダチョウの卵よりも大きい。
 恐竜の卵ならこれくらいだろうか。
 恐竜のゆで卵も白ければだか・・・
 大河の股間に正座するように行儀良く座って、頭を下げてフェラチオしている彩香を見ながら、ふとそんな想像をしてしまった。
 そんな大河の想像も知らず、彩香はひたすら熱心に大河の男根をしゃぶっている。
 チュプチュプチュプッ。
 根元を両手で挟んで扱きながら、小さめの口を目一杯開けて亀頭をくわえて、頭を振り続ける。
 遠目で見たら、熱心にお経を唱える巡礼に見えるだろうか。
 夜の甘いひと時。
 彩香の体の負担を少なくしようと、男根を好きにしていい、と遊ばせているのだが、キャシーの喉深くまで飲み込んでしまう過激なフェラチオに慣れていた大河は、多少退屈気味に眺めていた。
 だが、退屈気味と言っても、彩香が普段の清楚な表情を残しつつ奉仕してくれる様子は、健気で愛おしかった。
 唯はいつも億劫そうに文句を言いながらする。
 抱けば素直に感じるのに、奉仕する行為を求めると、決まって目を眇めるのだ。
 いまいち熱心でない所が物足りない。
 彩香は、技術的にはまだまだ改善の余地があるものの、直向きさが可愛い。
 それにしても彩香の肌が夏前よりも白くなっているように思える。
 肌の光沢も滲み出すように輝いている。
 日本人は肌が綺麗だと聞いたことがあるが、キャシーの金色の産毛が濃い肌に慣れてしまったせいだろうか。
「なぁ・・・彩香、肌が綺麗になってないか?」
 大河は彩香の頬をそっと撫でて聞いた。
 大河のモノをくわえたまま、彩香が大河と目線を合わせた。
 目が、うふっ、と得意げに笑う。
「あ・・・やっぱり何かあるな?」
 彩香は亀頭から口を離し、カリを舐めながら、
「・・・秘密ぅ。・・ふふっ。」
と答えた。
「ほう・・そうか。・・・ふん。言わないと尻の穴を舐めるぞ。」
「え〜・・・いやぁ・・・」
 大河の肉棒につかまって先端を舐め回す彩香は、抗議するように、先端部分に歯を立てて軽く噛んだ。
「・・ッテ・・・誉めてんだから教えろよ。」
「・・・んー・・・エステに通ってるのぉ・・・」
「エステぇ?!」
「そんなに驚くことないでしょう?・・・乙女のエチケットよ。」
「へぇ・・・そんなもんかぁ?」
 玲奈がエステ通いをしていたことは知っていたが、彩香はそうしたことには興味がないと思っていたので、大河には意外だったのだ。
「でも、エステって高いんじゃないのか?」
「コースによるけど・・・その日のメニューでも違うし・・・」
「そんな話はメールでしてなかっただろ?」
「・・・だってぇ・・・内緒で出来たら、それが一番だもの・・・」
 彩香が拗ねた顔でまたカリに歯を立てた。
「・・ッテテッ・・・こら、充血してるから血が噴き出すぞ。」
 大河は苦笑して、彩香の体を胸まで引き上げ抱き包んだ。
 唇を重ね、フェラチオの御褒美のように甘いキスをする。
 ンチュッ、、、チュプッ、、、ピチュッ、、、
 重ねては離れ、離れては重ね合わせて、見つめ合いながらキスを繰り返す。
「・・彩香の肌があんまり綺麗だから・・・聞いてみたかったんだ。」
 大河の声は優しく甘い囁きになっている。
 彩香は大河の胸にもたれかかって、大河の乳首を指先でいじりながら、
「ただ待っているより、少しでも綺麗になりたかったの。」
と、甘える声で言った。
「そのままの彩香で充分綺麗だぜ。」
 大河は彩香がイジらしく思えて、両腕で包み込むように抱き締め、赤ん坊をあやすように揺すった。
「大河ぁ・・・」
 彩香はやっと愛する人の腕の中に帰れた喜びを、触れ合う肌の熱さとともにジワーンと感じていた。

   抱き包まれたまま横になり、後ろからゆっくりと優しく大河が入ってきた。
「あ、、、ぁぁ、、、」
 頭を仰け反らせると、耳をしゃぶられ、
「そっとするからね。」
と、大河が囁く。
 大河は片足を彩香の足に絡ませ、波のうねりのように腰を動かす。
「あぁぁ、、、大河ぁ、、、気持ちいい、、、」
「彩香がいっぱい感じたら・・・繋がったまま寝よう。」
「え、、、繋がったまま?」
「そう。・・このまま。・・・同じ夢を見られるように。」
「繋がったまま眠ると同じ夢を見れるの?」
「クスッ。・・科学的根拠はないけど・・・」
 唯は大河と野性の獣になって、共に並んで草原を走る夢を見ると言う。
 彩香はどんな夢を見るのだろう。
 大河は、彩香がエステで磨き上げた白い肩に、キスをして笑いをこぼした。
「はぁぁ、、、ぁぁぁ、、、大河の船に乗って、、、海に漂うみたい、、、」
 彩香は大河の動きに身を任せ、結合された部分の熱さを真夏の海のように感じていた。
 波が大きくうねる度に体が浮き上がり、赤い光が瞼の奥まで照らした。
 太くて固い一本の梶は、左右前後にと動き回ってつかみにくい。
 たまらずに梶を股に挟んでしまったら、船と一つの存在になった。
「あぁぁぁ、、、大河とひとつになるのぉ、、、彩香が大河になって、、、大河が彩香になって、、、広い、、、広い海原を、、、波に揺られていくのぉ、、、」
「ん・・・いいね。・・・離れずに・・・ずっと一緒にいよう。」
 大河は彩香が感じて鼻を鳴らすのに合わせて、動きを大きくしていった。
「あぁん、、、んん、、、ふぅぅん、、、あふっ、、、」
「俺の梶にしっかりつかまってろよ。」
「あ、、あぁ、、、あっぁ、、、ぁ、、、」
 小刻みな動きを織り交ぜて、彩香を高波に乗せる。
「あぁぁ、、、大河ぁ、、、揺れ過ぎて、、、怖い、、、んん、、、」
「大丈夫。・・・俺に合わせて・・・」
「ん、、、ぁぁん、、、梶が、、、梶が、、、暴れるぅ、、、」
「はぁぁ・・・彩香が帆になって・・風に乗るんだ。・・・はぁはぁ・・・」
「、、、ぅん、、、ぁぁぁ、、、ぁふ、、、あぁぁああぁっ、、、」
 彩香は体を大きく反り返らせ、頭の上に上げた手を後ろに伸ばすと、ぴったり顔を寄せている大河の首に巻き付けた。
 ブワッ、と突風に煽られるように帆が脹らみ、青い空に白く大きなマストを張り出す。
「ぁぁぁ、、、あぁっぁぁっ、、、体が浮き上がるぅぅ、、、ぁぁっ、、、イク、、、イクゥ、、、」
 帆が風に押し上げられ、空へと舞い上がる。
「はぁはぁ・・・一緒に行こう・・・うぅぅあぁっっ・・・俺もイクぜ・・・はぅぅっっ・・・」
「あぁぁぁ、、、一緒にぃぃ、、、イクゥゥゥーーー、、、あぁぁああぁぁぁ、、、、、」
「くっっ・・・はぁぁぁっっっっ・・・」
 背中と胸をぴったりつけて、同じように荒い息を繰り返している。
「、、、ん、、、大河の、、、熱いミルクが、、、彩香の中に、、、」
 彩香が恍惚とした夢見心地に呟く。
「そうだよ、彩香。・・・いい子は、ミルクを飲んだら、ネンネするんだ。」
 大河が熱い息で囁く。
「、、、うん。」
 彩香は安心したような顔になり、ふぅぅっと大きく息を吐くと、力を抜いて静かな呼吸を始めた。
「お休み・・・俺の彩香。」
 大河も彩香の頬にキスをすると、繋がったまま彩香を優しく腕の中に抱いて、眠りについた。

 はぁぁ・・・暖かい。
 目が覚めた彩香が一番初めに頭に浮かんだ言葉だった。
「お早う、彩香。」
 大河が頬や肩にキスをする。
 あぁ・・・そうだった。
 大河のベッドで一緒に寝たんだっけ。
 彩香は覚めきらない微睡みの中で、満たされた幸福感に微笑みを浮かべた。
「クスッ。・・あのな・・・そーゆーのをH笑いって言うんだぞ。」
「え・・・嘘ぉ?!」
 彩香は瞬きをして目を開けた。
「クスクスッ。・・さぁ・・・どうかな?」
「あーん・・・大河ぁ・・・」
「冗談だよ。・・・彩香があんまり可愛いから・・からかってみた。」
「ぅぅぅ・・・意地悪ぅ・・・」
 彩香はそう言いながらも、また笑みを浮かべていた。
 こんなに満たされた時間と空間の中で、怒るなんてもったいない。
 愛してる人の腕の中で目覚められる幸せ以上に、欲しいものなんてない。
 このままずっと微睡んでいたい、と思った時、大学のことを思い出してしまった。
「・・・今、何時?」
「ん・・6時28分・・だな。」
「ふふっ。正確な言い方ぁ。」
「あ・・・そっか。はは。職業柄、時間は正確に記録するからな。」
「あぁ・・・」
 彩香は納得して頷いた。
「だから、ここにある時計は全て秒単位まで正確に合わせてある。間違っても遅刻はしないから、大丈夫だよ。」
「うん。・・・でも、・・・このままでいたいかも・・・」
「誘惑されると・・・俺・・負けそう。」
 大河が彩香の耳をしゃぶりながら言ったので、
「あん、、、くすぐったいぃ、、、」
と、彩香が体を丸める。
「、、あ、、、」
 彩香は体を丸めて、初めて繋がったままの状態でいることに気付いた。
 気付いた途端、膣口の熱さが脳に届く。
 押し広げられたままの花弁を閉じようと花唇がヒクヒクと痙攣する。
 だが、気付いた時から、大河の肉棒はマックスに張りつめて、固い存在だった。
「ぁ、、ぁ、、ん、、、」
「やっと気付いたの?・・・のんびり屋さん。クックッ。」
 大河は更に彩香を感じさせるように、首筋から肩へと唇を這わせ舌でくすぐる。
「あ、、、ぁぁぁ、、、ぁん、、、」
 彩香の肉襞がうねって固い肉棒を締め付けていく。 
「朝食前の運動に、一汗かこう。」
 そう言った大河は少しずつ慣らすように肉棒を動かし始めた。
 彩香の蜜が肉壁をしっとり濡らすのを待って、次第に大きく動かしていく。
「あぁぁ、、、あふっ、、、ぁぁん、、、」
 気持ちのいい微睡みから、快感へと誘い込まれる。
 何て幸せなんだろう。
 彩香は突き上げられる度に走り抜ける電流のような快感に痺れながら、心も体も満たされる喜びを噛みしめていた。
「ぁぁぁ、、、大河、、、大河ぁ、、、あぁぁん、、、」
「彩香・・・いい子だ。・・・はぁ・・可愛いよ。」
 大河は彩香の足を腕で担ぐようにして、ズン、、ズン、、ズン、、と突き上げる。
「あん、、、あん、、、ぁぁあん、、、」
 昨夜の寝る前のセックスよりも激しく突き上げられる。
 子宮が押し上げられ、蜜が溢れ出してくる。
 グッチュ、、グッチュ、、グッチュッ、、、
 静かな朝の空間に淫靡な音が響く。
「朝だっていうのに・・・彩香のおまんこはこんなにキツク吸い付いてくるぜ。・・・嫌らしい子だなぁ。クククッ。」
「、、、くふん、、、ぅぅ、、、イジメちゃいやぁ、、、」
「バーカ。・・・最高だって言ってんだぜ。クスッ。」
 朝から元気いっぱいの大河は、彩香の向きを変えさせると、膝の上に抱っこしてリズムをつけて突き上げるようにした。
 彩香は大河の肩につかまって、弾みながら体を仰け反らせた。
 胸がブルン、ブルン、と揺れて、大河の胸に擦られる。
「あ、、ぁぁ、、あ、、ぁぁぁ、、、」
「はぁ・・はぁ・・気持ちいいだろ?」
「ぁ、、、ぅ、、ん、、、気持ちいい、、、ぁぁぁ、、、」
「はぁぁ・・・俺も気持ちいいぜ・・・あぁぁ・・・」
 大河は更に大きくバウンドをつけて、激しく彩香の子宮を突き上げた。
「あぁぁぁぁ、、、あん、、あぁん、、、あぁぁぁぁぁ、、、」
 彩香は髪を振り乱してエクスタシーを感じていた。
 絶頂を繰り返し、
「あぁぁ、、、もう、、、ダメェェ、、、狂いそうなのぉぉ、、、あぁぁぁ、、、」
と叫んで、
「よし。・・・いくよ。」
と言う大河の声を、かすれる意識の中で聞き、頂上まで上り詰めていく。
「あぁぁぁぁぁぁーーーーっっっっ・・・」
「はぅっっ・・・うぅぅぅっっっ・・・」
 お互いきつく抱き合って絶頂に達し、熱いミルクを分け合った。
 呼吸を整えて、大河はようやく、昨日から繋がったままの彩香の体を離した。
 彩香の真っ赤に綻んだ花弁の奥から、どろーりどろーりと濃いミルクが滴り落ちてくる。
 彩香も大河に手鏡でその状態を見せられた。
「どう?・・朝のミルクは美味かった?」
「・・・うん。」
 彩香は首から耳まで赤くなりながら、素直に頷いた。
「ん。・・いい子だ。」
 大河は優しく笑って、彩香の額にキスをした。

 彩香は、逆上せた顔で朝食のテーブルについていた。
 シャワーを浴びて、支度を整えたものの、気持ちがまだ宙に浮いている。
 大河を手伝って、最先端のキッチンで朝食作りをしながら、意識を日常に戻そうと努めていたが、フワフワする感覚は消えなかった。
「ちゃんと食べないと昼まで持たないぞ。」
「・・・だってぇ・・・」
 彩香は火照る頬を手で押さえて熱い吐息を洩らす。
「しょーがねぇなぁ。・・・じゃぁ、これとこれと・・これくらいは食べろ。ん?」
 大河が取り皿に卵と温野菜を盛ってやり、ヨーグルトをかけたブルーベリーを指し示した。
 やはり医者だけあって、栄養のバランスは考えているようだ。
「大河って料理も得意なのねぇ。」
「おいおい。これで料理なんて言えないぜ。」
「じゃぁ、もっと手の込んだ料理を作るの?」
「朝は時間ないから、こんな物だけどさ。夕食の時はけっこう凝ったりするぜ。」
「そうなんだぁ。・・・じゃぁ、彩香の方が教えて貰わなきゃいけないかもぉ。」
「料理は女が作るべきだ、なんて思ってないから、気にしなくていいよ。・・・もっとも外科医として仕事が続く時は、本当は料理を作るべきじゃないんだけどね。指先を切ったり、火傷したりすると、細かい作業の連続する手術の正確さが鈍るからなぁ。」
「あぁ・・・そうだよねぇ。」
 どちらが家事をするかは決めなくても、仕事をする男性を支える女性の立場としては、やはり家事がこなせる方がいいよな、と彩香は思った。
 それは男女差別ではなく、お互いを思い合う役割分担なのだ。
 なら、女性の外科医だったらどうするのだろう。
 家事をしてくれる主夫を捜すのは難しいだろうし、夫婦で医者をしていたら、家事をしてくれる人が別に必要なのは当然だろうな、と思う。
 自分は世界中の童話を読んでみたいし、それを翻訳して紹介出来たらいいな、という夢がある。
 夢を目指して進む先に、男性を支える生き方も両立出来るのだろうか。
 フワフワする思考は唐突に変な方向に走ってしまうらしい。
「彩香だって料理教室に通ってるくらいだから、料理は得意だろ?」
 大河にそう言われて、ハッと我に返った。
「んー・・・お魚を捌けるようにはなったけどぉ・・・」
「へぇ。たいしたもんだ。」
 誉められると嬉しくなる。
 彩香は、うふっ、と笑って、温野菜のブロッコリーを口に運んだ。
「今日は久しぶりに唯のフェラーリで遠出でもしようと思ってたけど、彩香に料理を作ってもらうかなぁ。」
「あ・・・今日・・・一度、家に帰らないと・・・」
「ご両親が心配するかぁ・・・」
「うん。・・・ごめんなさい。」
「また、出て来られそう?」
「ママは彩香の気持ちもわかってくれるし、言葉に出しては言わないけど、応援してくれてるから。・・・パパは・・・怒るかも・・・」
「一度、交際してます、って挨拶しておいた方がいいかなぁ・・・?」
「え・・・?!」
 彩香は目を丸くして、瞬きをした。
 親に交際宣言するのは目一杯恥ずかしいけれど、大河にそう言って貰えることが嬉しかった。
「・・・どうしよぉ・・・」
「クスッ。・・彩香が恥ずかしいなら、今すぐじゃなくていいけどな。・・・ただ、俺の気持ちとしては、堂々と交際宣言するつもりでいるから、彩香も親に後ろめたさを感じることはないんだぜ?」
「・・うん。・・・ありがとう。」
 彩香は感激で目を潤ませて頷いた。
「じゃぁ今日は、大学終わったら彩香を家に送って、俺は夕食を作りながら彩香の電話を待つことにしよう。電話してくれたら、すぐに迎えに行くからな。」
「うん。」
「・・・無理はしなくていいけど・・・彩香がいないと夜が寂しい・・・」
 そう言って、じっと彩香を見つめる大河の目は、本当にどことなく寂しげに見えた。
「・・きっと、大丈夫。」
 彩香は胸が切なくなって、根拠もなく言った。
「ああ。・・待ってるよ。」
「・・うん。」
 いつもは彩香に対して、絶対的に年上であることを強調する大河だったが、ふと少年のような純粋な魂を感じさせる。
 支配的でありながら、どこか寂しげな影がある大河を、彩香は柔らかいベールで包みたくなってしまう。
 これが母性本能というものなのだろうか。
 愛される幸せと、愛している切なさ。
 彩香は目映い光が射し込む朝の空気に包まれ、夢と現実が交錯しそうな幸福感に浸っていた。
 もし、3ヶ月を待てずに、ヤケを起こして他の男性からの誘いに乗っていたら、今の幸せはなかったのだ。
 彩香はまだ夢から醒めきらないようにうっとりした表情で、
「・・・今・・最高に幸せ・・・」
と、呟いていた。

<59>
「ヒロイン」
<59>「ヒロイン」

 大河と一緒に大学に来た彩香が、各々の学部の校舎に別れて一人で歩き出した時、同じ学部の真由美が声をかけてきた。
「おはよう、彩香。」
「あ・・おはよう、真由美。」
 真由美とはよく並んで座って授業を受ける。
 休日を一緒に遊ぶほど仲良しではなかったが、大学では仲がいい方だった。
「大河さん、帰ってきたんだねぇ。」
「うん。」
「良かったじゃん。おめでとう。」
「ありがと。・・ふふっ。」
「昨日、大学休んだのはこれだったのかぁ。・・ラブラブでいいなぁ。」
「真由美だって彼氏いるじゃん。」
「うーん・・・最近、喧嘩ばっかでさぁ・・・秋になっても海行きたがるんだもん。」
「でも、真由美も一緒にサーフィン始めたんでしょう?」
「夏の間は面白かったけどぉ・・・髪はゴワゴワ、肌はガサガサ。可愛い服を見つけても着れなくて最っ低ー。」
「クスッ。スポーツは自分が好きじゃないと続けられないよね。」
「そうなのよぉ。だから、たまには海以外のデートがいい、って言ったのに、それだけで怒るんだもん。もう、ウンザリ。」
「・・・真由美も大変だね。」
 彩香は意見出来るほど、自身恋愛のことがわからないので、いつも愚痴を聞いているだけのことが多かった。
 気の強い所のある真由美には、そんな彩香だから愚痴を言いやすいということもあった。
 彩香の控え目で相手を立てる性格のせいか、大学で唯と人気を二分する大河と交際していても、周囲の反感は少なかった。
 もちろん付き合い始めた頃は、玲奈と大河の交際は衆知のことだったので、文学部の女子達からは非難めいた会話が聞こえてきたが、大河が御曹司であり超天才児である唯の守り役をしていることがわかってくると、付き合うのも大変なのだと理解されてきていた。
 現に、夏休み前から海外へ行ってしまい、今日まで戻れなかった相手を、待ち続けるなんて自分には出来ない、と真由美でなくても思ってしまう。
「あっ、・・ねぇ。・・大河さんが戻ったってことは唯さんも戻ってきてるの?」
「帰国は一緒だったらしいけど・・・まだ実家に用事があるみたいで、こっちには帰ってないそうよ。」
「ふーん・・・そうなんだぁ。」
「うん。」
 彩香は曖昧に答えておいた。
「残念だなぁ。唯さんのあの麗しいお姿を見れるだけでも、心が慰められるのになぁ。・・・え?・・でも、試験どうするんだろ?」
「それまでには帰るみたいよ。」
「そかそか。」
 真由美は唯派だったので嬉しそうに笑うと、思い出した試験に気持ちがいったようで、彩香と試験範囲の確認と勉強の進め方などを話し始めた。

 情報はすぐに広がる。
 大河が大学に戻ったことと、唯がまだ戻ってないことは、昼休みまでに大学中に伝わっていた。
 大河が午前の授業を終え教室から出ると、
「大河博士。」
と、声をかけられた。
 声の主に大河は驚いてしまった。
 医学部の麻倉教授だったのだ。
 大河は頭を下げて挨拶をした後、困ったような笑顔になって、
「ここでは一学生ですから、その呼び方は勘弁してください。」
と言った。
「んー・・・そうは言っても、学会ではこちらが頭を下げる立場だからなぁ。しかも、アメリカで天才外科医の名声まで得た貴方をどう呼べばいいのか・・悩んでしまうな。ハハハッ。」
「まだまだ若輩者ですし、麻倉教授には俺も学ぶべきことがたくさんあると思っています。普通に名前を呼んで頂ければ結構です。」
「ほぅ・・・噂より随分謙虚だな。」
「あっは。参りますねぇ。どんな噂ですか?・・・つーか、先陣の苦労の上に今の自分達があるのだ、と常々唯に釘を刺されてますから。」
「そうか・・・唯博士は立派な方だ。私は尊敬しているよ。」
「ええ。・・俺もです。・・・ですが、唯のこともそのまま唯と呼んでください。」
「いやいや、それは・・・。まだ非公式だが、新しい治療法を開発されたそうじゃないか。学生に戻られるのはもったいないようだねぇ。」
「・・今の唯には、学生に戻ることが必要なんです。」
 大河は声を落として溜息まじりに呟いてから、
「すみませんが、約束があるので、話はまた今度にして貰えませんか?」
と、腕時計を気にしながら言った。
 わざわざ麻倉教授が出向いてくれたことには感謝しても、医学界の話題は遠慮したかったし、唯のことも人前での会話に出したくなかったのだ。
 通り過ぎる学生達は、会話を耳にすると驚嘆の顔を見合わせて、ヒソヒソと話をしだすのだ。
「唯博士はまだ戻って来られないようだが、どうかされたのかな?」
「いえ。実家の用事をしているだけで、すぐに戻ります。」
「そうか。なら、今度是非ゆっくり話をさせて頂きたい、と伝えておいて貰えないか?・・私の著書を向こうの学会で紹介してくれたそうだね。英訳版で出させて欲しいと依頼が来てね。そのお礼も言いたいから、と。」
「わかりました。」
「では、また。」
「はい。失礼します。」
 大河は頭を下げると、早足で先に校舎を出て、彩香と待ち合わせの場所に急いだ。

「まったく!」
 大河は大学近くのレストランに入って注文を済ませると、吐き捨てるように言った。
「誰も彼も、俺の顔を見れば、唯、唯。・・唯はどうした、って朝から何遍聞かれたことか!・・ったく、嫌んなるぜ。」
「唯君は大学のアイドルだもん。・・・私も知らない人から声かけられて聞かれちゃった。ふふっ。」
「・・それで?」
「実家に用事があるらしくてまだ戻れないけど、試験までには戻るそうよ、って。・・それでいいんでしょう?」
「まぁな。・・・けど、来てないのは見ればわかることなんだし、一々聞いてくるな、って言いたいぜ。来てない以上用事があるんだ。それ以上詮索するなよなぁ?・・お前等も一々聞かれるのは鬱陶しいだろうが、って言ったら、女子の奴等、ヒドーイ!だとぉ。・・・クソッ!」
「きっと大河とも話したかったんじゃない?」
「・・・あ?」
「唯君の人気は当然だけど、大河のファンもいっぱいいるし、話す切っ掛けで唯君のことを聞いたから、冷たい言い方されてヒドイって言葉になったのかもね。」
「俺は回りくどいことされるのは嫌いなんだ。」
「ふふっ。」
 彩香は怒ってる大河も素敵、と思うと、自然と笑みが浮かんでくる。
 彩香と同じ学部で、彩香によく声をかけてくる男子学生は、やたら女子にばかり愛想が良く、男子にはそっけない。
 そんな男よりずっと素敵、と思う。
 明美の時も玲奈に対しても、自分と合わないと思った時点で遠慮なく攻撃してしまう、はっきりした性格が好きだった。
 人より多くの勉強をし、人より高みを目指し、人より苦労して、天才外科医としての基盤を築き上げながら、普通に怒ったり笑ったり出来る感覚がそのままに残っている。
 子供っぽさとは違う純粋さが目の中の強い輝きとなって残っている。
 大河派の友達が言う魅力とは別の部分で、彩香は大河を愛おしく感じていた。
 もちろん、みんなの言うように、男らしい逞しさや、ワイルドでありながら繊細な印象に、ドキドキと同じ感覚でときめいてしまうのだが、大河が自分だけに見せてくれる甘えや寂しさが胸を何倍も締め付けるのだ。
 彩香は、可愛い女として大河に甘えいたいと思う反面、大河を支えられるような強い女になりたい、と思うようになっていた。

 一日の授業が終わり、大河に送られて彩香は家に戻った。
「じゃぁ、カルチャースクールの方に迎えに行けばいいんだな?」
「うん。・・でも、今日くらいお休みしてもいいのに・・・」
「せっかく続けてる習い事なんだ。大事にしろよ。」
「うん。・・ありがとう。」
 大河は彩香の髪を、よしよし、と撫でて額にキスをした。
 3歳の差でも大人ぶる大河に、素直に頷いて車を降りた彩香は、手を振って車を見送ってから家に入った。
 友達の所に泊まったことになっていたが、やはりドキドキして母親とは目を合わせにくかった。
 弟はまだ部活から帰っていない。
 父親も残業の多い仕事で今日もまだ帰っていなかった。
 彩香はなるべくさり気なく、友達と試験勉強をしたいから、カルチャースクールの後で友達の家に行く、と母親に言った。
「あら、そう。」
 夕食の支度をしていた母親は、意外とあっさり返事を返した。
 少しも疑っていないのだろうか。
 そう思うと、後ろめたさを感じてしまう。
 けれど、彩香がお泊まりの支度をしようと背中を向けた時、
「ねぇ、彩香。・・・彩香を信じていていいわよね?」
と、母親が言った。
 彩香は、ドキッとして振り向くことが出来なかった。
「ママはね、人を好きになるのがいけないとは思わないわ。・・・だから、彩香の言い訳をそのまま聞いてあげる。・・・だけど、好きになったことを後悔しないような相手であって欲しいの。」
「・・・ママ・・・」
 彩香は恐る恐る振り返って母親を見た。
 母親は全て承知しているような笑顔で彩香を優しく見つめていた。
「ママが聞いたのは、彩香が好きになった人だから、信じていてもいいのよね、って意味なの。」
「・・・ママ・・・ごめんなさい。」
「あら、謝るような人?」
「ううん、違う!・・・だけど、・・・本当のことが言えなかったから・・・」
「まぁ、パパには外泊の本当の理由は話せないわよねぇ。・・男親と女親では気持ちが違うらしいから。」
 母親はそう言って苦笑した。
「・・・いつかは紹介したい、って思ってるの。・・彼も、いつでも挨拶に来ていい、って言ってくれてるし・・・」
 母親の表情が、パッ、と明るくなった。
「まぁ・・・そうなのぉ?・・ふふっ。それは素敵だわぁ。」
「ママァ?」
「うふん。だってぇ・・・彩香の彼氏を見てみたいわぁ。ふふふっ。」
 どこか子供っぽさの残っている母親だった。
「でも、まだ待ってってお願いしてるの。・・・まだ・・・急ぎたくなくて・・・。だって、もしパパが怒ったりしたら・・・彩香、困っちゃうもん。」
「・・・それはあるわね。」
 母親も、うんうん、と頷いた。
「じゃぁ、パパがまだ帰らない時間に、いつでも気軽に遊びにいらして、って伝えておいて頂戴。・・その時は、ケーキでも焼こうかしら。」
「あ、ダメ。甘い物は苦手だって。」
「そうなの?・・・お酒飲み?」
「浴びるほどは飲まないと思うけど・・・」
「しっかりした方?」
「もちろんよ。彩香なんて、すっごく子供扱いされるもの。」
「・・大人の方なの?」
「ううん。学部は違うけど、同じ大学の人。」
「じゃぁ、先輩?」
「んー・・・説明が難しいんだけどぉ・・・」
 彩香は母親にどこまで話していいのか迷っていた。
 唯が特殊な存在であるだけに、唯に触れないにしても、大河のことを話すのも微妙な問題があった。
 それでも、一応、長期留学をしていて帰国したので、3歳年上だが同じ大学1年だということだけは話した。
「あらぁ、それなら彩香には丁度いい英語の先生だわね。」
「フランス語もドイツ語も得意なのよ。だから、試験勉強だってちゃんと見てくれるって。・・・まるっきり嘘じゃなかったの・・・」
 まだ、試験勉強するだけの余裕はなかったが・・・。
「わかったわ。それじゃ、パパにはそう説明しておくわね。」
「ありがとう、ママ!」
 彩香はほっとして笑顔になると、支度をする為に自分の部屋へと向かった。

 なんだか全てが夢見心地で、映画のヒロインを演じているように、現実感の伴わない感覚だった。
 カルチャースクールに出掛けて、花をいけていても気持ちがフワフワしていた。
 花を抱えて建物を出ると、ナイトのように大河が待っていてくれた。
 同じ教室の人達の羨望の眼差しを感じながら車に乗り込み、超高級なマンションに向かう。
 部屋にはもう大河の作った夕食がセッティングされていた。
 大河は彩香が花瓶に花をいけ直して飾るのを、綺麗だと誉めてくれた。
 大河に付き合ってワインを少し飲み、ほろ酔い気分のところを抱き寄せられた。
「・・夢みたい。・・・幸せ過ぎると怖くなっちゃう。」
 食後のひと時、革張りのゆったりとしたソファーで大河にキスをされながら、彩香は甘い吐息を洩らして呟いた。
「待たせた時間が長かったからな。・・・それが辛過ぎたから、何でも特別に感じてしまうんだろうな。」
 大河は熱いキスの合間に、労るようなキスを繰り返して笑った。
「そうなのかしら・・・」
「これくらいで幸せなんて、人が良すぎるぜ。まだ、デートらしいデートもしてやれてないのに。」
「だってぇ・・・一緒にいられるのが最高に幸せなんだもん。」
「だからさ。・・その内、映画やコンサートに行きたい、とか、ドライブや旅行に連れて行け、って言うようになるんじゃないか?」
「あぁ・・・そっか。・・・それも悪くないかも。」
 彩香はそう言われると、普通の恋人同士のようなことも出来たら素敵だろうな、と思ってしまった。
「あははは。・・ほらなぁ。」
 大河はそれでも、さほど嫌そうでもなく笑った。
「でもぉ、それは同じ思い出を共有したい、って気持ちだと思うの。前提にはやっぱり一緒にいられるから楽しい、って気持ちがあるからだもん。」
「そうだな。・・試験が終わったら、週末を利用して旅行しよう。」
「本当?」
「ああ。・・でも、その前には挨拶に伺っておいた方がいいだろうな。」
「あ、・・・ママがねぇ・・・」
 彩香は、母親に男の人の所に泊まるということがバレてしまったことを話し、母親との会話のことを話した。
「そっかぁ・・・彩香のママは、素敵な女性なんだな。」
「そう?」
「それに、ちゃんと夫に愛されている。」
「仲はいいけどぉ・・・そんなことまでわかるものなのぉ?」
「そりゃ医者だし。・・クスッ。」
 大河はからかうように言って、彩香の鼻にキスをした。
 彩香が煙に巻かれた顔をしていたので、
「夫婦仲が悪いと、娘の幸せにも嫉妬してしまうものだろ?・・特に男女関係ともなるとな。」
と、説明してやった。
「・・・そうなんだぁ・・・」
 彩香は納得して頷き、
「ママも幸せで良かったぁ。」
と言って笑った。
「そして、娘はこんなにいい子になった。・・・大事にしないと、罰があたるよな。」
 大河は彩香を強く抱き締めて、再び熱いキスで唇の自由を奪った。
 熱く甘いキスは頭の芯を痺れさせる。
 彩香は体が疼いてきて、大河に腕を回した。
「ベッドへ行こう。」
 大河は彩香の耳にキスをしながら囁き、彩香を抱き上げた。
 彩香の夢のヒロイン役はまだまだ終わりそうもなかった。

 ベッドのシーツは真新しくなっていた。
 ワインと大河に酔って、体が火照っている彩香には、シーツのひんやりとした感触が気持ち良かった。
 再び、肌と肌を重ね合わせる時がきた。
 大河の体は熱くて獣の臭いがする。
 まだ微かに消毒液の臭いも残っているし、それを消すようにムスクも香っているが、大河本来の獣の臭いが彩香は好きだった。
 熱いキスをしながら、体に触れてくる固い肉棒を握って扱くと、透明なヌルヌルする液がすぐに溢れてくる。
「彩香も随分嫌らしくなったな。」
 大河が片頬に意地悪そうな笑みを浮かべて言う。
「えー・・・」
 彩香は拗ねた上目遣いで甘える。
「俺が指示しない前に自分からすぐに握ってくるだろ?・・クックッ。」
「・・・だってぇ・・・」
「俺のおちんちんが気に入った?」
「・・・うん。」
「なら、ちゃんと言葉にして言ってごらん。」
 大河が彩香の目をじっと覗き込む。
「・・・大河の・・・が、好き。」
「ダメだな。ちゃんと言わなきゃ。」
「あん、、・・・大河の・・おちんちんが大好き。」
「よしよし。・・・俺も彩香のおまんこが大好きだよ。」
 大河は満足そうにニッコリ笑って、彩香の額にキスをした。
 医学用語で言うより、”おちんちん””おまんこ”という呼び方が大河は気に入っていた。
「それじゃ・・・今夜は彩香に自分で挿入させよう。」
 大河はそう言って仰向けになり、頭の後ろで腕を組んだ。
「・・・彩香・・・一人で?」
「出来るだけやってごらん。・・途中まででいいから。・・イク時は俺がちゃんとイカせてやる。」
「・・・うん。」
「いい子に出来たら、今夜はおちんちんと手を繋いで寝かせてあげよう。」
 大河のペニスを握って眠る。
 彩香はそれがとても素敵なことに思えて、笑みを浮かべた。
「ククッ。嫌らしい笑顔だぜ。・・・そこが可愛いんだけどな。」
 彩香はちょっと頬を膨らませたが、
「早くしないと、彩香を放っといて寝ちまうぞ。」
と言われて、
「あん・・ダメェ・・・」
と大河の体をまたいだ。
 こんなに張り詰めた男根を突き立てて、眠るはずもないのに、彩香は大河の言葉に踊らされてしまう。
 わかっていても、大河に言葉で責められることも、彩香には嬉しかった。
「あ、、、んぐっ、、、ぁぁ、、、」
 彩香は大河の脈打つ男根をつかんで、自分で花弁を広げながら亀頭を宛い、挿入させる。
 腰をゆっくり沈めていき、熱い肉棒を体の奥深くへと突き刺していく。
「んぁっ、、、んん、、、ぁぁぁっ、、、」
 途中まで入れてから、彩香は何度か息を吐いた。
 大河の大きさは尋常ではないのだ。
 昨日たっぷりと、久々の大きさに慣らされたとはいっても、膣が押し広げられる圧迫感に躊躇してしまう。
 大河はそんな彩香の反応も楽しむように余裕で眺めている。
 視線が絡まり合い、大河の先を要求する目に彩香は覚悟を決めて、更に腰を下げていく。
 グッ、、、ググゥッ、、、
「あぁぁぁ、、、っん、、、大河ぁ、、、」
 彩香は根元まで大河の肉棒を押し込むと、背中を反らせて喘いだ。
「まだまだ。・・・ほら、しっかり動いて。」
「、、ん、、ぁぅっ、、、」
 彩香は腰を動かして、膣壁の肉襞で擦りあげる。
 子宮に当たり、突き上げられる鈍い痛みを、自分で強いるのは、自虐的気分にさせられる。
「あぁっ、、、ぁぁぁっ、、、ぁっぁっ、、、んんっ、、、」
 それでもたまらない快感がビリビリと体中を駆け巡り、もっと強い刺激を求めて、大きく腰を動かしてしまう。
 背中を反らせていると胸が大きく揺れる。
 彩香は自分の両手で揺れる胸をつかんで揉み始めた。
 彩香の細い指から溢れそうな柔らかな白い肉。
 大河に吸われて赤味を増した乳首を、自分でつまんで愛撫する。
「はぁぁっん、、、ぁっふっ、、、ぁぁぁっ、、、感じるぅぅっ、、、」
「・・・いいね。・・・Hな彩香を見ていると、俺も興奮するぜ。」
 大河の言葉に励まされて、彩香は更に大胆に腰を動かし、体を上下に弾ませる。
 グチュッ、、グチュッ、、グチュッ、、
 おまんこ汁が大河の陰毛をぐっしょり濡らしている。
 湿った擦れる音が静かな部屋に響いている。
「あぁぁ、、、大河ぁ、、、イキそぉ、、、ぁぁぁん、、、」
 彩香は大きな胸を乱暴に揉みながらたまらなく叫んだ。
「一人でイケるなら、イッちゃってもいいぜ。」
「いやぁぁっ、、、ぁぁん、、、まだ、、怖いよぉ、、、」
 彩香が潤んだ目で哀願するので、大河は、
「よしよし。・・・上手くなったから感心したのさ。」
と笑って言うと、腕を彩香に伸ばして、それまで彩香が揉んでいた胸を愛撫してやった。
「あぁぁぁ、、、やっぱり、、、大河がいい、、、」
 自分でする愛撫に慣れてきたとしても、大河の大きな手に包まれる感触は、比べようもなく気持ちが良かった。
 大河は体を起こして、彩香の乳首に吸い付いて彩香の刺激を高める。
 彩香の膣壁が大河の肉棒を締め付ける。
「はぁっ・・・彩香のおまんこは最高だぜ。」
 大河はそう言って激しくキスをすると、腰を突き動かし始めた。
「、、、んんっ、、、んっ、、、ぁふっ、、、ぁぁっ、、、」
 彩香は感じて体を大きく後ろに反らした。
 逞しい腕に腰を抱かれているので、安心して乱れることが出来る。
「あぁぁっ、、、イクゥッ、、、イクッ、、、あぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっっ!!」
「はぅっっ・・・はぁぁぁっ・・・彩香の中に・・・ドクドクと俺のミルクが飛んでいく・・・」
 大河はビクビクと痙攣する彩香の肉襞に搾り取られるように、最後のひと滴まで精液を出し切った。
 そして、大河の肩にもたれて大きく息継ぎをしている彩香の、汗まみれの髪を優しく撫でてやり、
「俺達の夜は・・・まだ、これからだぞ。」
と、熱く囁いた。

<60>
「詩」
<60>「詩」

 大河の所にお泊まりするようになって三晩。
 講義を聴いていても気持ちが何処かに飛んでいきそうになる。
 体のちょっとした動きでも、愛された記憶が蘇ってしまう。
 熱を持った股間はもとより、普段使っていなかった筋肉に疲れが残っているし、強く擦られたり吸われた場所に下着があたると、大河の愛撫する感触まで思い出させるのだ。
 黒板の書き取りをしながら、時々、頬杖をついて目を閉じ、甘い息を洩らす。
「彩香。授業、終わったよ。」
「・・え?」
 真由美に肩を叩かれて、彩香が顔を上げると、すでに講師の姿はなく、学生達は昼食の為に忙しく席を立っていた。
「大丈夫ぅ?・・・ラブラブなのはいいけどぉ、顔がイッちゃってるぞぉ。キャハハハッ。しっかりしろよ。」
「・・嘘ぉ・・・」
「試験はともかく、そんな顔してると大河ファンから締め上げられちゃうよ。」
 真由美が耳元で囁く。
「えー・・・どうしよぉ・・・」
 彩香は頬に両手を当てて、本気で困った顔になった。
「いくらハードにHしても、Hなんて知りません〜って顔してなきゃ。」
「うん。・・そうだよね。」
 彩香は、うんうん、と頷いて軽く頬を叩いた。
「じゃぁ、彩香はお昼、大河さんとでしょう?」
「うん。」
「それじゃ、また午後の授業でね。」
「ん。・・ありがとぉ。」
 彩香は教室を出ていく真由美に手を振ってから、ゆっくりと席を立って、大河と待ち合わせの場所に向かった。

 今日の昼食は学生に人気のあるラーメン屋。
 大河がどうしても食べたいと言うので、行列に並んでいる。
 回転は早いので、午後の授業に間に合わない、ということはないが、こうした外に並ぶ店は彩香には苦手だった。
 彩香は大河の広い背中に隠れるようにして、コンパクトを覗いている。
 大河が嫌がるので普段は化粧しない彩香だったが、美白化粧品とリップクリームは欠かせないし、身だしなみとして鏡を持つのは当然だった。
 けれど、今日の彩香は、ただ鏡とにらめっこをしている。
 大河は行列に並ぶ暇潰しにしても、彩香らしくない、と思い、
「おい。さっきから何やってんだよ。」
と、小声で注意した。
「ん・・・」
 彩香は拗ねたような上目遣いに大河を見て、コンパクトをバッグにしまった。
「日本に戻って、まだラーメン喰ってねぇんだから、付き合えよ。」
「そのことじゃないのぉ。」
 彩香は大河の腕を引いて体を屈めて貰うと、真由美に言われたことをそっと耳打ちした。
 大河は、プッ、と吹き出し、体を起こすと、口元を押さえながら笑った。
「・・ぁん・・笑わないでぇ・・・」
 彩香は小さな声で言うと、大河の背中に顔を埋めた。
 ザックリとしたセーターを着ている大河の背中は、そのまま寝てしまいたくなる程、安心感があった。
 心地良さに目を閉じて深呼吸する。
 肩越しにそんな彩香を眺めて、
「ごめん。・・・三日も寝不足が続くと、彩香もキツイよな。」
と、労るように優しく声をかけた。
「・・ううん。・・・幸せだから・・いいの。」
 彩香は背中に頬を押し当てたまま、呟くように答えた。
 行列の両隣の学生が男子だったことに感謝するべきだろう。
 こんな会話を女子が耳にすれば、すぐに噂として流されてしまう。
「・・・でも・・・試験、どうしよぉ。・・・まだ全然勉強進んでない。」
 ぐふん、、と大河のセーターの中で泣きそうな息をこぼした。
 大河は人前なので抱き締めることも出来ず、腕を組むと青い空を見上げた。
「よし。・・じゃぁ、今日は図書館で勉強していこう。わからない所は教えてやるから・・・ほら、いじけてないで顔をあげろよ。」
「・・・ホント?」
 彩香が背中から顔を覗かせる。
「ああ。」
「ドイツ語ねぇ、まだ翻訳しとかなきゃいけないのが20Pあるのぉ。」
 小首を傾げて甘える顔で大河を見上げる彩香に、
「げ・・・そんなにかぁ?」
と、言ってみたものの、ドイツ語なら日本語より得意だったので、
「軽い軽い。俺に任せとけ。」
と笑った。
「うふっ。良かったぁ。」
 彩香は嬉しそうに頬を染めて、背中から離れて大河の腕につかまった。
「それから・・・フランス語もぉ・・・」
「フランス語なら彩香も得意だろ?」
「だって、詩を一つ暗唱して、全文を書かなきゃいけないんだもの。」
「・・・それって、もしかして・・・俺達が取ってる授業の試験か?」
「そう。・・・え、知らなかったの?」
「うわっ。・・・俺もそれはヤバイかもな。詩なんて全然知らねぇ。」
「試験内容ちゃんと確認しておかないと厳しいみたいよぉ。・・・大丈夫?」
「うーむ。・・・甘く見過ぎてたな。俺も試験勉強しないとマズイぞ。」
 大河が眉をひそめて真剣に言うので、彩香は、天才でも困るんだぁ、と少しほっとして笑みを洩らした。
「チェッ。笑うなよな。」
「ごめんなさぁい。・・だってぇ、大河が試験で困るなんて思わなかったからぁ・・・やっぱり天才でも勉強しないとダメなんだなぁ、って少し安心したの。」
「バーカ。・・ったりめぇだろ。知らないことまでわかるのは、唯くらいだぜ。」
「えー・・・唯君って・・・そうなの?」
「あいつなら人との会話だけで知識を吸収しちまうし、留学してた頃は散々、甘い詩を囁かれてたから、聞き流してても頭に入っちまってるんじゃねぇかな。」
「・・・すごぉーい・・・」
「だから本物の天才っつーのは唯みたいな奴を言うんだろうぜ。」
「そうなんだぁ。」
 彩香は改めて唯の凄さを聞いて、感心しながら頷いた。
 が、ふと気付いて、
「・・でも・・・誰が詩なんて囁くの?」
と聞いた。
 大河は肩をすくめ、
「ヨーロッパは未だに貴族達の選民意識が強くてな、特に爵位持ってる教授は自分が選ばれた存在のように思ってる。・・ま、教授の中には尊敬出来る人ももちろんいたけどな。・・・けど、カトリック圏だろ?・・・その流れで少年愛嗜好も強ぇんだ。」
と、吐き捨てるように言った。
「・・・え?・・・どうして?」
「教会に行きゃぁ、綺麗な顔と声でそそる奴等がゴロゴロいるだろうが。」
「・・・そんなぁ・・・」
 彩香は神聖なイメージが崩れていくのが信じられず、目を瞬かせた。
「そんな中でも、唯は聖歌隊でもねぇのに、誰よりも綺麗な顔と声をしていたんだ。・・惚れ込む男達が殺到しても無理はねぇだろ?」
「・・・確かに・・・唯君の雰囲気って独特だものねぇ。」
「その頃の俺は、唯があんまり綺麗で完璧すぎて、しかもずば抜けて賢いし、絶対サイボーグだ、って思い込んで嫌ってたから・・・あまり普段の会話はしなかったけどな。」
「えぇー?!・・・そうなのぉ?!」
「だって、腹が立つだろうが?・・あいつが吸収していく知識に追いつこうにも、こっちが寝ずに頑張ったって届かねぇ。・・・多少、人より賢いって自負があっただけに、俺のプライドはズタズタにされたんだからな。」
「・・・うん。・・・唯君との勉強が大変なのは前に聞いてたけどぉ・・・嫌ってたなんて知らなかったもん。」
「まぁ、俺も未熟だったってことさ。・・そんなことより、ようするに、唯に恋い焦がれた男達は自分がいかに優雅かを示したくて、唯が昼飯喰ってる側で、詩を引用しちゃぁ口説いてたのさ。」
「・・・それも・・迷惑な話ね。」
 彩香は呆れて首を振った。
「けど、唯は相手がフレーズを間違えると、そこの言葉は○○○…じゃありませんか?・・何てシラッと言ったりするんで、相手が赤面するようなこともあったなぁ。・・クククッ。あれは面白かったぜ。」
「へぇ・・・マジに凄いねぇ。・・・ホント、唯君ってどこで覚えるんだろう?」
「他の誰かも同じ詩を囁いたのか・・・それとも・・・あいつの読書量は半端じゃなかったから、詩集とかも気分転換にパラパラと見てたのかなぁ?・・・詩、唯から聞くか・・・」
「図書館には詩集も置いてあると思うけどぉ?・・・試験前だからみんな貸し出し中かしら・・・」
「なかったら、書店で買えばいいさ。大きな所なら置いてあるだろう?」
「・・・そうね。」
 彩香が、うん、と頷いた時、やっと順番が回ってきた。
 のれんをくぐって店内に入ると、女子学生も彼氏の付き合いでチラホラ姿があった。
 女子同士での姿がないのは、あまりゆっくりおしゃべり出来ない場所だからだろう。
 注文すると、そう待たずに出して貰えるし、次の人が待っているから、食べることに専念しなければならなかった。
 彩香は大河に遅れないように、猫舌を我慢して必死で食べた。

 授業を終えた後、大学の図書館で勉強をした。
 フランス語の詩集は一つも残っていなかったが、他の勉強もあったので、図書館が締まる夜の7時まで、大河は彩香の勉強を見てやった。
 それから、大きいと思える書店を数軒回ってみたが、日本語訳の詩集しか見つからなかった。
 日本語訳をフランス語に訳しても、正確な文章にはならない。
 訳者によって、言葉を変えている場合もあるし、同じ意味でも違う言い方の言葉があるからだ。
 もっと専門的な書物を扱っている書店を探せばあるだろうとは思うが、探し回る時間がなかったので、一度マンションに帰ることにした。
 大河が唯に電話して事情を話すと、すぐに綺麗な手書きの文字で覚えるのに適切なくらいの長さで、印象のいい詩を数編FAXで送ってきてくれた。
 それから、専用回線の通信で、話してもいい、と電話が入った。
 大河は数日離れていただけでも、唯の顔が見たくてたまらなかったので、すぐに回線をONにした。
 彩香は小型のTV電話は自分でも使うことがあったが、これほど大画面で鮮明な画像で話すシステムに驚いていた。
 大河は彩香を隣りに座らせて回線を開いた。
 部屋は唯の部屋の一つで、唯の両隣と足元に総勢5匹のドーベルマンが控えていた。
 だが、彩香が目を丸くしたのは、別の理由だった。
 画面に映し出された唯の両眼が紫に染まっていたのだ。
「・・・唯・・君・・・」
―「やぁ、彩香ちゃん。久しぶりだね。」
 そう言って微笑む唯は以前のままの優しさを湛えていた。
 ただ、髪が以前より短くなっている。
 顔がほっそりと見えるのは、そのせいだろうか。
「唯。・・・お前、まだその目、治んねぇのか?」
 大河は苦しそうに眉を寄せて、辛そうな声で言う。
―「あはっ。癖になったかな?・・・でも、かなり元気になったし、もう数日でそっちに戻るから心配するなよ。」
 唯の声は慈しむような甘さと、大河が彩香の前で取り乱すことのないように示唆する強さもあった。
 大河は震える息で唯を食い入るように見つめていたが、気持ちを立て直して、
「わざわざ手書きの詩をサンキュ。唯なら知ってると思ってな。」
と、詩の礼を言った。
「本当に綺麗な飾り文字ですね。ありがとうございました。」
 彩香も大河に続いてそう言うと、頭を下げた。
 唯は笑みを深くして、明るい笑い声を洩らした。
―「クスクスッ。大河の滞在を長くしてしまったのは、俺の責任だから、お詫びに何でもするよ。」
「いえ、そんな・・・」
 彩香は頬を染めて首を振った。
―「一応読めるとは思うけど、読み方と意味を教えておいた方がいいだろう?」
「あ・・・はい。お願いします。」
 彩香が唯からのFAXに視線を向けた。
 唯は流れるようなフランス語で歌うように詩を暗唱した。
 一つの詩を二回読んでから、意味を訳し、もう一度ゆっくりと読むのを、送った詩全てに繰り返した。
 彩香はうっとりと聞き入りながら、意味を書き込んでいた。
「ありがとうございます。」
 唯が全ての暗唱を終えた時、彩香は感激に目を潤ませて深々と頭を下げた。
「こんな素敵な特別授業をして頂けるなんて夢のようです。」
「チェッ。彩香は何でも、夢のようなんだな。」
 大河はそう怒ったふうでもなく、笑って言った。
―「大河。あまり我が侭言って、彩香ちゃんを困らせるなよ。」
「わかってるさ。・・気を付けるよ。」
―「それにしても・・・ネットで探せば、フランス語の詩くらい検索出来るだろう?」
「あ・・・その手があったか。・・・学生を離れてて、感覚が鈍ってるな。」
―「追試になると・・・恥ずかしいぞ。しっかり試験勉強しておけよ。」
 唯はからかうように言って笑う。
「お前をあてにしてんだから、早く戻って来いよな。」
―「俺はお前をあてにしているのに・・・参ったなぁ・・・フフッ。」
「お前は楽勝だろ。」
 大河は手を伸ばしても届かない唯への想いを隠すように、皮肉っぽく言った。
―「習った範囲から出るならいいけど、俺だって知らないことはわからないのは同じだぞ。」
「フランス語の詩だって、ちゃんと知ってたじゃねぇか。」
―「それは拓磨さんの子守歌だったから。」
「子守歌ぁ?!」
 大河が聞き返す。
 彩香も、なんて上流家庭だろう、と驚きを感じていた。
―「ほら。大河も知ってるだろうけど、俺って寝付きが悪かっただろ?・・で、寝られないとずっと本を読んでしまう。だから、目と心を休ませるようにってさ。・・・初めは聖書の朗読だったけど、新旧、数カ国語訳で読んでしまってからは、童話よりいいだろうって詩集を読んでくれるようになってたんだ。・・・フランス語は特に・・綺麗な発音と流れる抑揚を身につけるには詩の朗読が一番いいらしいから。」
「あぁ、それで・・・」
 彩香は試験に詩が出される意味を納得して頷いた。
「フン。・・・あいつの過保護ぶりには呆れるぜ。」
 大河のぼやきに、唯が可笑しそうに笑って、指で画面の外を指した。
 げっ、側で聞いてるのか、と大河は焦って、
「いや。・・・それだけ唯を大切にしてるって感服してるだけさ。はははっ・・・」
と、フォローした。
 それから、
「よぉ!ルル、レイド、ロイ。・・・それから・・・ラ・・ライラ・・リガロ・・・元気かぁ?」
と、犬達に声をかけた。
 ルルはにっこりとして嬉しそうにシッポを振った。
 レイドはフンと横を向く。
 ロイもライラもリガロも、それぞれが思い思いの反応を示す。
 言われた言葉に反応して自分の意志を表現出来る、本当に賢い犬達だった。
 彩香はクスクス笑って、自分の知ってる犬達に挨拶してから、他の犬も唯に紹介して貰って挨拶をした。
 もっと唯を見つめて話をしていたかった大河だったが、画面には入らない拓磨の存在や彩香の手前でもあることから、通信を終了させた。

 すっかり遅くなってしまったので、大河は、
「今夜は帰ってゆっくり休んだ方がいいな。」
と言って、彩香を家まで送っていった。
「・・・泊まってもいいのに・・・」
 彩香は急に寂しさを感じて、家に向かう車の中でそう言ったが、
「彩香と無責任な付き合いは出来ないし、・・・今日は頭もいっぱい使って疲れただろう?・・・また、明日会えるんだから、今夜はちゃんと休んどけよ。」
と言われて、従うことにした。
 家の少し前で停めた車でしばらくキスを交わし、
「お休みなさい。」
と言って車を降りた彩香が、家の中に入るのを確認して、大河もマンションに戻っていった。