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妖魔の騎士(上下二冊) 〜 氷の城の乙女(上下二冊)

        フィリス・アイゼンシュタイン  ハヤカワFT文庫

 ・・・・・・織り姫のデリヴェヴが偏屈物の妖魔使いレジークを袖にしたのが事の始まり。

 織り姫にとっては他意のない「断り」だったのだが、レジークは彼女が自分を憎んでいるものだと思い込み、恐怖心から織り姫の「布」の魔法の圏外に逃れようと「金属」の肌着を作ろうとする。
 その衣類を作るには、その間織り姫の魔力を鈍らせる事が必要で、それには織り姫が子を宿す以外方法はなかった。レジークは自分の一番強力な妖魔に美しい騎士の姿を与え、彼女に自分の子を宿させる。
 そうして彼女の魔法を無効にする黄金の肌着は完成した。しかし猜疑心で一杯になっていたレジークには彼女が自分が送った妖魔を愛し、自分の子を育てるつもりであること、あろうことか妖魔の方でも彼女を愛してしまったことなど思いもよらなかったのである。

 役目を終えた妖魔は無理矢理レジークの元に呼び戻され、息子は母の記憶に住む「美しい父親」の跡を継ごうと騎士を目指し、織り姫を城に残し父親探しの旅に出る。
 ・・・・・・と、これが最初の40ページ弱の内容。

「最初から飛ばしてくれるな」と思いきや、話は留まる所なく緻密に、大胆に広がっていく。作者の力量に久しぶりの「あっぱれ」を連発した作品。

 (好きだけど、少女趣味路線は否めない)めるへんめーかーが「木陰に佇む流し目の騎士」の表紙を描いていて、題名が「妖魔の騎士」、しかも作者は女だときたら「そーゆー本か」と甘ったるい騎士様王子様の世界を想像してしまう。だけどコレは「表紙に騙されてはいけない本」。今年のイチオシ。

 

1993 Dec. 記


2001May.

  そしてその続編「氷の城の乙女」の邦訳が出たと知り、飛びつきたい気持ちを持ちながらも、「他の本を注文するついでに」・・・と延び延びになり、購入したのは発売から3年経った2000年。ヤだね、歳取ると瞬発力がなくなって。
 その読み手としての瞬発力の欠如が原因か、期待しまくったのがいけなかったのか単にファンタジー慣れしてしまったのか、残念なことに続編はどーーーも予想外れだったのですよ。
 この人の持つ世界観だとか、内に含むテーマを表現する力は鈍っていないのだと思う・・・思いたい。だけど何だか大人しくなっちゃったというか、あの破天荒さは何処へ行ったというか。生まれて初めて読むファンタジーだったなら魅力的に感じたかも知れないヒロインやテーマでも、王道すぎる設定ゆえに読んでいて冷めてしまうというか。

 これは読み手の年齢、読書歴にも関係するのでしょうね。だからこれは、飽くまで2000年の双樹さんの感想。

 

フィリス・アイゼンシュタインの本(J-Book調べ 2001年5月現在)

妖魔の騎士上( 文庫 、早川書房 、¥505 、フィリス・アイゼンシ 、 1983/08 )
妖魔の騎士下( 文庫 、早川書房 、¥505 、フィリス・アイゼンシ 、 1983/08 )
氷の城の乙女上( 文庫 、早川書房 、¥680 、フィリス・アイゼンシ 、 1997/07 )
氷の城の乙女下( 文庫 、早川書房 、¥640 、フィリス・アイゼンシ 、 1997/07 )