ギャルズタウンのお好きな街にあなたのサイトの看板を出せます。 ギャルズタウンをご利用いただいているレジデントの皆様に参加していただきたいです。 21000人以上の皆様にご利用していただいている無料サービスです。 ギャルズタウンのヘルプ委員、メイヤー、レジデントの皆さんが真心を込めて作ってくれたヘルプページです。 ギャルズタウンの案内ページです。 商用サイトを運営なさっている方のための相談・提案サービスです。
ギャルズタウンの総合トップページへ!
Click here to visit our sponsor


Encounter


少し、仕事での余計なトラブルが続き、気分も沈みがちで…
そんな冬の夕方、足が向いたのは、行きつけの小さな本屋だった。
少しきしむドアを開けると、暖かい空気が私をつつんだ。
外気は今日も零下五度を切ったままだ…。
ほっと一息つくと、店内を見まわした。とくに何を買うわけでもないのに、ここに来て本を眺め、手に取っているだけで、不思議と心が落ち着く。

ふと見ると、通路に一匹のゴールデンレトリバーがうずくまっていた。美しい艶のある毛並みが、店の照明をうけて、金色の光沢を放っている。
ここからは本棚の陰で見えない所に飼い主がいるのだろう…。
その犬は通路に『ふせ』の姿勢で座っている。
側を通る人がいる度、愛嬌のある顔を上げて、パタパタと尻尾を床に打ちつけている。

私は思わず笑顔になると、そちらの方に近付いていった。
犬はやはり顔を上げてこちらを見た。自分を見つめるニンゲンに、少し口を開けて、小首をかしげている。
そのつぶらな瞳と、かわいい仕種に立ち止まって、にっこりしてみせた。
すると、彼(彼女)はいきなり立ちあがると、すごい勢いで尻尾を振り始めた。
「人に飛びついてはいけません」と、よくしつけられているのだろう、思わずジャンプしそうになる足を交互にあげて、足踏み状態だ。
自分に注意を払ってくれる人がいて、嬉しくてたまらない、といった様子で、飼い主の方を何度も何度も振り返りながら、私のほうをきらきらした目で見つめていた。
その姿に私も満面の笑みになった。
思わずクスクス笑いがもれる。

そのころになって、やっと、本に夢中になっていた飼い主が、いつもと違う犬の様子に顔を上げ、慌てたように声をあげた。
「こら、どうしたのかしら…ごめんなさい」
白人の女性だった。
「いいえ。あの、触ってもいいかな?」
「もちろん」
私は、もうすっかり目の離せなくなっていた、そのきれいな生き物にそっと手を差し伸べた。
ひとしきりその手の匂いを嗅ぐと、撫でてくれ、といわんばかりに、手のひらに顔を押し付けてきた。
私が目の上から耳のあたりにかけて、そっと撫でてやると、嬉しそうに目を細めると、はたはたと尻尾を振った。
私は嬉しくなって、その場にしゃがみこむと、彼(彼女)との視線を合わせた。
耳元から首筋にかけてを両手で撫でてやると、嬉しいのだろう、(とびつきたいー、手を、かけたいー、でもニンゲンに手をかけちゃダメだしー。)と言わんばかりに、左右の前足を交互に持ち上げては、宙で止めている。
思わず笑いながら、尋ねた。
「男の子?女の子?」
「女の子よ」
「そうかー、女の子かー、彼女すごくきれいだね、毛皮とかぴかぴかで…。 お前はすごくかわいいねー、きれいだねー、ん??」
「犬好きなのね」
「うん…。」
直接話しかけられ、ようやく飼い主の方へ視線を戻した。
20代の中頃だろうか…きれいな顔立ちの子だなあ…。ブラウニッシュ・ブロンドに、薄い茶色の瞳。
「この子がこんなに興奮するって、めったに無いの。犬って、犬が好きな人がわかるのよね」
私はまた犬に目を戻した。
「そうかぁ、いいこだなー。」
よしよし、と頭を撫でてみる。

「名前は?」
「Jennifer」
すかさず返ってきた答えに、私は驚いて顔を上げた。
彼女が真っ直ぐこちらを見ている…、だが次の瞬間、勘違いに気付き、さっと頬を染めた。
「ご、ごめんなさい、Mollyよ、その子Mollyっていうの。」
そんな彼女の様子に思わず少し笑ってしまう。
「はじめまして Jennifer。私は、ミチ。日本語で"Unknown"っていう意味なの。」
「Unknown??」
「そう…。変ってるでしょ?Unknown World、Unknown Objects、Unknown People…。何で親がこの名前をつけたのか、知らないけど…面白いから気に入ってるんだけどね。」
それだけいうと、また目を犬に戻した。

この物言わぬ陽気な生き物のおかげで、さっきまで抱えてた憂鬱な気分などどこかへ飛んで行ってしまった。
「そうか、Mollyって言うの、君? Molly、Molly、…いいこだねー」
両耳の下を撫でてやると、尻尾を振って嬉しそうだ。
すっかり幸せになっていた私に、
「ねえ、ミチ?」
「ん?」
「よかったら、カプチーノでも、飲みに行かない?」
「ん…いいけど…。本はいいの?」
さっきまで集中して読みふけっていた本に目をやる。
「いいの。また今度来た時に読むから。それに…」
「それに…?」
「もっと興味があるものが出来たから。」
「もっと、興味のあるもの…。」
「Unknown Persona よ。」
というと彼女はいたずらっぽくウィンクをしてよこした…。

「さ、行きましょう。行くわよ、Molly!」
彼女が立ち上がるのを待っていたように、Mollyも勢いよく立ちあがった。
わたし達は店の出口へと向った。
すっかり日の暮れた外は、寒そうだけど、なんだかその寒さも気にならないほど、私の胸は高鳴っていた。
何かとてつもなく楽しいことが、待ちうけている、そんな気がしていた…。

"Fin"


BACK


あとがき。
この作品はお気に入りのカフェでまったりしている時に、思いついて書きました。
こちらで見かける犬達って、日本にいる犬よりずっと幸せに見えてしまうんですよね…くさりに繋がれてる子なんて、一人もいないし…。
街の中でもどこでも、飼い主と一緒に歩いてる。
綱とかもつけず、歩いてるし、賢い子は飼い主がレストランで食べてる間や、食料品を買う間、大人しく店の前に座ってまってます。
うちの近くの公園では、いつも何頭もの犬が仲良く駆けまわっています。
って、犬談義になってるし…(^^;)
また感想などいただければありがたいです。

追記:タイトルと、主人公の名前は深い関わりはありません…(読み返してて気付いたんですけど…)(笑)
Jan 25, 2001 M.K
感想フォーム